プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ ジョナサン・ハリス「ビザンツ帝国 生存戦略の一千年」

2022年10月13日 | ◇読んだ本の感想。
歴史上、さまざまな国はあれどビザンティン帝国と神聖ローマ帝国は
なんだかもやもやとしてさっぱりわからないんだよなあ……。
と、言おうと思ったが、わたしがさっぱりわからないのはその二つだけに限らず、
世界のほとんどの国はわからないのであった。


実は本当に読もうと思ったのは、この著者の「ビザンツ帝国の最期」という
本だったんだけど、図書館になかった。なので本作を読んでみました。

これは……「生存戦略の一千年」ではないなあ。
単にビザンティン帝国の通史だった。基本的に権力者たちを中心に据えた通史。
まあそれなりにビザンティンの生存戦略というか、行動パターンは見えて来るが、
戦略について語ってくれる本ではなかった。

とはいえ面白かったです。
とにかく通史なので、素直に読み進められる。

だが問題は、かの地の人々の名前がとても覚えにくいこと。
しかも皇帝がたくさん出て来るので、なんとか何世とかばっかりなんですよ。

そればかりのせいではないが、内容もそうそうしっかり頭に入るわけではなく。
なんとなーくもやもやーっと、全体の雰囲気をつかむ。
それによるとビザンティン帝国ももやもやーっと生きていたようですね。

政教分離してない。
東西で領地争いはしているけど、そこまで積極的に拡張政策は取らない。
攻め込まれた時の対処法は、攻め込んだ相手の敵にお金を渡して攻め込ませる。
コンスタンティノ―プルの都と地方の乖離が激しい。
「ラテン人」とビザンティン帝国の関係性は複雑だ。
ローマ帝国の末裔という自意識のあるビザンティン帝国と
聖地奪還を掲げるローマ・カトリック、しかし利を得ようとする王侯貴族。
……この程度ですか、わたしが掴んだのは。

代々の皇帝たちも、最初から知ってたユスティニアス1世(しかし1世かどうかは
確認しないとわからない)以外は結局名前を覚えられず……。
バレイシオス2世の前後が面白かったかな。でもずっと覚えていられる自信は
まったくない。

軍事貴族が皇帝になるというくだりは、日本古代史とか、
あるいは天皇と幕府の関係も思い出させた。
そこはかとなく日本との類似を感じるなあ。全体的な優柔不断ぶりとか。
皇帝が濃厚に宗教を背負っているところ。

うん。ビザンティン帝国はわかった。
大変ややこしいということがわかった。
まあそれがわかっただけでもいいやね。地味だけど面白かったし。

この本は通史を読みたい人におすすめ。
分析や解説が少ないので、もっと要領良く覚えられる本は
他にあるかもしれないけど。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 89ers、10月8日と9日の試合。 | トップ |  89ers、10月15日の試合。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

◇読んだ本の感想。」カテゴリの最新記事