厚生労働省は1月18日、2019 年度の公的年金支給額について発表しました。
多くの受給者が減額になる、今回の改定について、全日本年金者組合中央執行委員長金子民夫氏が抗議の声明を発表しました。
全文を、以下に紹介します。
声 明
2019年度年金額改定に強く抗議する!! マクロ経済スライド(キャリーオーバー含む)を4年ぶりに実施
厚生労働省は1月18日、2019 年度の公的年金支給額について発表しました。物価 が 1%、賃金が 0.6%上がったにもかかわらず、年金改定額は 0.1%しか上がりません。 『マクロ経済スライド』が 2015 年度以来4年ぶりに発動され、さらに 2016 年 12 月に 強行可決された『年金カット法』で導入された『キャリーオーバー』制度も合わせて 発動されたからです。 私たち全日本年金者組合は、この年金額改定に強く抗議します。
1点目公的年金の支給額は、2013 年 10 月に特例水準の解消を理由に1%引き下げ られて以来、2019 年度までの7年間で物価は 5.3%上がったにもかかわらず、年金額 は逆に 0.8%も下がっています。年金の実質的価値・消費購買力を維持するための物 価・賃金スライドがまったく機能していないことを示しています。
2点目は 2004 年に制定され、2016 年に『キャリーオーバー』として改悪された『マ クロ経済スライド』が全面発動したことです。年金は物価スライド、賃金スライドを 行うことではじめて、年金の実質的な価値を維持することができます。 政府・厚生労働省は、マクロ経済スライドによる際限のない年金額減額の「世代間 の公平」と「年金制度の持続可能性」のためとしていますが、なぜ世代間の公平につ ながるのか国民には何の説明も論証もしていません。『マクロ経済スライド』が実施 されればされるほど、現役世代が将来受け取る年金額は減り続けます。私達は「マク ロ経済スライド」の廃止を強く求めています。
3点目は、2016 年の『年金カット法』で改悪された年金額改定ルールの「賃金と物 価のいずれか低い変動率に合わせて年金額を改定する」というルールが、今年 10 月の 消費税増税を受けて 2021 年4月から実施を予定しています。『キャリーオーバー』制 度の撤回と併せて、この『改悪ルール』を発動させないことが重要です。
年金者組合は、高齢者に対する経済的虐待とも言うべき年金の際限のない引き下げ を許さないために、ひきつづき「マクロ経済スライドの廃止」「最低保障年金制度の 創設」をはじめ「若い人も高齢者も安心できる年金制度の確立」のために広範な人び とと手をつなぎ、ひきつづき努力を続けるものです。
2019年1月21日
全日本年金者組合 中央執行委員長 金子民夫