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吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

チームメイト

2009年04月01日 | 自分のこと
これも2001年チェコ共和国でのこと

ルドミラさんは日系商社からの派遣で、日本語こそ出来ませんでしたが諸事情に通じていて、着任時、右も左も判らなかった僕は随分と助けてもらいました。

なにしろ当初、業務の指示以外の英語を話せる日本人が僕だけだったので、現地採用の社員が溜めていた不満が堰を切ったように僕に向かって溢れて来て、実に困ったのです。
それで、連中と飲みに行ったりして話を聞いたのです。
リーダークラスは大抵英語が話せますが、それほど達者ではなく、やはりチェコ語と英語間の通訳が居てくれた方が良かったのです。

日本の「ノミニケーション」酒を飲みながらコミュニケーションを図るというのは実は世界的に有効なワザです。
業務時間外で一緒に過ごすこと、一緒に飲食をしながら話をするということが大事で酒を飲むことが目的ではありません、といいながらよく飲んでいたけど。

ルドミラさん自身も日本や日本人に対して多くの疑問を抱えていました。
それで僕が、日本の歴史的、文化的背景を含めて時間をかけて説明したのです。
外国人と関わるとき、相手の文化の知識は大事ですが、同等以上に自分達の文化、歴史的背景の知識があると良いです。
この点で、学生時代は東洋思想一辺倒だった僕は、助かったことが多いです。

今や知識については、ネットを使えば容易に手に入りますが、やっぱり勉強はしておかないと的確に検索出来ませんし、ガセネタを掴まされることも多いです。
それに会社のネットインフラが整うのに一月近く掛かったので、当初は自分の頭だけが頼りでした。
ホテルでダイヤルアップ接続超低速、メールの送受信がやっとなんてこともありましたっけ。

彼女との会話は英語でともに母国語ではありません。
どちらかが母国語の場合、少なくとも当初はネイティブが会話のルールの基準になります。
どちらもネイティブでない場合は、手探りで会話の基本ルールをつくらなければなりませんが、ひとたびそれが出来てしまえば、あとは本当にツーカー(古い?)になります。

僕の言う会話の基本ルールというのは、日本語同士なら、自分をオレというのか僕というのか、ですます調なのか、バカなのかアホなのか(これは大問題ですよ)など、語学的には間違いではない範囲でも互いが気持ちよく会話するためにすべきこと、してはならないことの積み重ねです。
それとしぐさやゼスチャーも大事です。
例えば僕は通常、手招きは手のひらを下側にしてしますが、これは追い払う動作に解釈されることが多いです。
手招きは手のひらを上にしてということなのですが、僕的にはこれは「かかってきなさい」というバトル時の挑発を意味します。

こういった細々としたことを丁寧に調整するのです。
そこまでしなくても業務レベルでは用は足りますが、根底に信頼のない人間関係はイザと言うとき弱いものです。
期間限定の仕事人の僕が、短時間で信頼関係を築くためにはそれなりの努力が必要だったのです。

そして毎日、それこそマンガかドラマのように事件が起こり、彼女とともにそれらに立ち向かう日々を過ごしたのでした。

やがて、増援部隊の人たちがやってきて、僕にも少しゆとりが出てきました。
その頃から、少し、彼女と距離をとるようにしたのです。
そうでないと37歳の妻子持ちのおっさんは28歳の魅力的な女性の引力圏に引き込まれて離脱不能になってボウッ!ドカーンってなっちゃいそうだったからね。

親しい中にもどことなく気まずいような雰囲気漂う微妙な位置関係になっちまいました
それで、彼女とのツーショット写真はありません。
何となく頼みにくかったのです。ちょっと後悔してます。

その後、彼女は会社を辞めたそうで、今はどうしているのかわかりません。

でも、何故かまたどこかで会える気がしています。

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2 コメント

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Unknown (しまりす)
2009-04-01 22:59:13
敢えて恋人関係にはならず
独占欲の対象外という気楽な仲はいいものだと思います。

たとえ 性的魅力を感じても 踏みとどまり
友達以上恋人未満の微妙な関係を楽しみたいと
思える異性の友人は大切にしたいな。
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それは落ちるもの (ひろにゃんof風琴屋)
2009-04-02 10:22:44
しまりすさん、ようこそ!

それは落ちるものです。
望まずともそうなってしまうものなのです。

ただ、落ちた結果大爆発して被害を出した上、長年残留する汚染物質を拡散させてしまうことがあるので、そうなる前に自ら壊してしまうことも時には必要です。

難しいよね、人工衛星。…ん?
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