数学は知性の世界だけに存在しうるものではない、
何を入れなければ成り立たぬかというと、
感情を入れなけれは成り立たぬ。
数学の体系に矛盾がないというためには、
まず知的に矛盾がないということを証明し、
しかしそれだけでは足りない、
銘々の数学者がみなその結果に満足できるという
感情的な同意を表示しなければ、
数学たとはいえないということがはじめてわかったのてす。
じっさい考えてみれば、
矛盾がないというのは感情の満足ですね。
矛盾がないというのは、矛盾がないと感ずることですね。
感情なのです。
そしてその感情に満足を与えるためには、
知性がどんなにこの二つの仮定には矛盾がないのだと
説いて聞かしたって無力なんです。
ともかく知性や意志は、感情を説得させる力がない。
ところが、人間というものは感情が納得しなければ、
ほんとうには納得しないという存在らしいのてす(注:一部省略)」