陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

与党自公政権が15年ぶりに過半数割れ

2024-10-29 | 政治・経済・産業・社会・法務

2024年10月27日の衆議院議員総選挙、与党の自民公明党が過半数割れという事態に。自民党は選挙前から50数議席も減らし、公明党にいたっては党代表が落選という憂き目に。

いっぽうで立憲民主党、国民民主党はおおきく飛躍し議席を獲得。れいわや参政、保守などの小規模野党も存在感を示したとのこと。

今回の与党の敗北は、短期決戦であったため、政策の中身よりも裏金問題に焦点があたったためと分析されていますが…。
政治資金収支報告書に不記載のあった裏金議員たちの過半数は公認候補にされなかったので比例復活もできずに落選。まあ、これも妥当でしょう。

情報番組の分析では、石破政権発足後すぐの短期決戦であったため、政策の中身よりも裏金問題に焦点があたったからと言われています。
というか、テレビが率先して裏金疑惑の候補者たちをマーキングしていたので、そうなるのでしょうが。

投票率の低さも話題になりました。若い人が選挙に行かないから、とか。
でも、各年代の投票率をみると10代こそ自民トップだったもの、20代、30代の子育て世代は国民民主党などを好んでいる。60代以上でも立憲民主党と自民が拮抗しているとか。

投票率が低かったのは関心がないというよりも、推したくなる候補者が自分の選挙区にいないので辞退した、こともあるでしょう。私の同居人も健康状態が悪くて、今回は棄権しています。

期日前投票をすませた私も官報が届いてから、あれでよかったのかしら、と迷ったりもしました。
対立候補者の方、じつは以前に投票したことがあって、以前の在職中は応援していたんですよね。過去の功績をたたえる声もあって、ウェブで検索するとSNSを中心にいろんな意見が飛び交い、それを追うだけでめまいがしてきます。

自分のいれた候補者が当選したら嬉しくなる、勝ち馬に乗った気分になる…なあんてすっきりした気持ちにはなれません。
田舎だからこういう顔ぶれしかいなくて、消去法で仕方なく、というのもありましたし。比例は別の党に入れたけども、それでよかったのかと反省してみたりもします。

与党が過半数割れしたので政局は不安定。
石破政権は非公認候補を寄せ集めたり、野党のどこかと連立を組もうとする目論見のようですが、うまくいくのか。大躍進した立憲民主党も党首はもと首相の野田氏。東日本大震災あとの政局の混乱で根をあげられたのか解散総選挙を選び、2012年の自公政権復活をもたらしてしまった野田氏。

さかのぼれば、2009年の自民惨敗で政権交代をもたらしたときの首相は、今になって人気の麻生太郎氏だったのでした。当時は識字障害のことをかなりネタにされていました。いまだとマフィアのボスばりにいっぱし自民の長老格。

自民党の裏金問題を揶揄する小沢一郎さんも、かつては秘書に疑惑を押しつけてにげるぐらい黒いマネー疑惑がまといついているお方でしたよね。金丸・竹下の子分って言われていたぐらいですから。

政治の安定ってけっきょく何なのだろう。
誰がリーダーでも同じで、国民が望むことは景気がよくなる、経済が安定する、それだけなんですよね。だから無党派層が増える。自民も野党もちいさくまとまったグループが増える。

歴史が証明するに、国民の暮らしが窮すると、ナチスのヒトラーのような強権的な独裁者が生まれやすくなるといいます。
となれば、私腹を肥やす議員たちを政治の舞台から追い払うことのできた今回の選挙にはまだ希望があったのでしょうか。

2009年の政権交代時には、私は引越し途中だったので選挙どころではなくて。
子どもの頃にうすらぼんやり記憶している村山内閣だとか、細川内閣だとかの連立政権のあやうさが思いうかび、政治が刷新できたんだ! 埋蔵金がある! 事業仕分けで無駄遣いが減る! といった期待もあった反面、不安もあった覚えがあります。あの民主党政権時代の二の舞だけは避けたい。

2012年あたりかの安倍政権から自公政権が長期化し安定したいっぽうで、一部の奢った自民議員の不正などが相次ぎました。
お役人さんが自殺した森友学園問題などもうやむやにされてきたけども、権力で封じられてきた声もたくさんあったのだろうと思います。安倍晋三もと首相はアベノミクスでの景気回復で世界中から称賛を浴びましたが、憲法九条の改憲にも乗り気で、学生を中心とした大規模デモが発生したこともありましたっけ。

就職氷河期の救済も2017年ぐらいに本格化した記憶がありますが、あと10年早ければ、救われた人も多かったのではないか。令和以後の40代の起こす事件を見るに。

15年前に大流行りしたアジェンダだとかマニフェストだとか、体のいい言いかえの政策方針はなりを潜め、世襲議員に対する風あたりも強くなったし、汚職事件も追及が厳しくなったのは良いことです。
しかし、首相が変わるたびに白紙に戻った政策もあり、たとえば、岸田政権はフリーランス自営業者など雇用形態に関わらない働き手の社会保障を充実するための総合的な労働保険制度をうちだしていたはずですが、それも道半ばに。

この15年で日本人の高齢化も少子化も進み、老人優遇をやめろという現役世代の声は、やがて自分自身の未来にもはね返ってきます。
国内にも外国人の数が増え、関東圏では治安が悪くなっていたり、観光地や寺社仏閣でのいたずら騒ぎも増えています。

社会の課題は挙げだしたらキリがなくて。
税金の負担は重い、社会保険料は高い、働き損だと思う。物価が高くて生活が苦しい。赤字国債は積み増しされていく。それでも、生きていかなきゃいけないわけです。

それにしても、日本はそろそろ米国みたいな二大政党制に移行したほうがいいのかも、と今回の選挙結果を見て思いました。
わけわからんネーミングの小さな政党が乱立して政党交付金をもらってもどうかな、と思いますし。地方の議員数を減らすのは勘弁してほしいけれども、日本の国会議員の議員報酬は世界的に見ても高いらしいので、政治家の皆さんには身を切る覚悟で政務に励んでもらいたいものですね。国会議員は70歳ぐらいまでの定年制で若返りを図ったほうがいいのかもしれないですね。

私が期待するのは何度も書いていますが、地方創生対策。
都会へ人材が流出し、自治体の介護保険は高騰、たび重なる自然災害や開発で環境破壊が進み、農林水産業や地域産業が疲弊しています。食料自給率の上昇をふくめ、地域間の格差を是正しないと辺境地に人がいなくなり、国防上のリスクも増えます。地方民は給与が低いのに社保料が高いので、可処分所得が低くなりがち。この不公平を是正しないと、若者たちが地方を見限っていくのです。政治家の皆さんは永田町のなかだけで、派閥争いに必死になって、国民の姿が見えていないように感じますよね。

そして、選挙の時だけはわいわい盛り上がって注目するのだけども。
当選した後はほったらかしで、日常のことや趣味界隈のことへ関心が戻ってしまうのも自分たち。スキャンダル、もしくは、楽しいことばかりで目くらましをさせられないように気を付けたいものですね。税金の使い道には重々目を光らせたいものです。


(2024.10.28)


【関連記事】
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衆議院議員選挙開票
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