BSでイギリスの映画を観た。かつては有名だったオペラ歌手や音楽家が引退後暮らしている老人ホームが舞台です。皆華やかな栄光を引きずって”何故歳を取るの”とか”老老が怖い””この歳になるとお酒に酔っているのか、しらふか解らない””メークじゃなくて塗装よ”などと言い合っている。歌えなくなったプリマドンナ、ジーンは9時間だけ夫婦だったと言う男性と此処で何十年ぶりに出会う。歳を重ねお互い優しい言葉も交わせるようになる。資金難になったこの老人ホーム、ビーチャムハウスを救おうと一夜だけのコンサートを計画し紆余曲折はあったが素晴らしいコンサートになり彼らの人生への情熱はスタッフに希望を与えた。”些細な事で落ち込むが、笑って流してる””老年は弱虫では生きられない”…と彼らは言う。私にはとても身に沁みた言葉でありました。そうです!”老年は弱虫では生きられない!”
外交官の時背任行為で刑事罰を受けた彼が高校一年の夏、東欧ソ連を旅した記録です。1975年冷戦時代のチェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニアそしてソ連を一人で旅するのですから、凄い度胸です。一緒に旅をしているような気持になり(私も2000年を過ぎてからこの四カ国は旅したので)ハラハラ、ドキドキの連続だった。食事がとても詳しく書かれているが、その国の人々の生活を見たいと言う旅の目的だから、美術館や博物館を訪ねる事がなくても仕方がないか。ペンフレンドを訪ねたり招かれれば初対面の人の家までも行ってしまう。社会主義国でまだそれ程危険はなかったとしても彼の行動力には驚いた。英語がかなり達者だったらしいが感心する事ばかり。しかしルーマニアからキエフへ向かう寝台列車のチケットでトラブルが発生、指定席券がなかった。これに乗らないとスケジュールが大幅に乱れる。十五歳の少年は大泣きし泣きじゃくった…とある。色々果敢に挑戦している姿が伝わり感心ばかりしていたが、やはり彼は十五歳の少年の顔もあり何かほっとした。とにかくリアルでこの異質の旅行記は本当に面白かった。蛇足だがこの二年後1977年私たち一家は夫の転勤に伴いイギリスへ渡った。パソコンも携帯電話もない時代…。