建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

絹川 麻里 , 高田 光雄 , 三浦 研:要介護高齢者の施設入居前の生活実態からみた在宅生活の意義と限界

2012-03-16 16:20:03 | 書架(高齢者関係)

要介護高齢者の施設入居前の生活実態からみた在宅生活の意義と限界

絹川 麻里 , 高田 光雄 , 三浦 研

日本建築学会計画系論文集 (582), 9-16, 2004-08-30

 

1、研究背景と目的

施設は収容施設から居住空間へと変化し、そこでの生活も入居者の主体性を尊重したものに変化しつつある。そこで、要介護高齢者の生活実態を捉え、その中で在宅生活の意義と限界を記述することは建築計画の分野においても意義があると考えられる。

本研究では施設入所がほぼ決定した要介護高齢者を対象に、施設入居前の生活実態を捉え、在宅生活の意義と限界を明らかにすること、そして、生活の継続を可能とする要素を考察することを目的とする。

 

2、研究の方法

2つの社会福祉法人が入居者を選定している時期に調査の対象となる59名を紹介してもらい、可能な限り本人も交えて対象者の家族へ面接調査を行った。

 

3、生活行動から在宅生活の価値

なじみのある環境での生活維持ができ、屋内にとどまらず屋外へも生活領域を拡大し、自由行動など日常生活の中でのささやかな行動の実施が可能な環境下にあるというところに価値を見出している。

 

4、生活行動から在宅生活の限界

自宅は介護に適さない場所であること、家族が主介護者となるのが困難なこと、在宅サービスを利用しても家族を中心に介護を行う形では24時間の支えは得られないことが限界であった。

 

5、結論

生活継続のためには、自宅の物理的環境の整備、家族の介護負担を軽減するサービスの提供や継続性、要介護高齢者や家族の状況に合わせたサービス提供のフレキシビリティの確保、そして、症状や対応に関する家族への教育が必要である。そして、要介護高齢者にとっては、以上のような支えを受けつつ生活圏内での生活継続の実現が重要である。

 

6、感想など

要介護高齢者の希望を実現するためには、家族の支えはもちろんのこと、住宅や環境を設計する者も意見をしっかりと聞き、住宅でも介護ができる環境を造ることが重要だということがわかった。

では、どのようにすればこのようにうまく事を進むことができるのか検討する研究をしてみたい。

 

 

(秋山慶斗)


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