林望先生の本はいつも穏かで慰められる。下戸ゆえ”食べる事”には並々ならぬ努力を注いでいます。しかしそれ程豪華な食事ではなくその辺の普通の物でのアレンジ料理には感心します。ミスマッチの取り合わせが素晴らしい。”苺に黒胡椒”、イギリスでは大人の嗜好として普通だそうですが知らなかった。勿論胡椒はミルでのカリカリ挽き立て、ピリリツンとして苺の甘さがじわりとくると言っています。来シーズンには是非試してみたい。残った味噌汁にプレーンヨーグルト、味噌の煮えてしまった古臭さを消してくれる。ふ~んなるほど!鮪の赤身にサラダ油…これは何となく解る。甘い物が大好きな先生は餡とマヨネーズを組み合わせサンドイッチ”あんこまパン”なる物を発明した。甘さ、塩味、酸味の三位一体これこそ美味の王道と言っているが何か想像しただけで怖くなる。本当に美味しいかどうか試してみたい気もする。著者は書誌学者、言葉の使い方が上手で的確で面白い。