陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

あの日から三年

2014-03-11 | 政治・経済・産業・社会・法務

東日本大震災から三年経ちました。
月並みですが、被害に遭われた方がたのご冥福お祈り致しますと共に、すこしでも早く復興を果たされるように願います。

自分のなかでは三年というより、もう五年も経ったような感覚です。
それくらい、世間も、自分もこのことを忘れていたのではないか、と思うくらいに。

たとえば、都知事選で原発の有無が取り沙汰されましたが、新知事が誕生するや否や、その議題についてすっかり成りを潜めた模様。政府は再稼動に向けて舵を切りはじめましたし。日本のメディアではあまり報道されなかったけれど、アメリカの西海岸には原発の汚染水が大量に流れ着いて、環境破壊をしているらしい。







この三年でなにが変わったのでしょうか。
まず、外交に弱腰だった政権が変わりました。しかし、安倍首相がうっかり靖国神社を総理名義で参拝したことは、中国韓国はいわずもがな、同盟国であるはずの米国にまで嫌悪感を抱かれています。対中韓感情の悪化は、国内情勢の厳しい国民の不満のガス抜きに利用されているようです。安倍政権はなぜか九条改訂に躍起です。それは急ぐことなのでしょうか。

税負担はいちだんと厳しく重くなりました。いまは確定申告の季節ですね。所得税を納める皆さん、復興特別所得税なるものが2.1パーセント加わっています。私も数千円程度支払っています。この措置はあと20年続きます。しかし、20年したらやめるなんていう保障はありません。消費税もこの四月からアップします。軽自動車税も高くなります。なのに、法人税は減税されます。

円高から円安に変わり、自動車や家電などの輸出産業は利益拡大、大赤字から一転してボーナスを奮発する企業もあります。一見、景気が良くなっているように思えますよね。でも、賞与の恩恵を受けるのは、一部の正社員。こうした製造業の従業員の大半はいまや非正規労働者。彼らにはボーナスもなければ、退職金すらもありません。おそろしいことに、安倍政権は、派遣法を改悪し、派遣の業種をさらに拡大し、「なぜか助成金を与えてまで」非正規労働者の解雇をしやすくする魂胆です。消費税が上がれば、彼ら非正規の立場はますます苦しくなります。なぜならば、非正規のサラリーは「人件費」ではなく「外注費」というモノ扱いで、しかも発注する派遣先大企業は派遣元企業に、消費税分まで税込みで負担を押しつけるからです。とうぜん、消費税分だけ、非正規労働者の給料はのきなみ切り下げられるでしょう。

日本の貿易赤字は過去最大級に拡大しています。このことは海外のニュースでも報道されています。円安のおかげで、輸入資材、とりわけ、石油、ガスなどの燃料が高騰しています。食料品など身近なものの値段がじりじりと上がっていることを、庶民の皆さんは感じているはずです。






個人的なことですが、この三年のあいだ。自分をとりまく状況も変わり、しんどい思いをたくさんしてきました。被災地の皆さんとそうでない地域との温度差、こころない発言にこころを痛められたという気持ちもよくわかります。人間の本質は、いざ、というときにこそ現れます。原発被災で支援金をもらって裕福な生活をしている家庭と、被災で家も職も何もかも失ったのにいまだに貧しいままのご家庭との格差。震災は、メディアが煽るように、日本が復興に向けてひとつになった、と言われるようななまあたたかいもののみならず、人間の深層にある薄暗い感情をもあきらかにしてしまいました。

世の中が良くなっているのかはわかりません。
煉瓦のひとつひとつを積み上げていくがごとく、ただ粛々と日々の日課をこなし、時には楽しみに興じ、時にはすばらしい偉業に,作品に、感動する。そのようなとりとめない日々がつづいていくだけなのです。






※画像はPinterestからお借りしました。


【出典】
一枚目:ma2konさん
二枚目:Hideya Kawaharaさん
三枚目:Josh Draperさん




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