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お好み夜話-Ver2

銀座で鳩を飼う男の話し

東京ビッグサイトで開催されている「国際ホテル・レストランショー(ホテレス)」に2年ぶりに行ってきた。
お勤め人時代から30年余りも毎年行っていたイベントなのに、去年は退院したばかりでまだぜんぜん体力がなく「投げちゃん」に借りた歩行器に頼っていたので、広いイベント会場を歩き回るのは無理と判断して見送ったのだ。
 
今年は店を再開するという目的があるし、厨房機器や関連の物もかなりモデルチェンジ、進化しているだろうから、しっかり見て話を聞こうとリュックを背負ってランニングシューズの紐をしっかり締めて出かけた。
 
コロナ禍の一昨年も事前登録したバーコードでスムーズに入場できるようになっていたけれど、人はあまり多くなくしっかりソーシャルディスタンスがされて、試食の食べ物にも蓋がつけられていたが(東京ビッグサイトにて 参照)、今年は多くの人が次々と入場していて、まあまあ「密」だったり試飲・試食も普通に行われていたりして賑わっていたが、まだ常にマスクは必須。
 
何か面白いものはないか、役に立ちそうな機器はないかと、あちこちのブースに立ち寄り話しを聞き資料をもらってすぐにリュックは重くなった。
 
去年「ホシザキ」から厨房機器の見積もりをもらっていたが、こちらの不調で延び延びになっているうちに様々なメーカーの機器は新しくなって機能的でデザインもいいものが増えていた。
 
こりゃ改めて見積もりをとらないといかんなぁ、それと店内レイアウトも意匠も考え直さなきゃなぁ、何もかも値上げしている昨今でエアコンや厨房機器の光熱費を抑えるにはやはり最新機器を入れるしかないよなぁ、う〜ん大変。


厨房設備や機器の展示会場を見て歩き資料をたくさんもらって、通路の反対側でやっているホテルや宿のホスピタリティや予約システム、テーブルウェアなどの展示会に向かった。
 
こちらにはお勤め人時代から見知った人や会社の展示ブースがあったが、今や顔見知りはもう定年やら転職やらで一人もおらず、ちっぽけな飲食店が関わるようなジャンルでもないし足早にサッと見て歩いた。
 
すると、おおっ「香蘭社」のブースがあるではないか!!
 
 
「香蘭社」は宮内庁御用達の有田焼の名窯で九州で最初に設立された企業法人だ。
 
高級な有田焼などに縁のないオヤジが、なんで「香蘭社」で熱くなるかというと、今は昔18、19歳の頃、当時東銀座にあった東京大空襲にも無事だったザ昭和な「香蘭社」のビルでアルバイトに勤しんでいたからだ。
 
今は無き三原橋地下街にほど近いところに建っていた5階か? 6階建のビルで、全員九州出身の社員の人たちに混じって、有田から届いた壺や花瓶や食器などの入った1m四方の段ボールをえいヤッと担いで階段を駆け上がって所定の場所に納めたり、デパートや宮内庁に配送する商品を車に積み込んだりして結構いい時給をもらっていた。
 
午前中から力仕事をしたおかげで昼になると腹はグウグウ鳴って、三原橋地下街の定食屋や路地奥の中華でガツガツ飯をかっ込み、午後は次の荷物が到着する間にみんなでトランプしたりして待ち、荷物が到着すると上司の号令一下トラックに殺到し、競争のように荷物を担いで階段を駆け上がったものだ。
 
夕方仕事が終わると「一杯行こうか」と誘われて、また三原橋地下街の飲み屋でたらふく食わせてもらい、覚束ない酒を飲んだりした。
 
当時の「香蘭社」のビルの屋上には鳩小屋があって、そこに住んで伝書鳩を飼育している社員の方がいた。
 
もう名前も忘れてしまったが、銀座に住民登録をして伝書鳩を飼っているその方の話しが興味深く、まだ超高層ビルの少なかった銀座の街を鳩の鳴き声をBGMに眺めるのが好きだった。
 
 
独特な瑠璃色が美しい皿や蘭の花がデザインされたカップなどを見ていたら、物腰も見てくれもエグゼクティブな男性に声をかけられた。
 
出された名刺を見れば美術品の海外輸出などを担当されているマネージャーの方で、問わず語りに昔話を披露したら、屋上に住んで鳩を飼っていた社員の方のことは伝説的に語られているんだそうな。
 
リアルタイムでそのことを知っている社員の方はもうほとんどいないそうで、貴重な話しをありがとうと言われてしまった。
 
ふへぇ恥ずかしい、ただのジジイの昔語りなのにサ( ̄∀ ̄)
 
 
「香蘭社」のブースに別れを告げて、ひと通り見て回ってホテレスの会場を後にした。
 
久しぶりにいろんな人と話して、専門的なことや知らないことを尋ねたり、レシピの工夫を学んだりしてすごく役に立って楽しかった。
 
やはりもっともっと人と接していかなければいけないと、身にしみて思った。
 
 
我が家には「香蘭社」のカップ&ソーサーのセットが生意気にも、ある。
 
バイトをしていた頃、B品の製品が安く買えたのだ。
 
実家や親戚にもその頃買った皿や器などが今でもあるはずだ、まあお客様用で、普段は使ってはいないだろうけど。
 
しかしせっかくだから、棚の奥に仕舞ったカップ&ソーサーを出してコーヒーを淹れてみた。

う〜ん、ちょっとはリッチで落ち着いた時間が流れたかも(^_-)
 

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