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◆ 極上美の饗宴「イタリア 驚異の3D天井画~ポッツォのバロック~」

2012年05月20日 | ◆美しいもの。
やはり世界は広い。美術系の有名どころはチェックしている方(だろうと思う)だけれど、
ポッツォの作品を見たのは初。
名前はうっすら聞いたことがあるような……。でもいろんなポッツォさんがいるようだから、
記憶違いの可能性の方が高そう。


いや、面白いものを見た。
サンティニャツィオ教会の天井画、「聖イグナティウス・デ・ロヨラの栄光」。
3Dゆーても、そんな言うほどじゃなかろう、と思っていたが、ほんとに飛び出す絵本のようでした。

遠近法を使った、騙し絵的な天井画は数多くある。
が、そういうのとポッツォの作品は一線を画す。
どう違うかというと――あ、そうそう。ひと頃流行った、立体視。まさにあんな感じ。
キモチワルイほど浮き上がって見える。

描いているテーマは、聖ロヨラがイエスによって天に引き上げられる場面で、
(しかしこれは実際は遠景に留まっている)
キリスト教を各地に広めたロヨラの功績を讃えるために、
四大陸を擬人化された女性として描いている。この女性像たちの立体感が見事。

例えばこの技法で、ポッツォが宮殿の天井に絵を描いていたとしたら、
天井の高さは倍に、そして多分シャンデリアも実際にあるように描けると思うので、
オカネをかけなくても豪華な建造物に見せかけることが出来るというわけですね。
……まあシャンデリアが贋物だと、光源をどうするかという根本的な問題が出て来ますが。

それに、描くのがすごくめんどくさそう。
今でこそコンピューター解析しグラフィック化することは比較的容易であるけれども、
当時は、多分視点(床のある一点)から、天井の隅々にまで糸を張って、
基準グリッドをものすごく細かく引いて、下絵を地道に映していったんだろうということだった。
ポッツォ一人でやったはずはないけど、大変そうですねえ。
そんな面倒なことをする根性がないわたしには、もうそれだけで驚異。

見たのが画面の小さいテレビだったので、失敗したなーと思った。
これこそハイビジョンの大画面で見るべき番組だった。再放送を待とう。


しかし、たしか遠近法は、その初期には教会によって
“悪魔の技法”呼ばわりされてたんじゃなかったっけ?そんなことを読んだ記憶があるな。
遠近法は目の錯覚を利用して立体感を出す、言わば騙しの技法だから。
宗教的な主題を描くのに、騙しの技法は相応しくないということで。
それがついにはここまで来るのだから、感無量です。

サンティニャツィオ教会。
今度ローマに行ったら、行ってみずばなるまい。
多分ねー、サンティニャツィオ広場にあると思うんだよね。
そしてサンティニャツィオ広場は、真上を見上げた時のスカイラインが大変面白いところ。
……らしい。陣内秀信さんの「歩いてみつけたイタリア都市のバロック感覚」という本http://blog.goo.ne.jp/uraraka-umeko/e/27d79e77a64f7b50ceb624f88b61820fに
書いてあった。










そうすると、……あれ?
サンティニャツィオ教会の天井画も、この本で触れられてないはずはないのかな。テーマ的に。
さっぱり記憶にないが。
いかに本を漫然と読んでいるか、よくわかる。


……そして、何度も言っているが、NHK。
もう少しまともなHPを作れ。せっかく面白い番組を作っても、後で詳細が確認できないんじゃ
価値が半減ではないか。HPの情報量はほぼゼロだぞ。






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