吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

雨の日の友

2013年05月14日 | モノ

傘の話。

先日の東京行きの時、雨でした。
その翌日は本当に気持ちよく晴れました。

パパが張り切って仕事で出かけるからと家族に言われたワタシです。
僕が「明日外仕事をやるぞ宣言」をすると、雨や嵐になることが多いようです。
張り切って砂漠に行ったら?とか言われております。

雨といえば傘。
防水の上着も良いのですが、夏場は暑いです。
街では折りたたみの傘がやはり便利ですね。

これが愛用品

折りたたみのジャンプ傘(ワンタッチ傘)です。
記憶を辿ると20年前にはすでに使っていました。
最近はさすがに布の骨が当たる部分なんかが劣化していますが、まだ使えます。

昔読んだ童話で、傘職人の話がありました。タイトルや作家は憶えていないので、もし心当たりのある方は教えてください。外国の作品の翻訳だったような気がします。
うろ覚えなので、適当に補完してざっとこんな話。

貧しく若い傘職人が、初めて来たお客さんである女の子に一生懸命青い傘を作ってあげました。
その傘をさすと、まるで小さな部屋にいるように心地良くて、女の子はとても喜んだのでした。
彼の作る傘はやがて評判になって、たくさんの人が買い求めるようになりました。
気をよくした彼は手を抜いて作るようになり、やがて廃れてしまったのでした。
再び貧しくなってしまった彼のもとに、女の子が壊れた彼の傘を持ってやってきます。
その傘を直しながら、彼は自分のかつての仕事の誠実さを思い出したのでした。
直った傘をさすと、まるで小さな部屋いるように心地良かったのでした……。

その後、彼の傘が再ヒットしたかは憶えてません。
まあ、よくある教訓めいた話ではありますが、品質とコストのせめぎ合いは、食べ物にしろ、機械にしろ、アニメにしろ、ものをつくるという仕事には常に付きまとう問題です。

傘の下が小さな部屋という表現が妙に気に入っているのです。
その後、キャンプをするようになって、テントを使うようになって、この話を思いだし、ジープ(幌)に乗るようになって、また思い出しました。
これらの空間は雨の時、決して快適ではありません。蒸れたり、結露したり、雨漏りがしたり。
傘の下の心地良い小さな部屋というのは、夢のまた夢です。
しかしながら、布を叩く雨の音を聴きながら、心地良い部屋とか、晴れた空とかを想うのも良いものです。

今では傘というのは多くの場合使い捨てのものらしい。
鉄道での傘の忘れ物は凄まじい数だそうです。あれの扱いはなかなか厄介らしい。
人様の財産なのか、廃棄物なのかの判断の線引きが難しい上に数がとんでもなく多い。
この頃はほぼ廃棄物扱いになっているようですが、大変な手間になっていることは変わりないのです。傘という資源の浪費、鉄道というサービス業の空間、人的資源の浪費です。

折りたたまない傘はいっそ大きい方が好きです。
以前、土産物の和傘(竹と紙のやつね)を使ったことがあったのですが、とても使い心地が良かったのです。
さした状態では重心が非常に高くなって独特の安定感があるのです。
箒を指先に立てて遊んだことあるでしょ。アレです。
ネットで見るに日本企業の中国製なら2~3千円からあるので、また使ってみようかな。
ホントは日本製のものが良いのですが、とても高価なのです。
貴重な伝統技術なので応援したいところなのですが。
手間を考えれば、十分リーズナブルな値段ではあるのですが。
しばらく安いのを使ってみて、使い方や手入れの仕方の要領をつかんだら、国産の高いのを買ってみるのも良いかな。


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