幼児・学齢期における障碍児の滞在様態と活動場面の成立に影響する環境構成要素の分析
日本建築学会大会学術講演梗概集 (北陸) 2010年9月
小池拓 山田あすか 古賀政好
1 背景と目的
様々な障碍種のこどもが混在する総合支援学校と幼児通園施設での、児童の活動場面の成立に影響する環境構成要素を分析することで、障害児が遊び、学ぶ環境の向上に向けた知見を得ることを目的としています。
2 調査概要
空間構成が特徴的な2つの幼児通園施設(それぞれA園、B園とする)と1つの特別支援学校(K総合とする)を選定した。そこで、年齢ごとの居場所のマッピング調査、個々の園児の終日追跡調査を行い、滞在場所や環境要素の関係を記録した。
3 1日の流れと活動場面の事例
1) 各施設の1日の滞在場所
園児の連続的な行動を「滞在型活動」「移動型活動」「移動」に分類したところ、「移型活動」はプレイルーム等の広い空間で、「滞在型活動」は保育質等の小さい空間や椅子、マットの上等で観察された。
2) 児童の固有の活動場面の抽出と構成要素
活動場面を「場所」「もの」「保育士」「他の園児」「行為」の要素に分解した。 そこから場所の成立に影響を及ぼす要素を抽出した。児童がおままごとをしている場面は5つすべての要素が場面の成立に影響を及ぼしている。
4 固有の活動場面に成立する要素
1) 年齢段階と活動場面の成立に影響する要素
A園、B園では年齢が上がるにつれて他の園児との関わりが増えるが、K総合では増加 は見られない。
2) 障碍の程度装飾的要素
障碍が軽~中度であると直接的に影響する環境要素の割合が高いが、重度になると周 囲の働きかけによって間接的に影響する要素(装飾的要素)の割合が高い傾向がある。
5 まとめ
年齢や活動タイプ、滞在型/移動型活動ごとに周囲の環境に対する意識や意味づけを し、装飾的要素の概念によって、重度の児童にとっての場面の捉え方を試論として示した。
6 感想
障碍が重度の児童と軽度の児童には、遊び方にも差があった。重度になるほどより 周辺環境のサポートが必要になってくると感じた。
(副島眸)
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