分け入っても分け入っても本の森

本読む日々のよしなしごとをそこはかとなく♪

●そのクレーム

2007年02月12日 22時40分24秒 | 文学
贔屓にしている文庫本カバーがあります。
柄合わせや作りもよくて、手作りの一点物ばかり。
いちおう市販されていて、不定期に入荷があります。
実際に読書のお供に重用しているのですが、ただひとつ、サイズに問題が……。

サイズ表示、縦16センチ。なのに、実際は15.5センチしかありません。
これについて、こんなクレームを書きかけ、やめました。

<今回も、とても素敵で作りのよいブックカバーで嬉しいです。
このシリーズを気に入っており、毎回楽しみにしております。
だからこそ、なのですが、一点どうしても残念な点があり、メールいたします。

ブックカバーのサイズについて、
表示通りの16センチならたいていの文庫本はカバー可能ですが、
実際(実物の商品)は15.5センチジャストしかありません。
これでは、岩波、新潮、角川、講談社文芸、ちくま、河出、PHP、などは大丈夫ですが、
文春文庫、集英社文庫、ハヤカワ文庫は入らないのです。
せめてあと2ミリ縦があれば入るのに、と思います。
表示通り16センチなら絶対に入りますし、せめて15.8センチあればと思うのです。

確かに文庫本カバーが16センチたっぷりあると、遊びすぎで不格好ですが、
15.5センチでは、合う物にはぴったりきてよいですが、かなりきつめです。
現に、文春文庫、集英社文庫、ハヤカワ文庫は入りません。

ハヤカワでもダニエル・キイス文庫のような特殊なサイズの物が入らないのは仕方ありませんが、
普通のハヤカワ文庫が入らないのは、困りますし、残念です。>


この指摘を、不適切であるとは思いません。
しかし、これで指摘した点が改善されるのではなく、「こんなクレームが来るくらいなら、いっそ製造そのものをやめてしまおう。どうせ採算の取れないラインなのだ」となったら……。
ただでさえこのブックカバー、「不定期入荷」の間隔は、確実に開いていっているのです。


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なじみの中型書店が、今月いっぱいで閉店するそうです。
日々の通り道にあって、雑誌、新刊のチェック、購入に利用していただけに、ちょっとショックを隠せないぼく。

近年、本は売れないようです。
発刊点数は増えているのに、書籍全体の総売上は下がる一方。
それに反比例するように、一点あたりの価格は高騰。
数年前まで400円だった文庫本が重版されると、価格は倍近くに跳ね上がっていることも……。


人間は、言葉無しには生きていけません。
そして、テキストとしての書物無しには餓えてしまうのです。
なのにどうして、本は売れないのでしょうか。


――安易なテキストがあふれ、「書物を読めない恐怖」感が薄らいでいると思います。
前の大戦で餓えたのは、食物に対してだけではなく、書物に対してもそうであったと聞きます。


どうして、食料が尽きることはないと無意識に信じることができるのか。
電子テキスト、モノとしての雑誌の脆弱さに無神経でいられるのか。(そのテキストそのものは重要であっても)

食料のストックには難しい点もあります。
でも、書物のストックは必ずしもそうではありません。
ほんとうに、個人の身の周りから本がなくなってもよいのでしょうか。
本は図書館にあればよいのでしょうか。(反実仮想)