Sweet Lorraine / Lorraine Feather
父親にとって、自分の娘というのはいつまで経っても可愛いものかもしれない。
親元を離れ、独立して自分の道を歩み始めても色々気にはなるものだ。自分の生きてきた世界とまったく違う道を生きていくのであれば、自然と自分から遠い存在となっていくのだが。ところが、反対に自分の日々過ごしている世界に飛び込んで来るとそうはいかない。自分がその世界でそれなりの存在であればあるほど、娘の育つ姿が余計に気になるものだ。
愛娘が同じジャズの道を歩み始めたのがジミー・ロウルズ。何度も一緒に演奏する機会を重ね、無事二人でアルバムを作るに至った。ここまで来れば父親冥利に尽きるであろう。
ここにまた一人「ジャズの世界で有名人の娘」がいる。ジャズ評論家で有名なレナード・フェザーの愛娘であるロレイン・フェザーだ。
1978年、彼女はジャズ歌手としてConcordでデビューを飾った。といっても、親の七光りやコネでレコーディングに至った訳ではない。
両親と一緒にロスに住んでいたロレインだが、最初は演劇の道を目指してニューヨークで一人修行の道を選ぶ。その後、音楽の世界で生きていく決意をした彼女は、ニューヨークの多くのバンドで歌うことに。ジャズの世界ではなくぺトラクラークやグランドファンクレイルロードのバックも努めたそうだ。
そして、ロスに戻った彼女は。やはり親の血は逆らえないのかジャズの魅力にだんだん惹き込まれることに。
地元の小さなクラブに出ている内に、たまたまその中の一軒、Donte’sで歌っている時にジェイクハナの目(というか耳)にとまる。
そしてすぐに彼女の存在がカールジェファーソンの耳に入ることになる。
さっそくレコーディングとなった訳だ。
若い彼女に合わせてかバックにも若手が揃えられる。テナーのスコットハミルトンに加え、直前にデビューしたばかりのテッドナッシュも加わる。まだ彼が19歳の時だ。
ベースにはチャックドマニコが。ドンエリスの変拍子オーケストラやクレアフィッシャーのオーケストラに加わっていたと思ったら、この頃にはすっかり中堅となっていた。
後は、お馴染みのハーブエリスのギターとピアノのロストンプキンスがリズムを固める。
そして、もう一人ギターにジョー・ディオリオが加わる。彼もコンコルド初登場だが、ロレインの父親レナード・フェザーにジョーパスの後継者と言わしめた中堅ギタリストだ。
これでお膳立てが完璧に揃った訳であるが、果たして彼女の歌がこのバックの期待に応えられる腕前があるかが気になるが・・・・。
心配は無用であった。これが期待以上に素晴らしい。短期間で色々な舞台の場数を踏んだせいだろう、新人デビューとは思えない多彩振りを見せてくれる。
1曲目のスタンダード”Someone to Watch over Me”は、ピアノをバックに始まる。何となくおぼつかない感じがしないでもない。
2曲目ではいきなりロックのヴァンモリソンの“Moon dance”で調子に乗る。
3曲目は再びバラードの名曲”Skylark”をトンプキンスのピアノをバックに歌うが、これもなかなかうまくこなす。
あとは快調にラテンリズムに乗って、さらに”Deep in the Night”では熱唱を聴かせてくれる。
B面に入ってボブドローの曲”I've Got Just About Everything”ではスインギーな側面も。マイルスの”All Blues”,” Four”ではアニーロスを窺わせる歌い方も披露。
Concord特有の何の飾りっけも無いアルバム作りであるが、かえってバックのバリエーションを含めて彼女の持ち味がストレートに引き出されている。
デビュー作としては十分及第点。その後の多方面での活躍を予見させる出来栄えだ。
父のレナード・フェザーがライナーノーツを書いたら、はたしてどんな解説になったであろうか?
1. Someone to Watch over Me Gershwin, Gershwin 5:04
2. Moon dance Morrison 3:33
3. Skylark Carmichael, Mercer 2:53
4. I Don't Believe You Frishberg 3:22
5. Deep in the Night Merriam, Miller 3:09
6. I've Got Just About Everything Dorough 3:29
7. All Blues Brown, Davis 5:45
8. Wave Jobim 3:24
9. Four Davis, Hendricks 3:45
10. You and I Kellaway, Mackay 3:56
Produced by Carl Jefferson & Frank Dorritie
Lorraine Feather (vol)
Scott Hamilton (ts)
Ted nash (as.fl)
Joe Diorio (g)
Herb Ellis (g)
Ross Tompkins (p)
Chuck Domanico (b)
Jake Hanna (ds)
Recorded at Sunwest Recording Studios, and United Western Studios, Hollywood, CA, June 1978
Originally released on Concord CJ-78
父親にとって、自分の娘というのはいつまで経っても可愛いものかもしれない。
親元を離れ、独立して自分の道を歩み始めても色々気にはなるものだ。自分の生きてきた世界とまったく違う道を生きていくのであれば、自然と自分から遠い存在となっていくのだが。ところが、反対に自分の日々過ごしている世界に飛び込んで来るとそうはいかない。自分がその世界でそれなりの存在であればあるほど、娘の育つ姿が余計に気になるものだ。
愛娘が同じジャズの道を歩み始めたのがジミー・ロウルズ。何度も一緒に演奏する機会を重ね、無事二人でアルバムを作るに至った。ここまで来れば父親冥利に尽きるであろう。
ここにまた一人「ジャズの世界で有名人の娘」がいる。ジャズ評論家で有名なレナード・フェザーの愛娘であるロレイン・フェザーだ。
1978年、彼女はジャズ歌手としてConcordでデビューを飾った。といっても、親の七光りやコネでレコーディングに至った訳ではない。
両親と一緒にロスに住んでいたロレインだが、最初は演劇の道を目指してニューヨークで一人修行の道を選ぶ。その後、音楽の世界で生きていく決意をした彼女は、ニューヨークの多くのバンドで歌うことに。ジャズの世界ではなくぺトラクラークやグランドファンクレイルロードのバックも努めたそうだ。
そして、ロスに戻った彼女は。やはり親の血は逆らえないのかジャズの魅力にだんだん惹き込まれることに。
地元の小さなクラブに出ている内に、たまたまその中の一軒、Donte’sで歌っている時にジェイクハナの目(というか耳)にとまる。
そしてすぐに彼女の存在がカールジェファーソンの耳に入ることになる。
さっそくレコーディングとなった訳だ。
若い彼女に合わせてかバックにも若手が揃えられる。テナーのスコットハミルトンに加え、直前にデビューしたばかりのテッドナッシュも加わる。まだ彼が19歳の時だ。
ベースにはチャックドマニコが。ドンエリスの変拍子オーケストラやクレアフィッシャーのオーケストラに加わっていたと思ったら、この頃にはすっかり中堅となっていた。
後は、お馴染みのハーブエリスのギターとピアノのロストンプキンスがリズムを固める。
そして、もう一人ギターにジョー・ディオリオが加わる。彼もコンコルド初登場だが、ロレインの父親レナード・フェザーにジョーパスの後継者と言わしめた中堅ギタリストだ。
これでお膳立てが完璧に揃った訳であるが、果たして彼女の歌がこのバックの期待に応えられる腕前があるかが気になるが・・・・。
心配は無用であった。これが期待以上に素晴らしい。短期間で色々な舞台の場数を踏んだせいだろう、新人デビューとは思えない多彩振りを見せてくれる。
1曲目のスタンダード”Someone to Watch over Me”は、ピアノをバックに始まる。何となくおぼつかない感じがしないでもない。
2曲目ではいきなりロックのヴァンモリソンの“Moon dance”で調子に乗る。
3曲目は再びバラードの名曲”Skylark”をトンプキンスのピアノをバックに歌うが、これもなかなかうまくこなす。
あとは快調にラテンリズムに乗って、さらに”Deep in the Night”では熱唱を聴かせてくれる。
B面に入ってボブドローの曲”I've Got Just About Everything”ではスインギーな側面も。マイルスの”All Blues”,” Four”ではアニーロスを窺わせる歌い方も披露。
Concord特有の何の飾りっけも無いアルバム作りであるが、かえってバックのバリエーションを含めて彼女の持ち味がストレートに引き出されている。
デビュー作としては十分及第点。その後の多方面での活躍を予見させる出来栄えだ。
父のレナード・フェザーがライナーノーツを書いたら、はたしてどんな解説になったであろうか?
1. Someone to Watch over Me Gershwin, Gershwin 5:04
2. Moon dance Morrison 3:33
3. Skylark Carmichael, Mercer 2:53
4. I Don't Believe You Frishberg 3:22
5. Deep in the Night Merriam, Miller 3:09
6. I've Got Just About Everything Dorough 3:29
7. All Blues Brown, Davis 5:45
8. Wave Jobim 3:24
9. Four Davis, Hendricks 3:45
10. You and I Kellaway, Mackay 3:56
Produced by Carl Jefferson & Frank Dorritie
Lorraine Feather (vol)
Scott Hamilton (ts)
Ted nash (as.fl)
Joe Diorio (g)
Herb Ellis (g)
Ross Tompkins (p)
Chuck Domanico (b)
Jake Hanna (ds)
Recorded at Sunwest Recording Studios, and United Western Studios, Hollywood, CA, June 1978
Originally released on Concord CJ-78