この年末に行き着けの大型書店でポイント二倍セールがあるので、この機会に買いたかった本をたんまり購入しました。
もちろん、経費にできそうな本ばかり。ふだん、数千円はする資格テキストやら、ちょっと見栄を張ったビジネス本やらを買うとすぐポイントは溜まってしまいます。食料品は一円でも安いスーパーを探してしまうのに、本にお金を出し惜しみしないのは不思議ですね。
今回は、本好きの皆さんの懐具合によるお話です。
最近は、とくに漫画の単行本がそうですが、本もお値段がじわじわ上がっていますよね。近くに古書店が減ってしまいましたので、新刊の本を買うことも多くなりました。しかし、実入りには限度がありますのでえり好みして買っています。
本は贅沢な買い物なのでしょうか。
私にはそうは思えません。むしろ、文字さえ読めるのならば、誰にでも開かれているのが本なのですよ。教育者はさかんに読書をすすめますが、なぜでしょうか。それは、学校やら、職場やら、もしくは地域やSNS上のフォロワーやらの数よりも多くの知見を得ることができるからなのです。
本はいい買い物である、それをみっつのキーワードで表明してみます。
・本は「安価」な買い物である
原則、日本全国どこでも同じ定価で販売されるもの──それが本です。発売日は遅れますが、運賃が定価に加算されることはまずありません。また、古書店にいけば割引価格で購入することもできます。そのうえ、図書館でも借りられるので無料で読むことも可能。書店でもあらかじめ立読みできますから、衝動買いせずに済みます。飽きたら売れますし、捨ててもリサイクル料金をとられたりもしないですし。漫画や小説はよく映像化されますけども、ほぼ原作準拠であらすじだけ知りたいなら、漫画や小説を読んだ方が楽だし、マイペースに時間を消費できますよね。道具もいらず、場所もとらずに、お金をかけずに楽しめる趣味として最適です。
・本は「安心」な買い物である
本を出している著者だから言説が正しいとは限りませんが。自費出版をのぞき、それなりの出版社のレーベルから出された本ならば一定の質はあるはずです。文学賞受賞の小説はかならず書籍化されますよね。本になるということは、それなりの作家としてのステータスがあるということ。SNS上で瞬間的にバズった漫画よりも、繰り返し読みたいのはやはりコミックス漫画です。また、古典の本など、流行に左右されなくてもいいものを楽しめることもあります。そのうえ、海外では使えない電化製品やら通信料が高いといった弊害もなく、持ち運びすれば楽しめます。
・本は「安全」な買い物である
情報源としては、ネットのほうが速報性があります。しかし、ネット上の文章や画像は改変されてしまったり、消去されてしまうことがあります。本として出版されたら書換えは不可能なので、文責が発生します。もちろん、ネット上の文章でもPDF化するなりできますけども、加工されてしまいやすいですよね。論文や研究書に引用しやすく、その際に頁数などの表記もしやすいのはやはり紙の資料。研究者の方も書籍で買い直すらしいです。
本好きがお金をかけるのは、お値段以上の満足があるからなのです。
ネットとの読み物との違いは、本ならばその著者とワン・トゥ・ワンで向き合うことができること。余計な邪魔だてや寄り道やよそ見がなく対話ができることではないでしょうか。
(2020.12.31)
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。