拝啓、私の読者様。
京四郎の暑っ苦しい自分語りのせいで、乙女ちっくメルヒェン指数が足りなくなった
のか、白鳥空はいったん席を外します。兄さんベタボメトークで一話丸ごと使われ
たらどうしようと案じていたので、グッジョブです。
さすがに、こずえちゃんの本棚にもやおい本はなかったので、京四郎のホモ毒気
にあてられて気分が悪くなったのでしょう。
新鮮な夜の空気を吸い、せつなちゃんの美しく闘う夜空を眩しく見上げます(大嘘)
しかし、かわりにまたしても空の拝啓私の王子様モノローグがはじまってますが(汗)
「闘うのに重い理由があって、強い決意があって、私なんかとは次元が違って、
ついて行く自信はないけど」
ええ、はっきりいって彼の言動には、視聴者の大半はついて行けません!!
(どキッパリ)
それでも京四郎を介護し、十年越しの志を語られ、側に寄り添えた先刻のために
自信を取り戻す空なのでした。
京四郎の喉を潤すための湧き水を汲む彼女の背後に忍び寄る大きな影――。
それはカズヤで繋がった二人の想いを揺るがせる人物。
京四郎のもう一人の兄、綾小路ソウジロウでした。
今回とくに藤井まきマジック(?)で二枚目に描かれていたソウジロウ兄さん、
「デートしようぜぇ~♪」なーんて襲いに来たわけでもないのですが(貧乳
じゃないし?)やはり原形がアレですので、盛大な悲鳴をあげられてしまい
ます。アカデミアのスター大神ジン様ですら眼中にない白鳥空の美形度センサー、
一瞥してマッチョは大気圏外扱いのようです。
(っていうか、空って人の中身見る目ないよね)
空の叫び声で駆けつけた京四郎は、次兄を剣先で牽制しながら罵りの刃を
向けます。
命を吸い世界を破壊する絶対天使を野放しにする、裏切り者だと。
対するソウジロウ、自らの非は認めつつも天使をかわいそうで、儚くてか弱いと、
諭します。このときのソウジロウの眼差しがとても優しいのが印象的。
聞く耳持たずに、天使を「この世にあってはいけない」倦むべき悪存在だと
言い募る京四郎ですが「お前のために闘っているせつなもか?」と切り返され
言葉に詰まってしまいます。
まったくこれでは、どっちが正義の味方で悪役なんだか判りませんね。
ソウジロウの心を篭めたお説教タイム。舌戦の軍配はどうやら兄に上がった模様。
たるろっての足蹴りに続き、口喧嘩でも連敗の京四郎。
どんどん落ちぶれていきますね。
きっと日頃から、せつなちゃんと「京四郎はそれでいいの?」「ああ」の冷め切った
熟年夫婦みたいなマンネリ会話をしてきてがために、言葉で人を説き伏せる能力
が停滞してしまったのでしょう。
沈黙を埋めるように、三人を巡って飛び交う蛍の群れ。美しい情景です。
「お前こそ本当は分かっているんじゃないのか?」
一歩詰め寄るソウジロウ。その視線が一瞬だけ鋭くなって京四郎の背中に守ら
れた少女に移り、思わず動じてしまう空です。
空の正体も知っているから、京四郎の意図もお見通し。
けれど怯える空を気遣って、何よりも弟の立場を考えて、あえて真相を伏せておく。
ソウジロウの優しさが窺われる場面ですね。
空のことについて触れられるとでも焦ったのでしょうか、
京四郎の口から滑り出たせつな抹殺の爆弾発言。
「絶対天使はただの一体もこの世に残さない。すべて消す!
この俺の手で。それがカズヤ兄さんの遺志だ!」
「華麗で強くて優しくていつも笑顔で、何があっても勝利する」
カズヤ賛美の復唱に、「…そして愚か者だ」とシニカルな形容を加えるソウジロウ
は、京四郎の知らぬ長兄の本性を見抜いていたのでしょう。
その実在から離れて京四郎の胸のうちで温められ、磨かれた完璧な人格として
存在していたカズヤ。
空の正体とともに彼のカリスマ性も、この物語のミステリーのひとつですね。
カズヤを妄信する京四郎に「あいつは消えた、もうどこにもいないんだ」と冷たく
言い放つソウジロウ。
大切な人を亡くした悲しみを抱える相手にとっては、いたって残酷な宣言ですが、
温容な彼がこんな台詞を吐くのも、カズヤへのコンプレックスの裏返しなん
でしょうか。現実に生きている兄の自分を頼ってくれないもどかしさ、なのかも。
激昂する京四郎に同調しつつも、ソウジロウの弁に一分の理を認めざるを得ない空。
カオンやせつなと接して絶対天使への憐憫の情を催していたのだから当然です。
とそこへ、たるろってとせつなが乱入。
京四郎に戦意を鼓舞されて満面笑顔のせつな。可愛すぎる!
しかし、たるろっての猛攻を凌いで、京四郎と空の盾になるせつなは大苦戦。
護る闘いってつらそう。二人が一緒にいるので闘争心が消失しているのでしょう
かね。
天使の皆さんは剣なので、防御に長けていなのかな。
パドラスの襲撃に耐えかねて「京四郎…!」と助けを求めるせつなちゃん。
ゆきちゃん、悩ましくていい喘ぎ声です(をい)
しかし、京四郎は手も貸さずに檄するのみ。
「せつな、お前は闘う剣だ。絶対天使を砕く剣だ。例えその身が
折れようと敵を砕くまで倒れるな!」
あんた、鬼ですかい!
というか、腕を負傷した一話みたいに、せつなと二人のライジング・ユニコーンで
撃破しないのか?もしかしたら、あわよくばたるろってとの共倒れ願っていた
んじゃないかなと勘繰ってしまいます。
戦いを終わらせる為の戦いはどこにも存在しない。
絶対天使を破壊するのに絶対天使を用いているというアンチノミー(二律背反)
絶対天使を行使することの愚かさを一番露呈しているのは、京四郎のような気が
します。
そんな京四郎を止めたのは白鳥空。
今回、彼女がヒロインらしさを発揮した回でしたね。
「そんな哀しい事言わないで…私、綾小路さんのこと、ほんとうに
王子様みたいで、優しくて立派で…」
堰を切ったように瞳から溢れ出る悲しみをとどめられず、京四郎の背後から
抱きつく空。どうみても首絞めです!
いまだ!愛しのせつなちゃんをブラック王子様の
魔の手から救う為、そのまま羽交い絞めして、
一気に奴の息の根を止めるんだッ!!
(鬼畜ですか)
突如、空の身体から発したオーラに包まれた三人はワープして危機を脱しました。
瞬間移動じゃなくて(笑)絶対天使の能力のひとつ、「絶対転移」ですね。
白鳥空も着実に天使能力を開花させつつあるようです。一話ラストからその
片鱗は窺えましたが。
せつなちゃんを助けるためですよね!
空はよっぽど、猫娘とマッチョを視界にとどめておくのが嫌だったんですね。
どうせなら、京四郎も置いてくりゃよかったのに(酷)
それにしても自分の憧れの王子様のイメージからかけ離れているから
哀しいから…って、空よ。もっとましな言い様はないものかとも考えますが、
遠回しに京四郎を窘める彼女なりの優しさなのかも。
ここで(視聴者からさんざん叩かれまくりなのに)空からも責められたら
京四郎の立場、形無しなので(笑)
ほんとは、「せつなさんが可哀想だから、そんな事言わないで」と叫びたかったの
かもしれないですが、それを口にしたら、京四郎のせつな破壊宣言を聞いていな
かった、せつなまで傷つけるからかも。
(追記:六話のラスト観たら、↑この考えは変わりました。空、あんたって娘は…)
しかし、なぜに転移後に上半身裸で空を抱きしめているのか、綾小路京四郎。
せつなちゃんは、てめーのハンガー代わり
ですかい!!(怒)
…という冗談はともかく。
京四郎の手当てのために夢の衣裳を破った空と、兄の形見の学ランを脱ぎ
捨てた京四郎は「王子様」で結びつきつつも、その妄執から解放される一歩を
踏み出したのかもしれませんね。
ああ、またせつなちゃんの鈴音がせつないです…(泣)