A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

エレクトリックマイルスに向けて、少し小手調べはしたものの・・・

2015-07-25 | MY FAVORITE ALBUM
Miles In The Sky / Miles Davis

渦中の東芝だが、社訓ともいえるチャレンジがいつのまにかその対象が利益にすり替わってしまった。技術の東芝を標榜していた時には、新製品開発へ取り組む姿勢が「チャレンジ」であったはずだ。デジタルテレビの移行期にも、他社よりもはるかに関連サービスの開発に意欲的であった。ブルーレイに敗れたが次世代DVDの規格競争でもHD DVDで健闘していた。しかし、上手く成果を出せないのは、やはりトータルの経営力不足であり、今回の事件の要因であろう。

どんな分野でも競争が厳しいのは、どこの会社でも同じだが、東芝の場合は問題の本質は原子力にあるように思う。原発の存続は政治的にも決めたものの、その事業は課題&リスクが多いし大きい。決着までにはまだまだ火種が残っているように思うのだが。傷口が広がって本業に影響が出なければ良いのだが。

先日、オーネットコールマンが亡くなった。フリージャズの代表格であったが、自分にとっては縁遠い存在、持っているアルバムもない。

ペッパーアダムスの参加したアルバムの掘り起こしがちょうど1968年になっているが、スイングジャーナル誌でゴールドディスクなるものを選定し、年間のベストアルバムを選ぶ企画がスタートしたのが前の年からであった。1968年のベストアルバムが気になって、68年のゴールドディスクが発表されている翌年の1969年2月号を見てみた。ペッパーアダムスが参加しているアルバムうとは全く違う世界のジャズが並んでいる。



一位のゴールドディスクが、オーネットコールマンの「クロイドンコンサート」、次点のシルバーディスクがセシルテイラーの「コンクイスタドール」であった。ジャズロックも流行り出した頃だが、当時の評論家が選ぶジャズの主流はこんな感じであった事を改めて思い出した。
当時毛嫌いしたアルバムでも、今聴くと新鮮な感じを受けることも多いので、今、オーネットコールマンをじっくり聴くと果たしてどんな印象を持つか?今度聴いてみようと思う。

そのベストテンの中で気にかかったアルバムというと、ドンエリスのデビューアルバム「Live in 32/3/4 Time」。このアルバムもまだ紹介していなかったが、ドンエリスのアルバムは70年代になってからもまだ数多くある、これも棚卸せねば。

そして、目立つのはマイルスのアルバム「マイルスインザスカイ」。黄金のクインテットがエレクトリックマイルスに変化を始めた頃のアルバム。それにジョージベンソンが加わっていたことでも有名だ。

マイルスの生涯を振り返ると、帝王の地位を得ても現状に満足せず一生「チャレンジ」を忘れなかったように思う。この頃ジャズの世界にもロックと一緒に電子化の波が押し寄せたが、マイルスもそれまでの演奏に留まることなく、ロックとエレクトリックマイルスへのチャレンジが始まった。

久々に聴き直してみた。1曲目のスタッフ、まさにマイルスによるジャズとロックの融合?であろう。ロンカーターにエレキベースを、ハンコックにエレキピアノを弾かせる。ハンコックにとっても初めての経験だったようだ。しかし、この曲がこのアルバムのためのセッションとしては最後の日の録音であった。

録音日の時系列に直すと、1月16日のジョージベンソンが加わった「パラフェルナリア」が最初の録音となる。
この年のベンソンは、この前紹介した自らのVerveでのリーダーアルバムGillet Gravyの録音を2月5日から始めているが、その直前のマイルスグループへの参加であった。
しかし、その演奏は何となく戸惑いを感じさせる、単調なフレーズでリズムを刻み始め、ソロも控えめである。曲自体もけっしてロック色を感じさせるものではなく従来路線の延長で、ギターのトライアルであった。

それまでのマイルスのグループにはギターはいなかった。マイルスが新しいサウンドを求めるなかで、ギターに注目し、当時注目を集めだしていたジョージベンソンに白羽の矢を当てたのかもしれない。前年まで同じCBSの専属だったので身近にいたのが理由かも。結果は今一つだったのだろう、5月になって行われた残りの曲にはベンソンは参加していない。

他の3曲の5月の録音は一日1曲ずつじっくりと行われた。日を追ってロック色が強くなり、最後が一曲目のスタッフの録音になる。

マイルスの進化の丁度節目のアルバムではあるが、メンバーは従来のクインテットにベンソンンを加えただけ。ハンコックやカーターにエレキ楽器を使わせ、トニーウィリアムスに8ビートを試させ、さらにはソウル色を出したり、手探りでのスタートであった。あくまでも、その後のチャレンジのお試しアルバムであったともいえる。

という意味では、従来の編成で、従来の枠組みの中で新領域にスタートしたアルバムという事になる。此の後は、アルバム毎に大きく変化を続ける。ギターの使い方も大胆に、ピアノもハンコックではなくコリアやザビヌルも起用、さらに打楽器がグループで大きな存在を占めるようになり、マイルス自身のトランペットもエレクトリックマイルスへ変身していく。

マイルスの場合の「電子化」は、どこかの会社のように今までの事業をぶち壊す「原子力」のようにはならず、それなりに進化していった。しかし、ファンの中では「原子力」の好き嫌いははっきり分かれてしまった。

1. Stuff           Miles Davis 16:58
2, Paraphernalia     Wayne Shorter 12:36
3. Black Comedy      Tony Williams 13:49
4. Country Son       Miles Davis 13:52

Miles Davis (tp)
Wayne Shorter (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)
George Benson (g)  #2

Produced by Teo Macero
Engineer : Frank Laico, Arthur Kendy
Recorded in New York, January 16, 1968, May 15,16,17 1968

Miles in the Sky (Reis)
クリエーター情報なし
Sbme Special Mkts.
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