10年ぶりくらいにカメイ美術館に行ってきました。人生2度目。
場所は行きやすいんですけどね。でも車で行くところじゃないと、結局足が遠のく。
まあ車で行くところも、行かないところは行かないんですけど。
特別展が「花の絵画展」というのに惹かれて行って来た。
まあそれほど規模は大きくないだろうとは思ったけど。
カメイ美術館は常設展が蝶の標本メインで、こけしがサブというカメイの創業者の
趣味全開の美術館。それに小さい特別展を合わせて展示していることが多いよう。
まあ「花の特別展」は想像通りの規模感。大作はないね。
スペース的にも大きめの展示室1室だけだから、ん-、何枚くらいかなあ、
50枚くらいあったかなあ。
展示作家が32人。だいたい1人1枚が基本で、何人かが3枚くらいあった気がするから、
40枚くらいなのかな。
小さい美術館の特別展でよくあることなんだけど、作品リストを作ってくれないのよね。
エクセルでいいから、作家と作品名と制作年くらい表にしてくれるといいんだけどね。
でも全体的にみんな好きな方の絵だったので眺めて楽しかった。
三岸節子の「花(ヴェロンにて)」はこってり厚塗りの黄色い花。好き。
千住博の夜の桜の絵。サイズ的にも売り絵だろうが、細かく丁寧に描いてて、
どんな筆を使ったらこういう表現が出来るんだろうなあ。買って飾りたいような絵。
ヴラマンクが3枚あって、かなり普通の花。3枚とも良かったな。赤の色が印象的。
李エン(エンの字は火が3つ)という人のハスの花の絵2枚と、
にじみを利用した木の絵が良かった。
いいですね。花の絵はね。難しいこと考えなくてもきれいだしね。
最近実作を始めたので(というほどのことはない。すぐに飽きると思う。
なにせわたしは驚くべき画伯だから)絵の見方ががらりと変わった。
どんな描き方をしているか、どんな色を使っているか、それを参考に出来るか、
という観点から見るようになって、なんか邪道な気がする。
前は絵の全体と向き合えたのに。部分をしか見れなくなっている。
あ、そうそう。忘れる所だったが、この美術館のメインは何といっても蝶の標本。
何しろ数がすごいからね!標本箱がいくつあるか、概算で数えてみようとして
それがめんどくさくなるほどたくさんあるからね!
パンフレットには亀井文蔵のコレクションの中から選んだ4000種・14000頭
(蝶は「頭」で数えるんですよ。知ってましたか?わたしは忘れていつも
「匹」といってしまうが)を展示していると書いてある。
40センチ内外の長方形の標本箱が、およそ400……くらいあるんじゃないですかねえ。
1箱5秒で見るとしても、30分かかる計算になります。
蝶に興味がある人は少ないと思う――特に標本には。
しかしそういう人が行っても楽しめます。
わたしもね。前に行った時には「蝶の標本なんか見てもしょうがないよなあ……」と
思っていたの。そりゃきれいだろうけど。でもいくら見ても蝶は単に蝶でしょ?
でも思っていたのと違った。わたしは蝶というより、手仕事の――自然の手仕事の
美ととらえた。丹念に作られた職人の手仕事の精緻さがある。
神の手がちまちまと作る自然の美。これをたくさん、手軽に一ヶ所で眺められる。
不思議に飽きませんよ。最終場所で分類されているとはいえ、
蝶はけっこうあちこちで似たような模様が発達するらしく、
たくさん見てもそこまでバリエーションが豊かではない。
それでも見てて飽きない。ここは不思議なところ。見て欲しい。
10年前に行った時はこんな感じ。https://blog.goo.ne.jp/uraraka-umeko/e/1325f56adf3d290217cfa2dd4020c108
蝶にしてもこけしにしても、自分の趣味を公開する場所を作れたんだから
亀井文蔵という人は幸せな人だね。
地元じゃない人のために付言しておくと、この人は地元の有力企業の創業者で、
まあ社長さんが作った道楽の美術館。
でもそれをわたしたちにも楽しめるようにしてくれたことにはやはり感謝したい。
――というわけで、島川美術館ももう少し力を入れて公開してくれないかね。
コロナ禍下の閉館は仕方ないと思うけど、この春のタイミングで今年度の営業は
見送るなんて言われると、結局公開はどうでも良くて、単に節税対策でしか
ないんじゃないかとがっかりする。
まあ絵画蒐集は趣味としても、その公開にはお金がかかり、会社の利益の話なので
クレクレもずうずうしい話かもしれないが、せっかく街なかに立派な美術館も
作ったんじゃないですか。
仙台市博物館も宮城県美術館も閉館するタイミングで島川美術館あたりに
がんばってもらわないと困る。
がんばって営業してください。いい絵がたくさんあるんだから。見たいんです。
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