今年はオルガン関係の話を増やすよっ。
毎年、最後の仕事は12月30日のコンサートです。
八ヶ岳リードオルガン美術館の主催で、メサイアを演奏します。
ここ2回は清里、萌木の村ホールオブホールズで開催しています。
フライヤー
コンサート風景
鍵盤楽器にはハルモニウム(フランス、アレクサンドル社製)を使用しています。
さて、合奏における楽器の音量バランスは重要ですが、オルガンという楽器は音量の点で最も
融通がきかない部類に属します。
これは、ポジティフオルガン(小型パイプオルガン)でも同様です。
前回、音量的にはまあまあだったのですが、音が前に出てこない印象があったので、気には
なっていたのです。
オルガン属の音は壁を抜けにくいのです。リードオルガン、ハルモニウムは薄板の開閉で音量
を抑制する機構が付いています(スウェルといいます)。
よってスウェルの板よりはるかに厚みのある、天板やその他ケースのパネルを外すことでかな
り音量と音の出る方向を操作することが出来ます。
特に、このハルモニウムは劇的に変化します。
コンサートの前日の夕方にそう思い立って、ハルモニウムの天板を外すことにしたのです。
天板は半分に折れて譜面立てになるのですが、その譜面立ても実際には使いにくいと前回不
評だったので、その辺も考慮しました。
構想30分製作1時間、アンティークのスタンド付き譜面台の譜面台部分だけをハルモニウムに
取り付けるホルダーを用意しました。
こんな感じになりました。
反対側
アップ
天板が無くなったことで音がよく広がるようになったと感じました。
合唱の方からもオルガンの音がよく聞こえて歌いやすかったという評価を得ました。
電子オルガンであればダイヤルひとつで音量を調整出来ます。
しかし、自然発音体のオルガンではその辺が難しいのです。
合奏してみたらオルガンの音量が足りなかったのでオルガンを替えるということもあります。
録音の場合は、ほぼ100パーセント、ミキサーさんが音をいじるので、現場で楽器の音量バラ
ンスを取る苦労は見えないのです。
このハルモニウムは1列(音が1種類しかない)ながらよく鳴ります。
アメリカ式のリードオルガン(日本製はほぼすべてアメリカ式)とは異なったフランスっぽい音です。
う~ん、バターが半ポンドほど効いた音っていうのかな。
この楽器はピッチをa=442Hzの平均律にしてあります。以前は高かったんだっけ。
つまり改造してあるわけです。
楽器の修復、修理、改造、その辺の微妙な関係についても近々語りましょう。
電子楽器のほうは、シーケンサーとかMIDI機器とかはまだ440Hzのようですし、以前、近くの街町のバンド(フォーク系)の知人達と話したときも、「当然440だべぇ・・・」でしたが、・・・アコとか、リードオルガン(セレステ)は多少ミュゼットになっててもかまわないとは思うのですが、・・・今後どうなっていくのでしょうね。
ピッチの上昇はクラシック系で見られます。445Hzもあるとか。
上げすぎを反省する向きもあるそうです。
ポップスや歌謡曲では440Hzが健在のようです。
公共ホールのピアノなどは、歌謡ショーで440にして、その後の
クラシックのために442に調律変えなどということもあります。
古楽や時代の再現音楽では言うまでもなく色々なピッチ、調律法
になるわけですが、リードオルガン系はパイプオルガンよりも調
律の融通がきかないところがネックです。
様々なピッチ、調律法に対応するため、リードのセットを容易に
交換出来るリードオルガンもあったようですね。
ピッチや調律法の話もいずれするつもりです。