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本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ いしいしんじ「みずうみ」

2012年05月04日 | ◇読んだ本の感想。
ファンタジー系純文学。

第一章は読みにくかった。
基本的には設定を語り続ける話なので――ただ、大変滑らかに上手く語られるので、
どこぞの誰かとは違って、設定に淫しているとまでは思わない。というよりむしろ、
設定語りであることには今気がついた。
さくさく読めて、そういう意味での読みやすさはある。

だがその設定が好みでないのであれば、退屈は退屈なのですね。読みにくい、と感じた所以。
眠り人が口から水を吐き続け、その水に浸って村人たちが云々、と言われても、
……人間の体のどこにそれだけの量の水を溜めておけるねん、とか考えちゃうし。
いや、そういう話じゃないことは頭ではわかっているんですけどね。

第二章になって、タクシー運転手が主人公。
第一章とはだいぶ毛色の変わった話になるのかなと思いきや、わりあい相似形なんです。
舞台を現代日本に移したくらいで。

第三章は、文章の雰囲気は若干変わった。
饒舌になったというか。言葉数が多くなり、しかし主要登場人物の繋がりがよくわからない。
登場人物の関わり合いでストーリーが進んで行くという種類の話ではないから、
わかる必要はないのだろうと思うが……これもノレるかノレないかの違いでしかない。
早い話、わたしの好きな山尾悠子作品とこの話は、それほど遠いところにはないと思うもの。

ただ、この話の生理的なぬちょぬちょ感が嫌いだったんですね。
何しろ水の話だから。水と体について書けば、それはまあ、でろりとした話にはなりますわな。
わたしはどっちかというと生理的な話は好きではないので……
頭で書いた、硬質っぽいものの方が好きだ。(頭で書いたものが全部いいわけでは無論ない。)

きれいな話と、言えば言えるであろうが。
……まあでもぬちょぬちょ感が乗り越えられなかったと。


この人の作品は「プラネタリウムのふたご」を読んだことがあって、
悪くはないと思ったはずだけど、少々否定的に言えば毒にも薬にもならないかなと。
その繊細さに共鳴出来れば。好きな人は好きだろう。
あとは「麦踏みクーツェ」を読んでみるが……それで終わりな気がする。


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1 コメント

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ねぇ (nene777ne@yahoo.co.jp)
2012-05-06 02:14:12
はじめまして!ヾ(〃 ̄ ̄ ̄ ̄(エ) ̄ ̄ ̄ ̄〃)ノヽ口―♪ 初めてコメント残していきます、おもしろい内容だったのでコメント残していきますねー私もブログ書いてるのでよければ相互リンクしませんか?私のブログでもあなたのブログの紹介したいです、私のブログもよかったら見に来てくださいね!コメント残していってくれれば連絡もとれるので待ってますねーそいじゃ○・*。●.。・*○・。●*.*。アドレス残していくのでメールしてね!そいじゃ○・*。●.。・*○・。●*.*。
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