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My News 27=アクリルアミド? PART4体に対する影響が気になるけど?

スウェーデンのトンネル建設工事で起きた事故の時、作業員の一部に末梢神経の障害が生じていました。この時は、大量のアクリルアミドを吸入したり接触しているから、手足が震えたり、感覚が麻痺するなどの神経障害あったのです。
動物試験でも、ある一定量以上のアクリルアミドを飲み水に溶かして与え続けると、神経組織の形態変化といった影響が出ることが観察されていることが農林水産省のHPで明らかにしています。
動物試験では、神経障害だけでなく、アクリルアミドの摂取量が多いほど発がん率が増えることが報告されています。

アクリルアミドが動物で発がんを引き起こす原因は、アクリルアミドが細胞の中の遺伝子を傷付けるためと考えられています。ヒトがアクリルアミドを摂取した場合も同じように遺伝子を傷付ける可能性があるため、アクリルアミドはヒトに対しておそらく発がん性がある物質と考えられています。

今の所、動物実験では神経障害と発がんが明らかにされていますが、人間の場合は、「可能性が考えられる。」とか「リスクが高くなる。」という表現にとどまり、因果関係が確認されていないと言っています。その上で、リスク軽減のために、一応食事の準備段階、調理時の加熱方法を示している。というのが現在の国・行政の方針です。

しかし、論文の中には食品から摂取するアクリルアミドが多い人では、ある特定の発がんリスクが高くなることを明言しているものもあります。また、食品中の汚染物質のリスク評価を行う国際機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)でも、発がん性や神経影響の懸念があるという結論を2005年に出しています。2010年2月に行われた最新のデータに基づくリスク評価でも、前回と同様に発がん性や神経毒性の懸念があるというに結論になっています。

農林水産省では、オランダの疫学調査結果を掲載しています。
2007年にHogervorstらが報告したオランダの疫学調査結果では、アクリルアミドの摂取量が多いと発がんリスクが増加することが初めて示されました。この疫学調査では、55~69歳の女性62000人以上の中から無作為に抽出した約2500人の女性を、約11年間追跡調査したところ、子宮内膜がんが327症例、卵巣がんが300症例、乳がんが1835症例観察されました。調査対象者を喫煙者と非喫煙者に分けて、それぞれを食品からのアクリルアミド摂取量によって4つの集団に分けた場合、特に非喫煙者の場合には、アクリルアミドの摂取量が最も多い集団(全体の上位25%)では、最も少ない集団(全体の下位25%)に比べて、子宮内膜がんと卵巣がんの発症例が約2倍となっており、それらのリスクが有意に高いことがわかりました。なお、アクリルアミドの摂取量によって、乳がんのリスクに有意な差は観察されませんでした。 

PART3では体内に入った後の代謝経路について掲載しました。
アクリルアミドは、赤血球のヘモグロビンをはじめ、細胞骨格と関わるタンパク質や精子中のプロタミンといったタンパク質と特異的に結合します。また、アクリルアミドの代謝物であるグリシドアミドは、DNAやヘモグロビンなどのタンパク質との結合力がアクリルアミドよりも強いと考えられています。


国際がん研究機関は、アクリルアミドを「ヒトに対しておそらく発がん性がある物質(グループ2A)」と分類しています。
“おそらく発がん性がある”と分類されている理由は、ヒトにおいてアクリルアミドが発がん性を持つという十分な証拠は得られていないものの、動物試験における十分な証拠(以下を参照)があること、加えてアクリルアミドとグリシドアミドがDNA及びヘモグロビンと結合することが報告されていること、さらに各種遺伝毒性試験の多くでアクリルアミド及びグリシドアミドが陽性であることから、ヒトでも発がんが起こると考える蓋然性が極めて高いからです。

農水省では上記のような国際機関や特定の国の調査結果も明らかにしています。情報を隠さず公表していることは評価したいと思います。国の機関は何かと隠そうとしたり、曖昧な表現にしたりするから。
西欧は危険性やリスクがあれば即座に公表して規制を迅速にするけど、日本は因果関係が明確にならないと難しい。国民の健康に害が及ぶ可能性が少しでも考えられるとすぐに対処する国の姿勢は、国民の姿勢でもある。
日本の国の姿勢も国民の姿勢を映しているのかもしれない。
PART1で重さの単位を確認した時、食品から摂取する量は確かに少ないと感じました。でも毎日食べる量が何年と続いていくとどうなのか?分からない。
リスクの軽減には、食品事業者も製造方法を変えてもらわないといけない。農林水産省は当然ながら事業者にも注意喚起と支援をしている。事業者も発生する量を減らすよう努力しているようです。
次回見てみることにしよう。


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コメント一覧

watari25
ちゃんと知っておくことは大切だとおもいまして。ベーコンもそうですね。
安達太良山の姿をいつも見せていただいております。
koji5678
今回もとても興味深く読ませていただきました。
以前、メイラード反応のワースト1が「ベーコン」だという表を見て驚いたことがありました。
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