宮城県美術館で11月7日まで開催中。
……うーん。期待値はそれほど高くはなかった。まあ予想通りだったとは思う。
しかしせっかくはるばるフランスから借りて来るのなら、
もう少しラインナップを工夫した方がいいんじゃないかね?
コローが16枚来ている。これがメイン。
まあコローも有名といえる画家だし、それが16枚来てるのならそれなりに……
とは思ったのだが、あんなに似たような絵ばっかり持ってきても仕方なかろう。
フォンテーヌブローの森。
木と野原と時々川、という描いてあるものは変わらないし、
光はほぼ曇りの夕方の薄暗い光だし、色調が変わらない。
一枚一枚は小品ながら佳品やそれに準ずるものだが、
それを16枚並べられてもねえ……
全部の絵が、まあこれなら壁に飾れるかなと思う出来なのだが、
壁に飾れる程度ということは一枚で鑑賞するインパクトはないわけです。
これで展示会は退屈。
ブーダンは多少良かった。7枚。
しかし個別認識が出来るほどの一枚はなく。
ルノワールやモネも1枚2枚来てるんだけど、当然ザ・モネというクラスではなく。
ピサロが若干ピサロだった以外は、モネを見た!という気もしない。
会場を通り過ぎるだけでいいかなというレベルだった。30分。
まあ元を取ろうという貧乏性な意識も働いて、それでも1時間弱かな。
そんななかで、スタニスラス・レピーヌという画家の2枚は良かった。
くれるというならこの人の絵を貰って帰る。多分くれるとはいわないだろうけど。
色合いが地味な来展絵画の中で、珍しく光あふれる絵だったということが
目を惹いたのかもしれないが、絵に優しみがあるんだよなー。
わたしはモネとピサロとシスレーを兄弟として扱っているが(←謎)、
この人は彼らの大叔父様という感じだ。覚えておきたい。
そしてレオ・ドルーアンという人のエッチング。
版画はそんなに興味がないのだが、この人は白黒で、光を感じる絵だった。
タイトルは「ジロンド、ラカノー沼」。
画家の版画はラフスケッチみたいな作品も多い気がするが、丁寧だった。
――が、ランス美術館は前座だ!
※※※※※※※※※※※※
今回のエキシビはむしろ、同時開催の
◆ 宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美-東北ゆかりの品々
こっちの方が見応えがあるのではないか。
前売チケットを買った時はこっちに期待をしていたはずだが、忘れていた。
点数はそこまで来ていないんだけどね。
いつも常設展をしている部屋を2つ分使ったくらい。
でもいいものを数点――10点くらい見られたので満足感が高かった。
なによりもまず、最初に渡されたパンフレットに大変お得な気分になった。
カタログというのは大げさだが、フルカラー24ページは見たことのない充実ぶり。
全点――むしろ入れ替えする絵も載っているから、実際見られる絵以上――掲載。
うれしいわあ~。きれいですもん。
〇皇室ボンボニエール
ちらっとしか見たことがなかったから、10個まとめて見られたのは重畳。
前から見たいと思っていた。
全体的に思ったよりも地味。もっと華やかなものを想像していた。
おおむね銀細工、そこに菊の御紋を金で象嵌するというデザインが多かった。
10個のうち、貝桶型が可愛かったな。鉾型はボンボニエールという名称からは
かけ離れている気が……
「砂糖菓子入れ」というイメージからくるふわふわしたものじゃなくて、
もっとごつい。むしろ文房具の何かみたいな感じ。
〇円山応挙「群獣図屏風」
かなり大きな屏風。最初から宮中からの依頼で描いたそうだから、力が入ったろう。
右隻の、こっちを見ている犬の目が可愛くてねえ。優しいの。
カタログでは気にならないんだけど、実際に見ると松や杉を描きこまない方が
良かったんじゃないかなと感じた。
木が描いてあると「木」と「動物」という風に捉えてしまって、
動物が塊になってしまう。
木がなければ動物をもっと個々の意識をもって見られたんじゃないかな。
しかしよく見ると木にも栗鼠とか猿とか描いてあって、まあこれはしょうがないのか。
応挙は上手いですよね。動物も。
〇瀧 和亭(たき かてい)「花鳥之図」
かなり大きい三幅一組の掛け軸。掛け軸としては最大サイズかも。
花は良かった。鳥がサイズに対してわずかに迫力に欠けるかと感じた。
でも良かったですよ。ザ・花鳥画ですな。
〇土田麦僊「罌粟」
これも大きめの軸。日本画だけど、リトグラフのようなグラデーションの色合い。
茎と葉の線が細いのは狙っているのだろうけど、花だけが浮き上がることに
なるので、それを画家はどう考えているのだろうかと思った。
すごくきれいな絵。
〇前田青邨「唐獅子」
なんかスゴイ。という第一印象。
こんなデカイ屏風でこんなマンガ的な絵柄というのは珍しい。
前田青邨ってこんな画風の画家でしたっけ?
唐獅子、ユーモラスで愛らしいですね。
線が太いんだけど、線自体に濃淡をつけてあまり印象が強くなりすぎないように
工夫をしている。
〇東山魁夷「萬緑新」
ザ・東山魁夷。白馬は出て来ないけれども。
昭和天皇夫妻が新婚時代に訪れた猪苗代湖の風景だそうだ。
心が落ち着く絵。
他に洋画とか小彫刻なんかもあったけど、わたしの嗜好が日本画なので
日本画ばっかり並びました。久々にいい日本画が見られて幸せ。
めでたし。
パンフレットに載っている絵で、
平福百穂「玉柏」
寺崎廣業「秋景山水」
西村五雲「秋茄子」
も見たかったなあ。入れ替えするんだろう。
しかしこの3枚のために1500円出してもう1回行く気にはならない。
……うーん。期待値はそれほど高くはなかった。まあ予想通りだったとは思う。
しかしせっかくはるばるフランスから借りて来るのなら、
もう少しラインナップを工夫した方がいいんじゃないかね?
コローが16枚来ている。これがメイン。
まあコローも有名といえる画家だし、それが16枚来てるのならそれなりに……
とは思ったのだが、あんなに似たような絵ばっかり持ってきても仕方なかろう。
フォンテーヌブローの森。
木と野原と時々川、という描いてあるものは変わらないし、
光はほぼ曇りの夕方の薄暗い光だし、色調が変わらない。
一枚一枚は小品ながら佳品やそれに準ずるものだが、
それを16枚並べられてもねえ……
全部の絵が、まあこれなら壁に飾れるかなと思う出来なのだが、
壁に飾れる程度ということは一枚で鑑賞するインパクトはないわけです。
これで展示会は退屈。
ブーダンは多少良かった。7枚。
しかし個別認識が出来るほどの一枚はなく。
ルノワールやモネも1枚2枚来てるんだけど、当然ザ・モネというクラスではなく。
ピサロが若干ピサロだった以外は、モネを見た!という気もしない。
会場を通り過ぎるだけでいいかなというレベルだった。30分。
まあ元を取ろうという貧乏性な意識も働いて、それでも1時間弱かな。
そんななかで、スタニスラス・レピーヌという画家の2枚は良かった。
くれるというならこの人の絵を貰って帰る。多分くれるとはいわないだろうけど。
色合いが地味な来展絵画の中で、珍しく光あふれる絵だったということが
目を惹いたのかもしれないが、絵に優しみがあるんだよなー。
わたしはモネとピサロとシスレーを兄弟として扱っているが(←謎)、
この人は彼らの大叔父様という感じだ。覚えておきたい。
そしてレオ・ドルーアンという人のエッチング。
版画はそんなに興味がないのだが、この人は白黒で、光を感じる絵だった。
タイトルは「ジロンド、ラカノー沼」。
画家の版画はラフスケッチみたいな作品も多い気がするが、丁寧だった。
――が、ランス美術館は前座だ!
※※※※※※※※※※※※
今回のエキシビはむしろ、同時開催の
◆ 宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美-東北ゆかりの品々
こっちの方が見応えがあるのではないか。
前売チケットを買った時はこっちに期待をしていたはずだが、忘れていた。
点数はそこまで来ていないんだけどね。
いつも常設展をしている部屋を2つ分使ったくらい。
でもいいものを数点――10点くらい見られたので満足感が高かった。
なによりもまず、最初に渡されたパンフレットに大変お得な気分になった。
カタログというのは大げさだが、フルカラー24ページは見たことのない充実ぶり。
全点――むしろ入れ替えする絵も載っているから、実際見られる絵以上――掲載。
うれしいわあ~。きれいですもん。
〇皇室ボンボニエール
ちらっとしか見たことがなかったから、10個まとめて見られたのは重畳。
前から見たいと思っていた。
全体的に思ったよりも地味。もっと華やかなものを想像していた。
おおむね銀細工、そこに菊の御紋を金で象嵌するというデザインが多かった。
10個のうち、貝桶型が可愛かったな。鉾型はボンボニエールという名称からは
かけ離れている気が……
「砂糖菓子入れ」というイメージからくるふわふわしたものじゃなくて、
もっとごつい。むしろ文房具の何かみたいな感じ。
〇円山応挙「群獣図屏風」
かなり大きな屏風。最初から宮中からの依頼で描いたそうだから、力が入ったろう。
右隻の、こっちを見ている犬の目が可愛くてねえ。優しいの。
カタログでは気にならないんだけど、実際に見ると松や杉を描きこまない方が
良かったんじゃないかなと感じた。
木が描いてあると「木」と「動物」という風に捉えてしまって、
動物が塊になってしまう。
木がなければ動物をもっと個々の意識をもって見られたんじゃないかな。
しかしよく見ると木にも栗鼠とか猿とか描いてあって、まあこれはしょうがないのか。
応挙は上手いですよね。動物も。
〇瀧 和亭(たき かてい)「花鳥之図」
かなり大きい三幅一組の掛け軸。掛け軸としては最大サイズかも。
花は良かった。鳥がサイズに対してわずかに迫力に欠けるかと感じた。
でも良かったですよ。ザ・花鳥画ですな。
〇土田麦僊「罌粟」
これも大きめの軸。日本画だけど、リトグラフのようなグラデーションの色合い。
茎と葉の線が細いのは狙っているのだろうけど、花だけが浮き上がることに
なるので、それを画家はどう考えているのだろうかと思った。
すごくきれいな絵。
〇前田青邨「唐獅子」
なんかスゴイ。という第一印象。
こんなデカイ屏風でこんなマンガ的な絵柄というのは珍しい。
前田青邨ってこんな画風の画家でしたっけ?
唐獅子、ユーモラスで愛らしいですね。
線が太いんだけど、線自体に濃淡をつけてあまり印象が強くなりすぎないように
工夫をしている。
〇東山魁夷「萬緑新」
ザ・東山魁夷。白馬は出て来ないけれども。
昭和天皇夫妻が新婚時代に訪れた猪苗代湖の風景だそうだ。
心が落ち着く絵。
他に洋画とか小彫刻なんかもあったけど、わたしの嗜好が日本画なので
日本画ばっかり並びました。久々にいい日本画が見られて幸せ。
めでたし。
パンフレットに載っている絵で、
平福百穂「玉柏」
寺崎廣業「秋景山水」
西村五雲「秋茄子」
も見たかったなあ。入れ替えするんだろう。
しかしこの3枚のために1500円出してもう1回行く気にはならない。
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