A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ハーマンオーケストラの卒業生がまた一人巣立っていった・・・・

2007-09-17 | MY FAVORITE ALBUM
ZOOT SIMS QUARTET

ウディーハーマンオーケストラには、いつの時代にも多くの若手ミュージシャンが去来し,
そしてそこから後に有名になるプレーヤー達が巣立っていった。ハーマンオーケストラは、若手がプロとして本格的なデビューするための登竜門のような様相を呈していたのだ。
セカンドハードでフォーブラザースを演じたスタンゲッツを筆頭にしたテナーの3人組も例外ではない。まさに後の時代のオールスターメンバーが、若き日に一緒に席を並べて在籍していたわけだ。もっとも、その頃当の本人たちは駆け出しの新人ばかり。まかさ将来自分達がその世界の第一人者になるとは誰もが思っていなかったかもしれない。

その中の一人にズートシムスがいた。
ベニーグッドマンに気に入られてグッドマンのバンドに加わったりしたが、ハーマンのバンドに加わったのは47年~49年。ちょうどこの間がセカンドハードの絶頂期でもあった。

代表的なジャズレーベルのひとつにPrestigeがある。数多くの名盤があるが、ハードバップの脂の乗り切った濃いジャズのイメージがある。ところがこのプレスティッジレーベルは、1949年の創立期には白人主体のクールなサウンドのジャズ録音も残している。
ハーマンを辞めたシムスは、再びグッドマンのヨーロッパのツアーにも参加し現地で録音も残した。これもプレスティッジに残されているが、帰国後このプレスティッジレーベルにアメリカで初録音したのがこのアルバム。

2つのセッションが含まれているが、アートブレーキーをバックにした演奏と、ハーマンオーケストラの盟友ドンラモンドをバックにした演奏である。
どちらのセッションでも、シムスのレスターの流れを汲むFour Brothers仕込みの軽快な演奏は若々しさの中にも早くもレスター派の後継者としての貫禄を感じる。

中でも特徴的なのは“ZOOT SWINGS THE BLUES”と”EAST OF THE SUN”の2曲の長尺の演奏。
まだこの時期はSPレコードの全盛期。一曲の録音時間は3分前後が多かった。ジャズは本来自由な演奏。演奏時間にも制約がないものだが物理的な制約はいかんともし難い。
録音用の演奏というものは、きっと普段の演奏の実態とは別の物であったのかもしれない。
LPレコードが世に出たのが1948年。この2曲はこの25センチLPで最初世に出たそうだ。
LPレコードの登場とともに一曲の時間の制約が広がったこと、そして録音のクオリティーが格段に良くなったことと、モダンジャズが興隆を極める時期はちょうど一致する。
やはりジャズの歴史にアナログレコードの歴史は切っても切れない縁がある。
CDもいいがアナログレコードがいつまでも人気があるのは、この歴史を背負っているからなのかもしれない。
このアルバムもけっして大作ではないが、その歴史の一ページであることは間違いない。

<Session1>
My Silent Love
Jane-O
Dancing In The Dark
Memories Of You

 Zoot Sims (ts)
 John Lewis (p)
 Curly Russell (b)
 Don Lamond (d)

  NYC, September 16, 1950

<Session2>
Trotting
It Had To Be You
Swingin' The Blues (aka Zoot Swings The Blues)
Zoot Swings The Blues (alt. take)
East Of The Sun
I Wonder Who

 Zoot Sims (ts)
 Harry Biss (p)
 Clyde Lombardi (b)
 Art Blakey (d)

  NYC, August 14, 1951
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする