吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

不味い料理が食べたい

2007年06月13日 | 
外食は、ほとんどしないですし、今時のレストラン、食堂で、はっきりと不味い料理というのにはそうそう出会えるものではありません。
あ、この間寄った飯屋のモツ煮は臭かったっけ。
家で不味い食べ物が出ることはありません。

さて、先日も家内が本場の不味さを目指して、ベイクドビーンズを作ったのですが、失敗でした。
おいしうございました。

ベイクドビーンズはイギリスの食事には付きものの料理です、アメリカ起源らしいですけどね。
豆を甘ったるくて薄いがとろみの強いトマトソースで煮たものです。
煮物なのにベイクドというのは歴史的理由らしいです。
缶のもの(ハインツ)が主流ですので、不味さの成分中には缶臭さというのもあります。

オランダも料理の不味さでは、イギリスと並んで有名です。
カルバン的プロテスタンティズムというのか、ピューリタニズム的というのか、質素、倹約を旨とするような伝統のあるところは、食べ物の味にこだわることに罪悪感があるようです。

オランダや北ドイツではジャガイモばかり食べている感じで飽きるのですが、イモそのものや、付け合わせのハムやソーセージの味は良いので、シンプルな調理法である限りは、不味くはありません。
ヘタに手を加えると不味くなるのです、あまり料理の伝統のない文化の人達が、凝った料理に挑戦した時、悲劇は訪れるのです。
どうも、料理が苦手という人は、余計な手を掛けていることが多い気がします。
苦手意識や不安から、手数が無用に増えて、却って結果が悪くなってしまうのでしょう。
実は、職人仕事もまたそういう面があって、自信が無い時ほど、妙に細部に拘ったり、余計な手をかけてしまったりすることがあります。

オランダで、当時の彼女(現、家内なので問題ナシ)と、話のタネに、ちょっと高級なレストランに行った時のこと。
出て来た料理のひとつひとつが皆不味かったのです。
ライスターフェルというオランダ風インドネシア料理で、オランダにあっては比較的おいしい部類に入るという話だったのですが、いや~、なかなか。

でも、一緒にマズいものを食べるというのは、おいしいものを食べるのと同じ位かそれ以上に「仲間意識」みたいなものが生まれるってところはあります。
苦難を共にした仲みたいな錯覚が生まれるんですね。心理学的にはアリです。
クサい飯を食った仲とか(笑)。
キャンプの食事なんかでも、失敗の方が思い出に残ったりしますしね、あのときのカレーは薄かったとかね。

というわけで、たまには「マズいものデート」はいかが?
結果は保証しませんけどね。

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6 コメント

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不思議な感覚 (ムスタファ)
2007-06-14 22:29:54
美味いものを食べること、味にうるさいことを悪いことのように思う人って確かにいます。
私の職場は鉄工所なのですが、ここの昼飯(仕出し弁当)が非常にまずい。なのに皆文句を言わず黙々と食べています。
他の業者でもっと美味くて値段も少し安い所を見つけて、皆に紹介したのですが、
「会社の弁当っていうのは、マズイのが当たり前だ!」
「マズイ物を食べると、力が湧いてくる!」
「職工に贅沢を教えるとロクなことがない!」
「食べ物の味に文句をいう奴はロクな奴じゃない!」
という意見が出てきて却下されました。
私には信じられないことです。
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高原にいらっしゃい! (ひろなん@風琴屋)
2007-06-14 23:36:53
ムスタファさん、ようこそ!

「食べ物に文句をいうのは悪いことである」
という考え方は確かにありますが、より安いというのにも反対するというのは、ワケアリなニオイがしますね。
また、
「大勢に異を唱えることは悪である」
という考え方もありますね。
みんなで文句を言わずに、ただただ長いものに巻かれる、流れに逆らうのは、その内容の善悪を問わず悪いこと、という考え方。
というわけで、与党超安定の国になっちまっているわけですね。

あんまり考え方の違い過ぎる人達の中にいるのも良くないので、ここはひとつ、高原にいらっしゃい!
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ライスターフェル! (Unknown)
2009-03-07 13:37:13
はじめまして。
今頃、ライスターフェルに導かれておじゃましています。
私も、うんと若い頃にオランダで食べました。
しかも、アレレという味でした。
あれは、なんだったのだろう???と思っても、
その気持ちを分かち合う相手(戦友?)がいなくて、
こちらまで来てしまいました。
現奥様と「体験」を共有していらして、いいですね!
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それはお気の毒に! (ひろにゃん@風琴屋)
2009-03-07 20:43:05
Unknownさん、ようこそ!

運ばれてきた料理を一口食べて、目と目を合わせて、ちょっと微笑み合うあの瞬間。
ふたりの心はひとつです。
「あっ、まずい…」

昔、中国を旅した時も、ひとりの食事時に一番孤独を感じました。
一品の量が多く、何人かでシェアしないと色々味わえないということもありましたが、気心の知れた仲間との食事は楽しいですから。
たとえマズくてもね!

またどうぞ!次はお名前を用意してくださいね。
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名前、忘れてました! (母ちゃん)
2009-03-07 23:33:14
母ちゃんと申します。
お返事がうれしいです(笑)。
これからも、どうぞよろしくお願いしますね。
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こちらこそ! (ひろにゃん@風琴屋)
2009-03-08 21:14:22
母ちゃんなのですね、ようこそ!

HP拝見しました。
素晴らしい生き方ですね。
こちらこそ、どうぞよろしく!
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