やさいの家

小さな日常・小さな風景

「さくら」茨木のり子

2013-03-27 06:27:21 | 日記
「さくら」 茨城のり子

ことしも生きて
さくらを見ています

ひとは生涯に
何回ぐらいさくらをみるのかしら
    
    



    


ものごころつくのが十歳ぐらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい
三十回 四十回のひともざら
なんという少なさだろう

もっともっと多く見るような気がするのは
祖先の視覚も
まぎれこみ重なりあい霞(かすみ)立つせいでしょう

あでやかとも妖しとも不気味とも
捉えかねる花のいろ
    
    
    



    



さくらふぶきの下を ふららと歩けば
一瞬
名僧のごとくにわかるのです

死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と
    
   
    



     

    

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