A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ジャズの歴史をアンサンブルにすると・・・・

2011-11-23 | MY FAVORITE ALBUM
National Jazz Ensemble / Chuck Israels

チャックイスラエルというとビルエバンスのトリオのベーシストとして知られている。あのラファロの後釜として61年から参加していたし、エバンス以外にもゲッツのジルベルトとのアルバムとか参加したアルバムは結構あるが、自分のブログでイスラエルの入ったアルバムは何故か一枚も紹介していなかった。
そのイスラエルは70年代に入るとベーシストとして活動は縮小していった。そして74年にビッグバンドを編成しこのアルバムを出したが、”The National Jazz Ensemble”というたいそうなネーミングのバンドだった。メンバーは彼以外にハーマンのバンドにいたサルニスティコやジミーネッパー、そしてトムハレルなど何人かは名の知れたメンバーがいたが、多くは当時中堅、無名のメンバー。同じ志を持って集ったメンバーだったようだ。

彼が目指したのは、ジャズの名演、名曲をアンサンブルで演奏すること。まさにジャズの伝統と歴史を表現するビッグバンドだった。目指していたことは色々あったようだが、基本的には「ジャズは個人プレーヤーかつ即興演奏のアート」であるという事実からの出発していた。したかって、過去の演奏の素晴らしいソロを題材にしたものである。パーカーのアドリブを題材にしたスーパーサックスや、名演をボーカライズしたランバートヘンドリックス&ロスと同じアプローチのビッグバンド版である。素材となる曲や演奏も、ジェリーロールモートンやベイシーからホレスシルバーさらに、自作曲までまさにジャズの歴史そのものであり、ジャンル、スタイルを越えている。内容的には、ソロを忠実にアンサンブルにしたものだけでなく、オリジナルのソロをベースに新たなソロを展開しているものまである。例えばシルバーの“Room608”では、モブレーのソロはアンサンブルで、そしてドーハムのソロはハレルが新たな解釈でソロをとっている。また、イスラエルが参加していたエバンストリオで演奏したエバンスの曲”Very Early”では、イスラエル自身がアレンジし、ビルエバンス自身もピアノで参加し、ニスティコのテナー、ハレルのトランペットのソロが加わるという豪華なアンサンブルに変身している。

まさにアメリカで育ったジャズの歴史そのものの「ナショナルアンサンブル」だ。
辰己哲也ビッグバンドのようにオリジナルスコアの編曲を尊重しそれを再現するのも一つのアプローチだが、ジャズは個人のアドリブ演奏を前提にするこれもビッグバンドの表現の仕方の一つである。
ジャズは奥行きが深くてまだまだ可能性がありそうだ。イスラエルは演奏だけでなく教育者としての活動も行っていくわけだが、このような試みが教育にもつながっていったのであろう。現在でも元気で活躍しているようだが、教えを受けた若者たちが次に何を聴かせてくれるか楽しみだ。



辰己哲也BIGBANDのKING PORTER STOMP



1. Every Tub (Count Basie 1938)
2. Understanding Depression (Daviid Berger 1974)
3. Black Bottom Stomp (F. S. Morton 1926)
4. Transblucency (Duke Ellington 1946)
5. Room 608 (Horace Silver 1954)
6. Solar Complexes (Chuck Israels 1972)
7. Hot Feet (Duke Ellington 1930)
8. Very Early (Bill Evans )
9. Herlem Airshaft (Duke Ellington 1940)

Lee konita (as)
Bill Evans (p)
Margaret Hanson (voice)
Greg Herbert, Lawrence Feldman, Sal Nistico ,Dennis Anderson (reeds)
Ken Berger, Jim Maxwell, Tom Harrell, Dan Hayes, Dave Berger (tp)
Jim Knepper, Ron Levitt, Joe Randazzo (tb)
Steve Brown (g)
Ben Aronov (p)
Lisie Atkinson (b)
Bill Goodwin (ds)

Produced By Hank O’neal & Chuck Israels
Recorded April –May 1975




National Jazz Ensemble
クリエーター情報なし
Chiaroscuro Records
コメント (4)
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