私は基本的に会社員としての就職は、自分で見つけて自分で応募することが多いほうです。
しかし、なんとなく紹介されるままに勤め気が付いたら長く働いていた職場があります。図書館の非正規職員はまさにそうでした。公務員関係は身元が分かっているほうがいいので、契約更新を繰り返しながら同じ人を保留させることがあるわけです。
しかし、民間企業ではどうでしょうか。
就職氷河期世代は大企業を志望したが叶わず、不本意だが親族の勧める中小企業へ入社したという人もいます。大事にしてくれたケースもあれば、経営者層に可愛がられるあまりに現場からはやっかまれて雑な扱いをうけたというケースもあるようです。
私の身内は高卒から大手企業に入社して、すでに勤続四半世紀を超えた優良社員になっています。彼女は高校時代の成績が良かったのですが、同期には、口利きを頼んで入社させてもらったという方もいたとか。田舎というのは地縁や血縁がものを言いますから。
私自身も、応募自体はハローワーク経由だったものの。
入社してから、私の親族がかつてそこの会長を務めていたとか、関連会社に電力会社所長の親族がいたとか、そんなことがわかって(じつは私自身はあとから知った)、入社時にかなり注目されてしまったことがあります。社内の人に気にかけてもらったのですが、一方、辛辣に当たってくる人もいました。その意地悪だったひとは、ひょっとすると、そういった縁故がなかったまま、社内で実績を築いていたのかもしれません。
あの有名な誰それさんの係累か、なるほど、では信頼できる。
…と思ってくれたのは最初だけで、実際の働きぶりこそが大事でした。しかも、その企業さんは雇用条件通知書とは異なる労働条件をつぎつぎにつきつけてきて、私自身も疲弊してしまい。
以前、別の単発仕事で仲良くなった友人の紹介で、別の待遇のいい職場へと転職してしまいました。
いくら親密であってもなあなあで適切な休憩がとれないのは、勘弁してほしかったです。パワハラは論外ですが、人あたり良さそうに対応しているからといいまして業務量が多すぎるのは限界でした。
ぶっちゃけ、私にとっては勤め先の人間なんて、会社を一歩出たら他人も同然。
気を使いたくはないですし、休憩中、休日まで奉仕したいとは思いません。会社のひととプライベートまで結びつき強すぎると、とにかく碌なことがありませんでした。
というわけで、縁故のある会社は入るときはまあよろしいが、入った後で苦労することもあるかもしれないな、というお話でした。縁故採用のいちばん悪い例が、他社で就業経験のない息子娘などをすぐに会社役員に据えたりすることですね。新人で入ったひとの苦労を知らないままなので、経営者として労務管理ができず労働者のこころが離反してしまうからです。