A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ジャズの世界の桂冠詩人は・・・・

2007-09-21 | MY FAVORITE ALBUM
CLOUDBURST / JON HENDRICKS

もともと桂冠詩人とは、「政府等によって公式に任命された詩人またはその称号。古代ギリシャ・ローマ時代に、詩人たちが詩作の競技を行い、勝者が月桂樹の冠を頭に乗せたという故事に基づく。」ものだそうだ。
評論家のレナードフェザーはL・H&Rで有名なJon Hendricksのことを“a poet laureate of jazz”(ジャズの桂冠詩人)と呼んだ。
多彩な才能を持つHendricksであるが、その作詞能力は群を抜いているのだろう。それも、ジャズの名演をボーカリーズするに際しての作詞はL・H&Rのコーラスには不可欠だった。解散した後も、自分(達)のためだけでなく他の歌手に対しても多くの「詩」を提供している
もちろん作詞家としてだけでなく、独特の声と節回し、それにどのようなテンポの曲でもスイングさせてしまう歌唱力はOne&Onlyの素晴らしさだ。
ベイシーの名演をボーカライズさせることから始まったせいなのだろうか。ブルースのフィーリングも申し分ない。

L・H&Rからアーニーロスが抜け、ベバンが後を継いだがグループとしてはすぐに解散してしまった。ロスは母国イギリスに戻ったが、このヘンドリックスも1968年に一時イギリスに渡った。ヨーロッパで活動をしていたようだが、アルバムとしてはほとんど残されていない。
その中にドイツのMunichで吹き込まれたアルバムがある。

ピアノトリオをバックにしたライブの演奏だが歌は彼一人。
いつもコーラスで聴きなれていると、ソロだとどうなるのか興味津々だ。
特徴あるHendoricksの歌声は、当たり前だがソロでも変わることはない。
.そして、その特徴あるリズム感も。聴衆に囲まれたライブの演奏というのも幸いしているのだろう。
L・H&Rで有名なShinny Stockingsも一人で無難にこなしている。ブルースのIt was a drem、Jon's Mumblesではクラークテリー紛いのスキャットを、そして聴かせてくれる。Here's That Rainy Dayではバラードプレー。
B面に移るといきなりハンコックのWatermolon Manだ。そして自分の作詞したGimme That Winで真骨頂。さらにボサノバのリズムも。
まさに飽きさせることなくオールマイティー振りを見せてくれる。
アメリカに戻ってからは評論家や大学で教鞭をとったり、時には自分の子供たちを加えた演奏活動を繰り広げる八面六臂の活躍をする。
彼の頭の中はジャズのすべての要素が詰め込まれているのかもしれない。それを自分の言葉で、そしてあらゆるパフォーマンスで表現するのがHendricksだ。
桂冠詩人といわれるのももっともだ。

1. No More                  Hendricks,Laws 3:28
2. It Was a Dream                  Broonzy 4:25
3. Shiny Stockings             Hendricks,Foster 5:02
4. Jon's Mumbles                 Hendricks 2:24
5. Here's That Rainy Day         Van Heusen, Burke 6:43
6. Watermelon Man            Hendricks, Hancock 3:47
7. Every Day I Have the Blues         Memphis Slim 3:16
8. Gimme That Win                Hendricks 3:01
9. Cloudburst      Harris,Kirkland, Hendricks, Harris 2:08
10. Arastao                  DeMoraes,Lobo 8:34
 
Jon Hendricks (vol)
Larry Vuckovich (p)
Isla Eckinger (b)
Kurt Bong (ds)

Recorded live at the Domicile, Munich , 1972
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする