地方小都市における子供の遊び場—福井県勝山市の小学校別平日の放課後の実態—
薬袋奈美子 堀部修一 日本建築学会技術報告集第14巻第27号2008年6月
09FA030 小林志乃
背景・目的
子供が成長する過程での屋外における多角的な遊びの重要性は様々な場所で指摘されてきたが、日常的な生活環境の中での遊び場がどこであるのかという視点での調査は十分に行われていない。
地方都市全体を対象として、どのような場所で子供たちが遊んでいるのかという実態を整理し、積雪地帯という遊びにくい条件の下での地方小都市における子供の遊び場の実態を把握することを目的とする。
概要
福井県勝山市内の小学生(全9校、1410人)にアンケートを実施。平日と休日でそれぞれ「好きな遊び場」や「よく遊ぶ場所(どのように誰と遊ぶのか)」を選択式で回答してもらった。
結果・まとめ
放課後の遊び場は「自分の家」が多い。自宅と友達の家との距離が近い地域では行き来が容易なためか「友達の家」で遊ぶ割合も多い。また、公園や神社などの公共施設だけでなく道路や駐車場といった身近な生活環境を利用した自然遊びも多くみられる。
集落地域では近隣に遊び仲間がいないために児童センターに行く、両親が共働きのため放課後児童クラブに所属しているなどの理由で「児童センター」で遊ぶ割合が非常に高い。
また、遊び相手は「クラスの友達」の割合が高いが、住宅の密集度が低くクラスの友達の家へ行くことが困難な地域であったり、児童センターへ通う人数が少ないなどの理由から「兄弟」と遊ぶ児童の割合が高い地域もある。
遊びは空間を整えるだけで拡がりを持つものではない。人口が少なく遊び仲間が近くにいない、住宅地内の道路にも車が多く通るなどの問題を総合的に考えることで、子どもたちは身近な生活環境も使った遊びを展開することができるようになるだろう。
感想
友達の家が遠いなど、こども自身ではどうしようもない理由で遊び場所の選択肢が狭まってしまい、せっかく自由に遊べるのにもったいないと思った。
生活環境をうまく使った遊び方があっても一緒に遊ぶ相手がいなくてはつまらないのだから、集落地域の中でも住宅が密集したような地域があれば「遊び相手がいる」ことの他にもご近所同士の助け合いができたり、そこで大人の目があればこどもたちの遊び場所の選択肢も増えるのではないか。
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