建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

榎本幸・竹宮健司:知的障碍者の支援態勢からみた共同生活環境に関する研究

2012-02-28 02:37:02 | 書架(障碍者関係)

日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)2009年 8月 榎本幸・竹宮健司

 

 

1 背景・目的

本研究では、東京都多摩地域におけるグループホーム、ケアホームの現状を把握し、知的障碍者の障害の特性に応じた支援を可能にするホームの建築計画に関する知見を得ることを目的とする。

2 研究概要

多摩地域にある知的障碍者を対象とする8つのグループホーム、ケアホームにおいて、それぞれ訪問調査、世話人アンケート、ヒアリング調査を実施した。また。ひとつのホームにおいて参与観察調査を行い、生活様態を把握した。

3 結果

1)   ホーム概要

定員数は4~5人という小規模なものが多く、周辺環境に溶け込んだ一般的な住宅のような外観である。

2)   入居者属性

全体で見ると、男性の入居者が7割を占めた。ホーム入居前の生活環境は施設である人が過半数を占めている。

3)   平面構成

共用空間が各居室への動線となるか否かで、「通過型」「非通過型」「混合型」の3つに大別できた。

4)   世話人からみた共同生活環境

共用空間の面積が1人当たり3�に満たないと、狭いと評価している。一日の多くの時間をすごす共用空間を広くしたいという声が聞かれた。また、浴室、世話人室など、様々な改善のための意見が聞かれた。

5)   入居者と共同生活環境

生活様態について、興奮や混乱により暴れたり、人やものに当たるなどしている様子が多くのホームで見られた。また、ホームのすべてで何らかの破損箇所があることが分かった。

4 まとめ

訪問調査、ヒアリング調査、アンケート調査により、入居者の支援態勢に応じた居室配置がなされていることが分かった。また、入居者の興奮・混乱による破損箇所があることから、ある程度の強度を保ちつつも、入居者の大怪我に繋がらないこと、整理しやすいことを考慮した構成・素材を選ぶ工夫も必要であると感じた。

5 感想

様々な混乱、興奮による破損から、通常の施設よりもより柔軟な対応が必要であると考えた。また、世話人による改善に関する意見が多く出ており、まだ世話人に対してよい環境にはなっていないように感じた。

 

 

09fa055 副島眸

 


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