目の前 真っ暗に
酔うて酔うて 真っ暗に
怖れていた事 恐れていた事
そうそう やって来た
怖れていた 喘息が
ついに有って来た やってきた
そろそろ 来るとは思っていたが
咳が止まらない 止まらない
昼も夜も 止まらない
人生これで 終わったかと
酔うて酔うて 覚悟する
辛い辛い これからが
やってくる やってくる
長い長い 絶える日が
酔うて酔うて 覚悟する
安らぐ日々の 無い人生が
辛く苦しい 絶える日々が
酔うて酔うて 覚悟する
残りの人生 闇の人生が
これから 始まると
スペイン旅
酔うて酔うて 恐れるや
己の記憶 消えるのを
酔うて酔うて 不安なり
薄れる記憶 物忘れ
愈々来たかと 身構える
酔うて酔うて 消えゆくや
頭の細胞 消え失せる
痴呆来たかと 恐れるや
認知症かと 怯えしぞ
酔うて酔うて 不安なり
名前が出ずや 顔見ても
記憶の細胞 欠落ぞ
酔うて酔うて 情けなや
こんな筈では なかりしと
思うてみても せん無しや
記憶の細胞 失せていく
酔うて酔うて 失せていく
痴呆に認知 襲い来る
明日と言わずに やって来る
酔うて酔うて 怯えてる
酔うて酔うて 不安なり
スペイン旅
止めました 止めました
酔うて酔うて 止めました
ドケチの人生 止めました
老後を思うての ドケチ生活
止めました 止めました
己の人生 後幾年
今更ドケチ 何なりや
酔うて酔うて 思いしぞ
あと何年 生きるかと
生きるつもりか 問うてみる
酔うて酔うて 問うてみる
己の身体 動けるは
あと何年と 指折りて
もう止めた もう止めた
酔うて酔うて 決めたるや
残りの人生 楽しむを
ドケチの人生 楽しむを
酔うて酔うて 決めしぞや
sスペイン旅
酔うて酔うて 嫌になる
グラス持つ手が 嫌になる
バラの剪定 嫌になる
思いだして 嫌になる
酔うて酔うて 痛ましや
バラに傷つき 血まみれの
見るも痛まし 我が指ぞ
美し顔して 何故刺すや
酔うて酔うて 痛みしぞ
美しものに 棘がある
庭の掃除に 怯えしや
庭木の手入れ する度に
刺され傷つく 我が身体
酔うて酔うて 痛みしぞ
酔う酔うて おぞましや
そろそろ近づく 庭手入れ
恐怖の思いに 駆られつつ
酔うて酔うて 身が竦む
酔うて酔うて 更けていく
恐れおののき 過ぎていく
スペイン旅
酔うて酔うて ビックリぞ
己の目 いかれたかと
視力の半分 占拠さる
ギザギザ光りて 視力無し
とうとう来たか お別れが
この世も見納め さよならか
目の前の映像 消えるかや
ちいさなキラキラ 気になるも
あれよあれよと 大きくなる
とうとう失明 来たのかと
覚悟する 覚悟する
酔うて酔うて 覚悟する
己の人生 これまでと
映像無き人生 始まると
如何に余生 送らんと
思考も停止 混乱する
酔うて酔うて 闇の中
とうとう人生 終わりぞえ
明けの人生 終わりぞえ
闇の人生 始まると
酔うて酔うて 覚悟する
辛き人生 始まると
酔うて酔うて 覚悟する
スペイン旅
過ぎてゆく 過ぎてゆく
今宵も今宵も 過ぎてゆく
酔うて酔うて 過ぎてゆく
全てのシガラミ 振り払い
過ぎてゆく 過ぎてゆく
世間の関わり 全て捨て
人の干渉 捨て去りて
野垂れ死にをば 覚悟する
人との関わり 面倒で
ひそりひそり 去りたしや
如何に我が身を 処理せんと
思いあぐねて 過ぎてゆく
酔うて酔うて 過ぎてゆく
静かに静かに 去りたくて
秘かに秘かに 去りたくて
今宵も 酔うて酔うて
過ぎていく 過ぎていく
思いあぐねて 過ぎていく
スペイン旅
安堵する 安堵する
酔うて酔うて 安堵する
己の目 心配失せて
安堵する 安堵する
失明かと 思いしが
一夜明けての 正常に
安堵する 安堵する
酔うて酔うて 嬉しきや
後先短き この身なる
失明免る この上は
動けるうちに 動かねば
酔うて酔うて 言い聞かす
動ける人生 後少なしと
今さら倹約 何なるや
己の人生 あと10年
動ける人生 あと5年
否否 5年も動けぬと
酔うて酔うて 思いしや
ならば今は 最後の時かと
さあ 動けるうちに 動かねば
酔うて酔うて 言い聞かす
己に己に 言い聞かす
スペイン旅
酔うてます 酔うてます
残り少なの 人生を
思い思いて 酔うてます
何の希望も 持てなくて
今宵も酔うて 酔うてます
残り少なの 人生を
送ってます 送ってます
楽しき事探して 送ってます
嘆いて嘆いて 酔うてます
老い先短き この人生
迷い迷いて 酔うてます
又重ねしや 年ひとつ
何の展望 開かずに
重ねるグラス 切なくて
今宵も切なく 酔うてます