陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

マリみて読んでみて その3

2006-10-22 | 感想・二次創作──マリア様がみてる
『マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵』の感想続編です。

今回不可思議だったのは前半の話のタイトル「キーホルダー」
このキーワード、本文では全く出てこないのです。
定番の導入部では「鍵」と「扉」の意味づけがおそらくは祐巳の視点で語られているけれども。

当初、「レイニーブルー」「パラソルをさして」のように、小道具として生かされるのではないかと予測しながら読み込んでいました。もしくは「未来の白地図」や「仮面」のように、キャラの心情を語る象徴として誰かが口にするのかも、と。

副題の「大きな扉」「小さな鍵」が対になっている。
だとしたら、前半と後半の「キーホルダー」と「ハートの鍵穴」も相対関係にあるはず。
後半部は瞳子の内面の物語であることを示している。
とすれば彼女の心に鍵をねじこもうとしたのを悔いる祐巳の物語だと容易に推測される。
ところが読者のもくろみは見事裏切られるのです。

前半部は瞳子のことはそっちのけで、バレンタイン企画の準備に精を出す祐巳。
しかも乃梨子や由乃の視点から客観的に描かれた彼女は、なにか達観したような境地にあるようにみえる。
とても前巻で祥子の胸を頼った祐巳と同一人物とは思えません。
選挙前の心の動揺はどこへやら当選を機に急成長した祐巳。
令と祥子の「赤ちゃん返り」発言を前話に含めたのは、弱々しい祐巳を印象づけるためだったのでしょう。
今野先生、予想だにし得ないこのへんのギャップの演出がうまい!

それで私なりにタイトルの謎解きを。
キーホルダーって、要するにアクセサリーのことですよね?
暗闇でドアノブに鍵を差し込んでガチャガチャしているのに一向に開かない。
よく見れば、キーに良く似た飾り物の鍵を挿入していたなんてことありませんか?

つまり深読みすれば!
タイトルの並びは、瞳子の「心の鍵穴」に今もって祐巳が使い物にならない「お飾りの鍵」を差し込もうとしていた状態を暗喩しているのです!



…なーんて、ちょっと苦しい見解ですかね(微苦笑)
ホントのとこ、どーなんでしょう、今野先生?


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