驚きぞ 驚きぞ
酔うて酔うて 驚きぞ
軽い気持ちで 検査受く
あれよあれよと 車いす
そのまま入院 驚きぞ
有無も言わせず ベッドへと
何がなんやら 分からずや
気持ちの整理 つかぬ間に
今から手術と 告げられし
酔うて酔うて 言いたきや
心の整理 つけたしや
酔うて酔うて つけたしや
心の動揺 沈めたし
あっと言う間に 手術台
何がなんやら 分からずに
痛き麻酔 頭にと
注射の痛さ 止めるのに
麻酔注射 打ちたしや
酔うて酔うて 冴えるごと
頭の中を ガリガリと
己の頭 冴えている
スペイン旅
我が人生 終わりかや
日ごと 半身離れゆく
我が意思から 離れ行く
思うに任せぬ 半身が
昨日より今日と 離れ行く
酔うて酔うて 歯がゆきぞ
我が人生 これまでか
酔うて酔うて 言い聞かす
己の意思も ままならぬ
もう言うこと 聞かぬぞえ
己の身体 己に有らず
意思とは別に 離れ行く
己の半身 離れ行く
酔うて酔うて 歯ぎしりぞ
己の意思と 離れ行く
己の半身 離れ行く
酔うて酔うて 悔しきぞ
宮島・秋吉台紀行
スペイン旅行
酔うて酔うて 呆れてる
酔うて酔うて 思い知る
己のボケが 進んでる
己の早とちり 今更に
孫の進学 間違える
孫の卒業 間違える
孫の入学 早とちり
思うて思うて 赤面ぞ
ああ 歳は 取りたくない
酔うて酔うて 嘆かわし
今宵も酔うて 過ぎていく
何処まで進む このボケは
思うて思うて ぞっとする
スペイン旅行
酔うて酔うて 消している
亡き妻の 面影を
消している 消している
手紙にメモに 面影の
残る物を 消している
消せば消すほど 募りしや
愛しかりける 我妻の
愛しき微笑み 浮かび来る
酔うて酔うて 今宵又
切なき夜が 忍び寄る
消して消しても 消しけれぬ
愛しき妻の 面影や
今宵も切なく 過ぎていく
酔うて酔うて 今宵又
スペイン旅行
憂えてます 憂えてます
物忘れ酷く 憂えてます
あれをこれをと 思いつつ
もう忘れています 忘れています
酔うて酔うて 憂えてます
覚えた字 もう忘れてます
辞書 引き直してます
もう忘れてます 忘れてます
酔うて酔うて 忘れてます
酔うて酔うて 忘れてます
重ねるグラスに もう忘れてます
健忘症 痴呆症
怖れてます 恐れてます
酔うて酔うて 過ぎていく
時も曜日も 忘れゆきます
恩讐彼方に 消え行くように
酔うて酔うて 流れゆきます
人生全て 流れゆきます
人生全て 流れゆきます
酔うて酔うて 流れゆきます
今日も今日とて 流れゆきます
スペイン旅行
酔うて酔うて 思いしや
栄華すたれて 自然へと
人歩し道 何時しか古に
極める栄華 何時しか凋落
酔うて酔うて 納得す
人口減りて 消滅に
町も村も 消えていく
人去りて又 元へと
栄え栄えた 町、村は
何時しか自然へと 戻りゆく
酔うて酔うて おもいしや
消えゆくを 嘆くより
自然に戻るを 喜びし
酔うて酔うて 思いしや
栄華盛衰 世の常ぞ
壊した地球 修復を
自然は治癒力 発揮する
酔うて酔うて 思い知る
スペイン旅行
いよいよ突入か
後期高齢者の 仲間入り
酔うて酔うて 実感す
腰の痛み 激しきに
絶え切れずに 接骨院へ
酔うて酔うて 情けなや
ベッドから下りるのも ヨイコラショ
腰の痛みに 顔しかめ
何をするのも 億劫に
酔うて酔うて 情けなや
これではこの先 如何なるや
寝たきり老人 待っている
己の行く先 目の前に
動けず食べずの その先は
考えまい 考えまい
酔うて酔うて 考えまい
スペイン旅行