A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

宮の上&吉岡のコンビにヴァイブを加えた演奏はよりスインギーに・・・・

2015-07-11 | MY FAVORITE ALBUM
Nathalie / Yoshiaki Miyanoue & Smokin'

先日、宮之上貴昭と吉岡秀晃のコンビとボサノバを得意とする歌手の石田ケイのライブがあったので出かけてみた。その日は、石田ケイの店でハウスベーシストを長年務めたスタンギルバートも再来日してゲスト出演するというおまけつきであった。

吉岡と宮之上のコンビは長い。彼らの演奏はまだデビューしたての頃から聴いているが、いつ聴いてもスインギーな演奏を楽しませてくれる。この日はメンバーの組み合わせから、彼らの演奏もボサノバが中心になるのかと思ったが、ステージは2人の演奏はいつもの通りスタンダードが中心、石田ケイが加わるとボサノバになるという2部構成であった。宮之上と石田は今回が初顔合わせだったようでこれも仕方がなかったかも。

この様なステージであったが一番光ったのはゲストであるベースのスタンギルバート。
70歳を過ぎ体調も崩していたようだが、年季の入ったプレーはすぐに宮之上と吉岡コンビに溶け込んでいった。曲が進むにしたがって力強さを増し、最後は3人の息はピッタリ合っていた。彼をフィーチャーしたオールブルースでは石田のボーカルも加わって、演奏とボーカルも一体となった熱い演奏が聴けた。いつも一緒に演奏していないメンバー同士のコラボレーションが存分に楽しめた。これが、ジャズの楽しみのひとつだ。

宮之上と吉岡がデビューしたのは70年代の後半。世の中はフュージョン色が濃いプレーヤーや演奏が主流を占めていったが、この2人の演奏はフュージョンなどには目もくれずいつの時代もメインストリームを歩んでいた。
宮之上というとウェスモンゴメリーライクの演奏が特徴だが、この2人の演奏を聴くと、ウェスモンゴメリーとウィントンケリーのハーフノートでの演奏をいつも思い浮かべる。このアルバムのタイトルSmokin’が彼らのグループ名にもなっていたので、彼ら自身も意識していたのだろう。

ウェスモンゴメリーはその後のアルバムではイージーリスニング的な演奏が多くなってしまったが、ハーフノートでの演奏を引き継いできたのはこの宮之上と吉岡のコンビと思っている。

そのような2人が80年代の始めにヴァイブを加えたクインテットの演奏のアルバムがある。ヴァイブというのは全体のサウンドに何か清涼剤のような効果があり、メロディーラインにもリズムにも隠し味を加えたような効果がある。
特に、メロディーラインでピアノとギターにヴァイブの加わったユニゾンの心地良さは格別だ。ジョージシアリングのクインテットの十八番だが、このアルバムでもアズロングアズアイリブやキャンディなどで存分に楽しめる。このような適度にアレンジを加えたグループサウンズは自分も好みだ。
2人のスインギーなペースにヴァイブも自然に取り込まれる。ビギンザビギンをラテン調に、オリジナルのサンバカンではサンバのリズムで。リズムを効かせた演奏もヴァイブの加わった効果は大きく、メインストリーマーとしてオールラウンドな演奏が楽しめるアルバムだ。
先日のライブも、この編成だったらボーカルももっと生き生きとしたかもしれない。

1. Cleopatora’s Dream
2. Sambakan
3. Nathalie
4. As Long as I live
5. Candy
6. Begin The Begin
7. To west
8. Amor

宮の上 貴昭 (g)
吉岡 秀晃 (p)
初山 博 (vib)
沼上 励 (b)
藤沢 博延 (ds)
岡山 和義 (ds)
納見 義徳 (g)
渡辺 隆司 (g)

Produced by 松橋 繁
Recording Engineer : 桶川 泉
Recorded at Studio Betty, Tokyo on April 19 & 20, 1983
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