私の本格的な「るろうに剣心」は、実は二年前あたり。
地上波放映の実写映画版の「京都大火編」「伝説の最期編」を見てからです。劇場版第一作のこれは未視聴でした。
幕末に維新の志士側に与し、要人暗殺を請け負っていた人斬り抜刀斎こと緋村剣心。明治十年の東京に現れた彼は、道場破りに襲われた神谷薫を救い、やがて阿片を巡る死の商人の陰謀に巻き込まれていく…。
子どもの頃、ジャンプ漫画で人気かつアニメ化されたのも知っていましたが、色遣いが時代物っぽくなくって好きではなくて。当時は単行本を買うほどはハマってなかったんですね。さらに著者にまつわる事件もありまして偏見があり、避けていたんですね。でも、実写映画第二作のアクションシーンの良さに惹かれてしまいました。
そのあと、原作漫画を文庫版で、さらに漫画のキネマ版もノベル版も読了済み。そのうえで、本日(2021年4月30日金曜ロード―ショー)視聴に臨んだわけですが…。今度は原作キャラを知っているだけに、逆にかなりの違和感が募ります。積年のファンはどう思ったのでしょうか?
香川照之演じる武田観柳が主人公を食うほどキャラ立ちしすぎているし、白スーツの部下三人もいらんやろと思うし。雪代縁が出てくる「人誅編」あたりで出てくるはずの敵幹部キャラがいるし、しかもしかも、EDのクレジットを観るまでそれだと気づかない! なんでこのオリキャラ、こんなインパクトあるのかと思ってました。
原作漫画を忠実に再現するならば、いまだと、CGで特殊効果を使ってアニメーションっぽく演出しそうなのですが、そうでもない。2.5次元時代劇という感じですね。ただ、昔むかしの時代劇と違いまして、映像の解像度がいいので、どうしてもロケ地の現代っぽさが表面化してしまい、どこか学芸会じみて見えてしまいました。あの牛丼屋の通りの道がどこか見覚えあるなと思ったら、倉敷の美観地区だったのか…。
場面としてよかったのは、やはりクライマックスの鵜堂刃衛戦。
私の中ではイメージ的に京本政樹だったのですが、吉川晃司の刃衛もよろしかったです。武井咲演じる薫も原作と違って可憐な感じがして、声に透明感があったので、好ましかったですね。
主役の佐藤健は、どうしてもNHK大河ドラマ龍馬伝の、岡田以蔵とかぶってしまいますね。この人の身体能力の高さは凄いですね。ただ、原作での名場面名セリフのところのインパクトが薄くて、あえて感情を抑えて演技していたのかもしれません。原作みたいに目がキラキラしてる感じで、お人よしっぽさが抜けているからかも。ポスターで見る限り、ミュージカル版の小池徹平の表情のほうが普段顔で近いですよね。殺陣が抜群にうまいから、佐藤健なのだと思いますが。
あと、一番ミスマッチだといつも思っているのは、斉藤一です。
江口洋介の腰の位置と、蒼井優の女狐の目つきの悪さが気になります…。悪い演者ではないのに、ミスキャストじゃないかと。主役陣の引立て役なんでしょうけど。
現在、完結編となる「るろうに剣心 最終章」が二部構成で、前半だけ公開中ですが、二次元を三次元にすることの難しさを感じます。
あと、拙ブログの過去記事を探ったら、10年ほど前に、この第一作の実写映画化の報を日記にしていました。ファンタジーっぽくしないでほしいと書いてありましたが、たしかにそうなっていましたね。(「るろうに剣心」が実写映画化)
ところで、原作漫画は続編の「北海道編」が連載中ですね。
次世代主人公のせいか、過去の人気キャラ勢ぞろいで楽しいけれど、ストーリーとしてはやや以前の面白さに欠けるかな…というのが本心です。
それにしても、やはりヒーローは強きを挫き、弱きを助ける正統派が見ていて気持ちがいいですよね。「るろ剣」の原作漫画では、足手まとい扱いされがちな子どもも女もいっぱし敵幹部と刃交えて見せ場があるのが好きなところです。
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