えいじさんは、70代男性。電気工事関係の自営業を営んでいた。身体的な障害はほとんどないが、心臓疾患を抱えていたため多少の健康不安はある。
性格は几帳面、少し神経質。私が会った男性全般に言えることだが、えいじさんもプライドは高い。でも、依存的。社長さんだったのだから、もっと自立的な考え方をするのかな…という私の期待とは違っていた。
よく、私の仕事の合間を見計らって、個人的な話しをしに来た。たいてい、家族の愚痴話しが多かった。
えいじさんの趣味の話しに切り替えると、好きな昭和歌謡の話し等もしてくれる。昔の歌を覚えたいと私がお願いすると、カセットテープに様々な曲を録音してくれた。
ある時、友達と九州方面へ旅行に行くと言って出掛けた。
その旅行から帰ってくると、えいじさんと、えいじさんの家族が大勢集まって深刻そうに話しあいをしていた。内容はわからない。ただ、その後しばらくして、えいじさんは離婚した。
旅行に一緒に行っていたのは、奥さんではなく、彼女だった。
一度だけ、その女性をお見かけしたことがあるが、私には、えいじさんとは不釣り合いなように見えた。
女性に何を言われたのかはわからない。
でも、かいがいしくお世話をしてくれるようなタイプには、どうしても見えなかった。
依存心の強い、えいじさんのような高齢の男性と、この女性はいつまで一緒にいられるだろうか?ふと…そんな事を思った。
何の根拠もない、勝手なわたしの想像だけど。
離婚後、まもなく、えいじさんとこの女性は同居を始めたらしい。
えいじさんが今もお幸せなら、それでいい。