お好み夜話-Ver2

でかいだけの猿じゃない !!

『 ♪ ウッホッ,ウホウホ、ウホッホー、大きな山をひと跨ぎ キングコングがやって来た 怖くなんかないんだよー キングコングは友達さ ♪

TVアニメ「キングコング」の主題歌を聴いた子供の頃、“ツッコミ”という言葉は知らなかったが、「山を跨ぐほどでかくねーじゃん」と思ったものだ。

1933年の映画「キングコング」の身長は18メートルだったが、1962年の東宝創立30周年記念映画「キングコング対ゴジラ」
では、ゴジラの身長に合わせるべく40メートルほどに巨大化され、帯電体質という能力を付加されまさに「怪獣」となったコングが登場した。(オヤジはこのときのゴジラ、所謂キンゴジが大好き)

その後、67年の東宝映画「キングコングの逆襲」
では、本家コングへのオマージュともいうべき「ゴロザウルス」との対決が、33年の「コング対恐竜」の死闘とまったく同じカット割で撮影され、円谷英二の思い入れの深さを知らされた。

この映画はゴジラシリーズ以外の怪獣ものとして、特に好きで何度も見ている。

北極点に眠る核物質・エレメントXを発掘するために作られたロボット怪獣「メカニコング」を相手に、東京タワーでの死闘はスリリングだったし,「天本英世」が扮したマッド・サイエンティスト「ドクター・フー」の怪しさと「浜美枝」の妖艶さには、子供心にもグッときちゃいました。

さらに時代は移り、1976年のリメイク版「キングコング」では、ラストシーンの舞台がエンパイア・ステートビルから世界貿易センタービルに変わっただけで、ほぼオリジナルストーリーのままだ。

しかし、全体のお話の荒々しさや美女と野獣の悲恋物語などは33年版に及ばず、話題性が先行したような映画だった。

コングはメカが仕込まれた20メートルほどの等身大なものが作られたりしたが、出来が今イチだったようで、今では大御所になった特殊メイクの「リック・ベイカー」のスーツでほとんど撮影されたらしい。

そのときの絶叫クイーン「ジェシカ・ラング」は、のちにオスカーを手にすることになる。

すぐあとに「キングコング2」も作られ、ビルの上から墜落したコングは人工心臓で甦り、レディー・コングとベビー・コングと仲睦まじく暮らしましたとさ。

このリメイク版の「キングコング」をTUTAYAさんで探したけれど、なかった。

きっと9.11のことがあるので、世界貿易センタービルが出てくる映画は御法度になっているのかもしれない。


さて、21世紀の巨大猿のお話はどうか。


劇場で3時間を超える尺の映画を見るのは結構大変だが、自宅でも油断するとトイレ・タイムが入り,ドリンク補給が必要になる。

準備万端で、久々に100インチのスクリーンに投影して観賞した。

お話を三つに区切ると、ニューヨークから「髑髏島」へ行くまでが第一部、「髑髏島」でコングと遭遇し仕留めるまでが第二部、最後はニューヨークへ戻りエンパイアステートビルのシーン。

一緒に見ていた小僧は、早くも第一部で大アクビ、しかしオヤジは1930年代の街並や、29年のウォール街の大恐慌の影響で失業者があふれ、希望が失われている世相が丹念に描かれていたり、「フェイ・レイ」に映画出演を断られた云々という件はわりと好きだ。

ここまで見て主演女優「ナオミ・ワッツ」の、「シェリル・ラッド」と「エリザベス・シュー」を足したようなオヤジ好みの愛らしさにグッときて、新たな絶叫クイーンの誕生に心躍らせるのであった。(まてよ、アメリカ版「リング」でもうすでに絶叫していたんだっけ。やるなぁ、リメイク女優)

海図にものっていない謎の「髑髏島」は、お約束のロストワールド状態。

制作費2億700万ドル(248億4000万円)という映画史上最高の、「ロード・オブ・ザ・リング」で培った豪華CG満願全席状態で、お腹がいっぱいになります。

「ナオミ」ちゃんは、生きているのが不自然なくらいの体験をしてもおおむね元気で、着ているものも脱げず、ものすごく巨大で果てしなく、危険な生き物がウヨウヨいる島の中を、正確に素早く追跡する脚本家の先生の鼻は異様なくらい高く、きっとこの鼻で「ナオミ」ちゃんの嗅跡を追ったのだと、いいように解釈するのがお話を飽きさせない秘訣でしょう。

ともあれコングは美女の魅力に我を忘れ、人の手に落ちてしまうのでありました。

そしていきなり場面は変わり、ニューヨークであります。

ああ、やっぱり。

大予算でも端折るところは過去の作品と同様にここであったかと、今回もオヤジは少しがっかりする。

数々の苦難の末、食料も人員も失って、やっと捕らえた巨大なコングを、船体に穴の開いた船にどうやって積み込み、航海したのか ?

「ピーター・ジャクソン」監督はリアリティを追求したというが、瞬間移動は不条理じゃないのかい ?

荷揚げと荷下ろしをちゃんと見せてくれぃ ! と思う。

ニューヨークで見せ物として鎖に繋がれたコングは縛めを脱し、「ナオミ」ちゃんを探し求め、エンパイア・ステートビルに登りつめておなじみのラストを向かえるわけだが、怪獣ではなく、あくまで巨大な猿であるコングは、文明の力、いや、女性によって滅ぼされる。

ゴジラやモスラのように何度も生まれ変わって登場することはないので、シリーズ化は子供のアニメにとどまり,リメイクのたびに原点へ戻るのだ。

いくら欧米人がでかい猿が好きだといっても、巨額の費用で完璧なCG「キングコング」が生み出されたので、もうオリジナルストーリーでのリメイクは打ち止めにしてもいいでしょう。

「ウィリス・H・オブライエン」のストップモーション・アニメから始まった巨猿伝説は、その遺伝子を「レイ・ハリーハウゼン」へと繋ぎ、「フィル・ティペット」など数多くの特撮マンに継承され、海を渡り「円谷英二」をも刺激するが、諸処の事情で日本では着ぐるみという文化になって現在に至っている。

近い将来再び「ゴジラ」が甦り、それに呼応するように怪獣としての「キングコング」が復活してほしいと願ってやまないのである。』
                       ( 2006年8月1日の旧ブログより。 赤文字は今 )

 


う~ん、ただのでかい猿に迂闊にも愛を感じているのだろうかΣ(・□・;)

11年前のこの記事が予言したように「ゴジラ」は日・米で蘇り、「キングコング」もまた復活した。

欧米人はなんでただのでかい猿が好きなんだろうと訝しみながらも、今回の「KONG SKULL ISLAND」のコングと「Godzilla」は2020年に戦う定めなので、この映画は観とかないと今後のレジェンダリーのモンスターバースについていけないのだ。


でっ、もう映画冒頭から出てきますよ例の機関が👌

あとはどこで「Godzilla」と繋がっていくのか、1973年のこの物語の時点で体長31.6mのコングはどうやって巨大化して100mオーバーの「Godzilla」とタイマン張るのか、そのへんがどうやって語られるかが今回の観どころ。

1973年といえばベトナムですぜ、「地獄の黙示録」のオマージュ満載。

部下をたくさん失い理不尽な撤退に鬱々としている「プレストン・パッカード大佐」の狂気は、さながら「地獄の黙示録」の「ビル・キルゴア中佐」のようで、「髑髏島」を飛ぶヘリは「ワーグナー」ではないものの大音量でロックを流し、能天気に「サイズミック・チャージ」( おいっ!! オビ・ワンもびっくりだぜっ !! )をばらまかれたらコングでなくても怒り狂うし。

「キルゴア中佐」のように「朝のナパームの匂いは最高だ」とは言わないものの、「パッカード大佐」の狂気に満ちた顔はコングの怒り顔のモデルかよっと突っ込みたくなる。

残念なことにこの「パッカード大佐」、「サミュエル・L---マスターウインドゥ---ジャクソン」はエピソード3並みにあっけない。

「サミュエル・L---マスターウインドゥ---ジャクソン」はハリウッドの「竹中直人」なのだ。


というような、過去の映画を知っている人には随所にフフン、ハハンとニヤリとするシーンがたっぷり。

そして肝心の怪獣プロレスといえば、本家東宝はもうハリウッドにかないまへんがな。

ラドンもモスラもキングギドラも身売りして、まるで芸者の置屋みたいな東宝は「シン・ゴジラ」のようにしか怪獣を扱えないだろう。

プロレスの本場アメリカが怪獣プロレスも持って行っちゃった・・・・・。

まあネタバレ的なことは言わんようにしなけりゃと思うのでこのへんにしておくが、エンドタイトルが流れ出したら劇場を出て行ってしまう人はバカ👊👊としか言いようがない。

絞りに絞ってタンクを空にして最後まで観なけりゃ、「アベンジャーズ」にしても「ジャスティスリーグ」にしてもこれからの「レジェンダリー・モンスターバース」にしても、最近のハリウッド映画はダメなのだ。

たぶんこれ、DVDがでたら買っちゃうなー😁



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