1989年のアメリカ映画「デッドフォール」(原題 : Tango & Cash)は、知性派ダンディと激情家タフガイの刑事コンビが陰謀に巻き込まれる痛快アクション。性格の異なるマッチョ男子のあいだに美女という構図、「明日に向かって撃て!」でもおなじみのパターンなんですが、ポリスストーリーだからといってガンアクションとは限りません。
クールで頭脳派のレイ・タンゴと、荒くれヤンキー男のゲーブ・キャッシュは、ロス市警でも一、二を争う敏腕刑事。
ある日、事件捜査中の二人は殺人の濡れ衣を着せられてしまう。絶対に勝つと思われていた法廷でも有罪確定、投獄された二人を待っていたのはかつて夥しいほど刑務所送りにし囚人たち。
凄絶なリンチをくぐり抜けて、なんとか脱獄を図ろうとしますが…。
タイトルは、ヒーロー刑事が栄光から奈落の底へ落とされた状態を言ったものか。
正義感の強い軍人や刑事が罠に嵌められるという図式は多いし、黒幕もシルエットでうすうす顔バレしてますので、とくにミステリアスな展開はないです。最後は敵のアジトに乗り込んでとっちめるだけ。
命がけのアクションをやりながら、絶妙のタイミングでボケをかます会話がおもしろいところ。特に紅一点のクラブのダンサー、キャサリンことキキを挟んでの不幸な誤解からくる仲間割れは笑えます。対抗心と友情が二転三転していきつつも、コンビネーションはぴったり。
なぜかしら、SFちっくな改造車でのカーバトルとなったり、機械オタクが登場したり、幹部が日本のヤクザっぽかったりと苦笑いの箇所はたくさんあります。
主演は、肉体派男優の代表格「ロッキー」のシルヴェスター・スタローンと「スターゲイト」のカート・ラッセル。
監督はアンドレイ・コンチャロフスキー。
筋書きは単純明快で勧善懲悪、観終わるとスカッとする活劇ですが、ビビッドな旋律の音楽がなかなかいいですね。
80年代の少年漫画誌にあったような暴力コミックのノリですね、まさしくこれは。
(2010年4月2日視聴)