Vol.210 北山滅亡後の沖永良部島の統治は？（4）

沖永良部島に琉球から来島した役職者を、琉球からの辞令書や家譜で確認できた方々としてVol.65で書きましたが、その後の調査の内容を追加して整理してみました。

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①1466年　泊宗重　　＊呉姓
琉球より北緯の奄美地方の管轄をする

②1539年　毛　盛寛
国頭・与論・永良部の政治を司る役人に任命

③1543年　毛　盛寛　　＊毛姓は護佐丸の子孫
国頭・与論・永良部の御物城（おものぐすく）職に任ず
（中国をはじめ諸外国との交易品を保管する倉庫として築かれた城）

④1522～1566年（嘉靖年間）大嘉喜地頭職　堵姓家譜　上江洲家

琉球から徳之島在番に来たようである

⑤1562年　首里之衆（徳之島初代大親子）琉球から来る

⑥1568年　毛　盛埋
5島の政治を司る役人に任命

⑦1558年　名前不明
首里大屋子　永良部に任ず　名前が不明です。誰だったのでしょう。

⑧1568年　栄　吉久　＊栄姓は①泊宗重の呉姓の筋にある
永良部大屋子に任ず　琉球から赴任　→　1580年　44歳で死亡

⑨1575年　容義貫を永良部の役人に任ず　＊容姓は①の泊（呉家）の系列のよう
琉球から赴任　妻は永良部大屋子（誰？）の娘で眞鶴

⑩1608年　永良部首里主の思鎌戸　徳之島も兼任
徳之島の大屋子が急死にて、徳之島に３年在島し兼任。
その間に、死亡した徳之島の世之主の後妻と縁組し子供を設ける。
1612年　思鎌戸死す

⑪次郎かねを沖永良部の大屋子に任ず　＊永良部世之主の母親の要家
年度が不明であるが、1613年に知行目録があるので、それに近い年で、それより前は確か。

⑫1573～1620年間　姚某　名不詳　筑戸登之座敷　永良部島地頭職に任ズ　姚姓又吉氏家譜

1614年には与論島の地頭職になっています。沖永良部島にやってきた年がはっきりわからないのですが、⑪の次郎かねが大屋子になったのでこの人は与論島に移動になったのか？

こちらも家譜があるようなので、一度確認が必要ですね。

⑬永良部阿応理屋恵 　童名思戸金　

＊第二尚氏７代尚寧王の弟　大具志頭王子朝盛の妻

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赤文字のところが追加事項です。

緑文字が、実際に沖永良部島や徳之島に赴任した人物です。黒文字の役職者は、琉球本土で統括する役割だったようです。

④⑤については、徳之島へやってきた役人ですが、もしかすると同じ人物の可能性もありますね。⑤の首里之衆は、徳之島にその後子孫が代々続いている家系です。④は琉球の方に子孫がおり家譜もあるようなので、どういった繋がりが見えるか、一度閲覧したいと思っております。

こうして見ると、徳之島や沖永良部島に直接役人が派遣されたのは早くても1522年頃のようですね。ちょうど第二尚氏３代尚真王の在位終わりの頃からです。それまではどうしていたのか？

島の有力者が大親子となって統括していたのか？

実際に奄美大島では島の有力者がそのまま大親子になったケースもあるといいますので、それはあり得る話です。

もちろんここにある情報は、現代において記録が残っている範囲ですので、それ以前に奄美の島々に渡った役人がいたり、もっといた可能性があります。

今のところそれが確認できていないのが非常に残念です。

もしかしたら、もうこれ以上は突き止めようがないのかもしれません。

⑬の発見には驚きました。薩摩が侵攻してきた時の琉球王であった尚寧の弟の妻です。阿応理屋恵とはノロのことで、聞得大君（王家の女性）をトップとしたノロ制度の下に位置づけられていました。

この永良部阿応理屋恵は琉球本島に居住していたと思われますが、何故にして永良部阿応理屋恵なのか？

研究家の先生にお尋ねしたところ、他の様々なノロの調査研究からも「永良部」とついた阿応理屋恵は今のところ見つかっていないようで、詳細はいまだ不明なようです。今後の研究に期待したいところです。

そしてこの永良部阿応理屋恵なのですが、大変興味深いことがあります。

彼女の童名は思戸金。琉球や奄美の島々では発音の仕方が違うので、ある方にお尋ねしたら、「おめつがね」とも読むそうです。

そして夫である具志頭王子朝盛の童名は「思次郎金」

「おめつがね」と「思次郎金」夫婦。どこかで聞いたことがあると思いましたら、沖永良部世之主の母方の家である要家の家譜に記されているご夫婦と同じ名前なんですね。生きた年代も同じ頃です。要家の妻は大あんしゃりといってノロです。

ま、ま、まさか！

とてつもない驚きと期待で、やっと1つの突破口が見つかった！と感激していたのもつかの間、、、、

続きは次回書きます。