吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

お寺のオルガン

2009年05月18日 | オルガン
築地本願寺に戻りました。オルガンを見るためです。

築地本願寺

結婚式は一段落したようです。
本堂の脇の方からオルガンを見ます。

ヴァルカー社製 1970年製設置

ヴァルカー社、'70年当時西ドイツは、歴史も古く大きい会社でしたが、現在は倒産して現在は縁者が名を継いでいるようです。
欧米でも大きなパイプオルガンメーカーは倒産、規模縮小を余儀なくされています。
それに伴ってヨーロッパでは、個人や小規模の製作家が増えています。

このようにケースがシンプルでパイプがずらっと並んだデザインは19世紀以降ポピュラーなスタイルです。
ひとつのストップでこんなにパイプの寸法(長さ、太さ)は揃いませんから、複数のストップから具合の良い寸法のパイプを集めたり、ダミーパイプ(音は出ない)などで、見える部分のパイプ列を構成します。

動作は電気アクションで演奏台は下にあります。
演奏台の位置を自由に設定できるのが電気アクションの強みですが、あまりパイプから遠くなると、操作と演奏者の耳に届く音のズレが大きくなり過ぎて、非常に演奏しにくくなります。
音速というのは遅いものなのです。

先にも述べましたがこの演奏台の位置でも演奏者はオルガンの良い音は聞けません。
演奏者は、聴衆の皆様のために演奏されるのです。
偉いですね。うるうる…。

現在は、伝統的な機械式アクションが主流です。
僕自身は、アクションが機械か電気かが直接、楽器の質には繋がらないと思っていますが、古典的様式信奉者の方には、機械式でないと良い演奏は出来ないという考え方もあります。

電気アクションは設計上の自由度が大きい(パイプのレイアウトが容易)、製作コストを下げられるなどのメリットがありますが、故障するときには、いきなり大ダメージにつながることが多い、つまり全か無かで中間が無かったりするのです。
コモンの線(普通マイナス)1本が断線すると、そのケースのすべてのパイプが鳴らなくなる、などです。
このオルガンも、先日トラブルがあったらしいです。

僕もその近所(日本橋のデパート)の電気アクションのオルガンを診ていますし、現在リフォーム中のオルガンもそうです。
電気アクションのオルガンとの関わりは深い方なので他人事ではありません。

毎月、ランチタイムコンサートをやっているそうなので、聴きに来たいですね。

さて、路上のパーキングメーターに駐車してある車に乗り込んで、マレーシア大使館の近くに移動です。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
築地 (shappy)
2009-05-19 16:03:36
ウン十年前、築地に3年半、和裁の学校に通っていましたが、ここを通り過ぎて築地市場に行ったことはありましたが、本願寺の中に入ったことはありませんでした
こんなデカイオルガンがあるとは
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機会があれば (ひろにゃんof風琴屋)
2009-05-20 14:26:38
shappyさん、ようこそ!

あのオルガンは以前は今ほどには宣伝していなかった気がします。

僕も、存在は知っていましたが、見に行く機会がなかなか無くて今回、初めて見に行ったのです。

今度築地に行かれるときにはご覧になってみるのも良いと思います。
建物も面白いですし、敷地内にレストランもあります。
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