Phil & Quill With Prestige / Phil Woods &Gene Quill Quintet
若い時と歳をとってからの風貌ががらりと変わってしまう人がいる。先日アルバムを紹介したローズマリークルーニーもその一人だが、このアルバムの主役のフィルウッズもその一人だ。このジャケットに映るシルエットと、今の髭を生やした貫禄ある風貌が同じ人物とはなかなか想像できないものだ。
クインシーのオーケストラでリチャードソンと席を並べた時のウッズは、このジャケットの写真のようなちょっと見には優男であった。そのクインシーのオーケストラに加わる前、ウッズは同じアルトのジーンクイルとコンビを組んでいた。白人である2人は西海岸でウェストコーストジャズが興隆を極めていたにも関わらず、黒人が主導するハードバップの世界に身を投じていた。パーカーの華麗なスタイルを引き継いだ2人のプレースタイルは非常に似たタイプだ。それ故、タイプの違う2人が技を競いながらバトルを繰り広げるというよりは、お互いに自分で表現しきれない部分を補完しながら、ソロにアンサンブルに絶妙のコンビネーションを見せる。アレンジを施したアンサンブル、あるいはソロのオブリガードのつけ方はお互いによく意思疎通が図られていて、ハードバップを志向しつつも、ウェストコーストの香りも僅かに漂う。
このアルバムの曲はすべてウッズのオリジナル(CDにボーナストラックとして追加された2曲を除いて)であるが、いずれもミディアムテンポ以上のよくスイングする曲ばかりだ。2人の輝くアルトがより引き立つ。演奏スタイルは似ているが、この後EPICに吹き込まれたPhil Talks with Quillはバップの名曲ばかりを取り上げていたのとはアルバムの企画としては好対照だ。
ウッズとクイルは、60年代に入ってからはそれぞれクインシー、マリガンのビッグバンドに加わり、そしてスタジオの仕事が多くなる。ウッズは、その後、ソロプレーヤーとして復活し表舞台で活躍し続けているのに反し、クイルはバディーリッチのオーケストラの立ち上げメンバーに加わったのを最後にその後の録音を知らない。
順風満帆の人生を送っているウッズに対して、クイルの晩年は健康も害して必ずしも幸せな人生を過ごせなかったようだ。若い時は同じような境遇でありながら、2人の人生を分ける岐路がどこかにあったのであろう。
ウッズも若い頃とは風貌は一変しているが、ウッズ節のアルトの音色は80歳に近づいている今でもまだまだ健在だ。50年~60年代に活躍したプレーヤー達が大分いなくなってしまったが、残されたウッズは皆の分まで元気で活躍して欲しいものだ。
1. Creme de Funk Woods 5:09
2. Lazy Like Woods 5:53
3. Nothing But Soul Woods 6:47
4. A Night at St. Nick's Woods 6:48
5. Black Cherry Fritters Woods 5:27
6. Altology Woods 6:30
7. Airegin [*] Rollins 6:23
8. Solar [*] Davis 5:49
Phil Woods (as)
Gene Quill (as)
George Syran (p)
Teddy Kotick (b)
Nick Stabulas (ds)
Rudy Van Gelder Engineer
Bob Weinstock Supervisor
Recorded on March 29 , 1957
若い時と歳をとってからの風貌ががらりと変わってしまう人がいる。先日アルバムを紹介したローズマリークルーニーもその一人だが、このアルバムの主役のフィルウッズもその一人だ。このジャケットに映るシルエットと、今の髭を生やした貫禄ある風貌が同じ人物とはなかなか想像できないものだ。
クインシーのオーケストラでリチャードソンと席を並べた時のウッズは、このジャケットの写真のようなちょっと見には優男であった。そのクインシーのオーケストラに加わる前、ウッズは同じアルトのジーンクイルとコンビを組んでいた。白人である2人は西海岸でウェストコーストジャズが興隆を極めていたにも関わらず、黒人が主導するハードバップの世界に身を投じていた。パーカーの華麗なスタイルを引き継いだ2人のプレースタイルは非常に似たタイプだ。それ故、タイプの違う2人が技を競いながらバトルを繰り広げるというよりは、お互いに自分で表現しきれない部分を補完しながら、ソロにアンサンブルに絶妙のコンビネーションを見せる。アレンジを施したアンサンブル、あるいはソロのオブリガードのつけ方はお互いによく意思疎通が図られていて、ハードバップを志向しつつも、ウェストコーストの香りも僅かに漂う。
このアルバムの曲はすべてウッズのオリジナル(CDにボーナストラックとして追加された2曲を除いて)であるが、いずれもミディアムテンポ以上のよくスイングする曲ばかりだ。2人の輝くアルトがより引き立つ。演奏スタイルは似ているが、この後EPICに吹き込まれたPhil Talks with Quillはバップの名曲ばかりを取り上げていたのとはアルバムの企画としては好対照だ。
ウッズとクイルは、60年代に入ってからはそれぞれクインシー、マリガンのビッグバンドに加わり、そしてスタジオの仕事が多くなる。ウッズは、その後、ソロプレーヤーとして復活し表舞台で活躍し続けているのに反し、クイルはバディーリッチのオーケストラの立ち上げメンバーに加わったのを最後にその後の録音を知らない。
順風満帆の人生を送っているウッズに対して、クイルの晩年は健康も害して必ずしも幸せな人生を過ごせなかったようだ。若い時は同じような境遇でありながら、2人の人生を分ける岐路がどこかにあったのであろう。
ウッズも若い頃とは風貌は一変しているが、ウッズ節のアルトの音色は80歳に近づいている今でもまだまだ健在だ。50年~60年代に活躍したプレーヤー達が大分いなくなってしまったが、残されたウッズは皆の分まで元気で活躍して欲しいものだ。
1. Creme de Funk Woods 5:09
2. Lazy Like Woods 5:53
3. Nothing But Soul Woods 6:47
4. A Night at St. Nick's Woods 6:48
5. Black Cherry Fritters Woods 5:27
6. Altology Woods 6:30
7. Airegin [*] Rollins 6:23
8. Solar [*] Davis 5:49
Phil Woods (as)
Gene Quill (as)
George Syran (p)
Teddy Kotick (b)
Nick Stabulas (ds)
Rudy Van Gelder Engineer
Bob Weinstock Supervisor
Recorded on March 29 , 1957
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