資料
<洗浄の概要>
洗浄とは、洗浄物から汚れを除去すること
<超音波洗浄>
定義1(一般的な超音波洗浄)
超音波洗浄とは、洗浄液中に超音波を照射し、発生する衝撃波で洗浄物から汚れを除去
すること
定義2(理想的な超音波洗浄)
超音波洗浄とは、汚れが除去された被着体の表面性が満足される状態になるようにすること
定義3(超音波洗浄の原理)
超音波洗浄には、物理作用と化学作用による2種類の要素がある
物理作用はキャビテーションあるいは水の流速(加速度)により洗浄を行うこと
化学作用は水や洗浄液の化学反応を促進させることで洗浄を行うこと
効果のある洗浄の条件
効果のある洗浄とは
汚れのある洗浄物の界面擬集エネルギーに打ち勝つ超音波エネルギー
を界面に与えることで汚れが除去されること
汚れのない洗浄物の表面擬集エネルギーよりも小さい超音波エネルギー
を界面に与えることで洗浄物にダメージを与えないこと
条件
1) 1年の中で、季節変化の影響による洗浄効果の変化を最小限にする
2) 1日の中で、時間経過の影響による洗浄効果の変化を最小限にする
3) 洗浄液の変化による洗浄効果の変化を最小限にする
4) 除去した汚れの再付着量を最小限にする
5) 洗浄液・洗浄物・洗浄治具・洗浄水槽・超音波 等の最適化により洗浄効率を高くする
<システムの振動について>
「 変化する特性を持った系の振動は広範で複雑である
A)変位に依存する剛性を持ったもの
B)変位に依存する減衰を持ったもの
C)時間に依存する剛性を持ったもの
これらは問題の表面をかじったにすぎない、もっと風変わりな現象もたくさある 」
超音波の振動を検討する場合、特に忘れがちなのが
水槽や設置部全体の振動(A)
洗浄液・洗浄物・洗浄治具の振動(B)
循環ポンプ・ヒータによる振動(C) (ポンプの脈動、回転振動、熱応力 等)
上記の組み合わせによる複雑な振動が発生しています
これらが超音波の振動を減衰させないようにすること
が超音波の効率を高めるうえで大切です
適切に減衰させることで騒音を調整させることが騒音対策です
適切に減衰させ音響流を調整することが洗浄力の制御です
この観点でシステムをみると問題点をすぐに改良できます
(これが超音波システムの振動による各種調整に関するノウハウです)
A・B・Cの振動を見ることが出来るようになるためには
注意深い観察の繰り返しと、設計・製作の経験が必要です
(経験から、かならず見れるようになります
ポイントは全体を一定時間、変化する系の振動と感じることです)
<システムの振動について No.2>
自動搬送等のロボットの制御について最近では以下の事項があります
A)安い材料で軽量にするため部品の剛性が弱い
B)海外で組み立てるため、組み立てのバラツキがある
C) A・Bの問題を制御で対応処理する
CPUの性能により、あるところまでは改善できますが
根本的な解決には、
「制御することで発生する振動の影響」を考慮した解析が必要です
実際のロボット制御では、統計モデルに基づいた予測と制御を行い対応しているものもあります
但し、各部品の剛性バランスが悪い場合は、しばらく動作させてデータ採取とモデル作成を個別に行うような仕様になっています
超音波の振動を検討する場合にも同様なことがいえます
つまり、超音波自身による影響を考慮した制御が必要です
大変難しいことではないのですが、技術者があまり取り組まないジャンルの
「 統計数理解析 」です
これまでの経験をもとにから実験や改良を行うのではなく、
複雑な現象を統計モデルに基づいて解析することで
最も重要な問題点が浮かび上がってきます
( 理由は現象が複雑すぎるので単純化によるリスクが大きく
データに基づいて行うほうが良いと言うことです
間違いのない自信のある経験で確実に改良できるのであれば
統計処理を加えることで普遍性が追加される可能性があります
経験として、私は、低周波の振動モードと高周波のモードを同時に把握することは大変難
しいと思います )
特に推奨させていただくのが
1) ダイナミックシステムの統計的解析と制御:赤池 弘次/共著中川 東一郎/共著:サイエンス社
2) 生体のゆらぎとリズム コンピュータ解析入門:和田 孝雄/著:講談社
です
( 多くの現場で時系列データを採取していても、解析が単純であることが多く
結果につながっていません、ノウハウとしてコンピュータの進歩により大変進歩している
最新の時系列データの解析方法(書店では経済学のコーナー等にあります)を
学習して身につけることを提示します
注:自己回帰性を考慮した制御を行うと実験に再現性が多くなり、改良がしやすくなります