川口はいいところよ・・  ようこそ新潟へ

新潟県中越地震震源地から今年で早や12年。そげ落ちた信濃川の河岸段丘の表土も自然の力で草木が戻りました。

新潟県中越地震Ⅱ(川口町震度7の町)

2006-04-11 23:45:00 | 人間総合科学大学
「キャー!!お母さん、助けて!!」
娘がしがみついてきた。

食器棚から大音響とともに一斉に皿が落ちた。
食堂に設置してあるパソコン台が私達めがけて飛びついてきた。
食堂のペンダント型の蛍光灯が大きく揺れ落ちてきた。
二人は台所と食堂に面した壁の隙間に身を預けているしかなかった。
 「大丈夫よ、大丈夫だから。お母さんが守ってあげるから。」
呪文のようにしがみつく娘に言い聞かせていた。

あたりは夕闇が迫っていた・・

「おーい。出ようよ。」夫の声が居間からかかった。
「えっ、何だったの?」
「地震だよ! 普通じゃないよ!またくるから、早く出よう!!」
「分かった」
その間僅か3分。
3人で慌てて外に出た。

17時59分マグ二チュード5,3。震度5強。 

18時03分マグニチュード6.3。震度5強。

18時07分マグニチュード5.7。震度5強。

18時11分マグニチュード6.0。震度6強。


新潟県中越地震Ⅳ(川口町震度7の町)

2006-04-11 23:43:13 | ワブログから引っ越しました
「この橋渡れるかしら・・」
「お母さん、止めようよ。またくるよ。」
家族は躊躇した。

「でも。いってくるわ。」
「わかった。」

3人を乗せた車は恐る恐る西倉橋の隅を渡り始めた。
「ねぇSちゃんの家に寄っていくね。心配していると思うよ。」

同僚の家が見えてきた。
家々の空間に住民たちが肩を寄せ合っているのがうかがえた。
あたりは暗闇に包まれていた。

「どうもUです。これからエリアに行きますが、皆さん大丈夫でしたか?」
「私らは大丈夫でした。」
出先の家族との連絡が着かないでいた。

18時34分マグニチュード6.0.震度6強。

数軒先の家の窓ガラスがガラガラと崩れ落ちたのを確認した。

たてつづけに
18時36分マグニチュード5.1。震度5弱。

「じゃ、私行きますね。」
「すみません、よろしくお願いします。」

暗闇の中から中高生らしき声で
「こんな時車なんか乗ってんじゃねーよ!」

胸に突き刺さった・・

同僚の家を後にし。県道に出た。
「ねぇ、お父さん、私これから歩いていくわ。」
「危ないよ。だめだよ。」
「気をつけていくから。車を家に持ち帰ってもらえない?今度ゆれたら橋は渡れなくなりそうよ。」
「わかった。気をつけろよ。」
家族は別れた。

私は一人県道をひたすら登り続けた。


新潟県中越地震Ⅲ(川口町震度7の町)

2006-04-11 23:11:29 | ワブログから引っ越しました
着の身着のまま家を出た3人はただ唖然とあたりを見回すしかなかった。
隣のNさん一家の姿が見えた。

「大丈夫でしたか?!」
「あぁ、みんな大丈夫。お前さんのところは?」
「うちも大丈夫でした。」
「何なんでしょうねぇ・・」
誰もが言葉を失っていた。
あたりは暗闇が迫ってきた。

「ねぇ、私エリアに行って来る。」
「えっ、馬鹿な事言うな。危ないじゃないか。」
「SチャンやHさんがまだ残っている時間だから。行って来る。」
「だめだよ、行かないでよ、お母さん!」
「でも行って来る。きっと困っていると思うよ。」
「じゃあ、みんなで行こう。」
車に乗り込み、信濃川にかかっている橋を渡ろうとした。
道と橋のジョイントに段差が出来ていて1台車が立ち往生していた。
「17号に出ようとしたんですが行けませんでした。117号へ出て小千谷に行くつもりです。」
唯一の東川口に行く道が寸断された。


新潟県中越地震Ⅰ(川口町震度7の町)

2006-04-11 21:48:11 | ワブログから引っ越しました
「ねぇ、悪いけど明日早番と遅番変わってくれない??」
「あっ、いーよ!お姉ちゃんが帰っているから早く帰れたほうが私も嬉しいかも。」
平成16年10月22日夕方。職場でのごく普通の会話をしていた。翌日の今頃、未曽有の出来事が起きようとは思いもよらなかった。
いつもは気ままな夫婦二人暮らし。かなり手抜きの主婦業を満喫していたがTDLで働いている娘が帰省していた。

10月23日朝7時半。
「じゃあ、おねえ、いってきます。今日は早帰りだからね。帰ったら買い物でも行く??」
「うん、待ってるね。」
通勤時間約3分の職場に急いだ。

高速道路のSA。土曜日。いつもより朝から人の往来が多かった。その日もいつものようにあたりまえの一日が過ぎようとしていた。午後4時。退社時間が迫っていた。
・・・もう少しでこの仕事終わるんだけどなぁ・・
・・・でも。いいや、かえろ・・なんだかここにいてはいけない・・と胸騒ぎがしていた。

「じゃぁ、Sチャンお先にね。」
「はーい。お疲れ様ぁ・・」

職員用の駐車場にたたずみ、ん買い物どうしょっかなぁ・・まっいっか。
その日はなぜか家に急いだ。

「ただいまぁ。」
「お母さん、あまんだれ・・山で取れるきのこ・・採ってきたからけんちん汁作って。」
主人の弾んだ声がかかった。
「お姉ちゃん、手伝って。」「はーい。今日は買い物行かないで良いよ」

二人で取り留めのない会話が弾んでいた。
台所に立ち野菜を切り終え、なべに油を注いだ。
二人の視線はじゅうじゅうと軽快な音がしているなべに注がれていた。
そのなべは家族の食卓には上がる事が出来なかった。

平成16年10月23日午後5時56分。
前触れも無く突然大音響とともに家が大きく揺れた。
マグニチュード6.8。最大震度7 「大丈夫よ。大丈夫だから・・」
自分に言い聞かせていた。