陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

働くことの意味ってなんだろう?

2020-12-14 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

私はこれまで雇用保険の失業手当をいちども受給したことがありません。
理由としては、受給資格を満たす被保険者期間がなかったこともあり、また離職のちすぐ再就職が決まった、あるいは制度自体を知らずに申請していなかったことも。私の親族は新卒後の勤め先にずっといる人がほとんどですし、失業手当の受給を良しとは考えていません。

もちろん、法律で定められた労働者保護の給付ですので、もらうことに問題はありません。
しかし、さんざん失業手当を繰り返し受給したり、給付金目当てで職業訓練受講したりをくりかえすひとは、一見得をしているようにみえて、長期でみればかなりの損をしています。
それは、お金を楽してもらうことが先だって、働くことの意味を考えなくなることです。

働くことの意味? なんじゃそりゃ? 働いたら負けだよね。
ネット上にはそんなフレーズがあふれています。とくにヲタク系サイトやらSNSに多く、私はモチベーションが下がるのであえて避けています。

仕事を続ける意味ってなんでしょう? いまいちど考えてみますと

・社会の一員として世の中を支える
・人脈を形成する
・キャリアアップできる、ビジネスマナーが身につく
・お金が得られ、経済が安定する
・社会保険の加入(労使折半)ができる


私はしがない会社員生活のあと、個人事業主をしました。いまは会社員とのダブルワークです。短期の仕事を含めさまざまな職場で働いたので、いろんな人に会ってきています。それこそ、国内大手小売業界の代表取締役会長やら、地元企業の経営者、士業の先生から、派遣社員、短期仕事ばかりの人まで。

職業に貴賤はありません。でも、職業によって人格がつくられてしまうのです。
ただ高時給だけ狙いの派遣社員、単発仕事ばかりの人は、経済的にも精神的にも自立しておらず、いっしょに仕事をして愕然とした覚えがあります。たとえば、朝礼で言われたことを覚えていない、注意勧告されても無視する、職場のルールを無視する、資格や学歴がある人を小馬鹿にしている。自分の能力を過信しすぎていて、いい求人がないと嘆く。これは、会社勤めがいやだからと、小規模事業主になった人も同じです。会社員時代にきちんとしたビジネスマナーや事務処理能力を得ないまま、専門知識のみで独立してしまい、営業できずに失敗してしまうのです。

こうした人にあうたび、私は胸がざわざわします。失礼なのですが、こういう生き方はしたくないと思ってしまう。
仕事を失った恐怖、世間と繋がれない孤独を知っているからです。個人にいくら能力があっても、実績と歴史ある組織には勝てません。その会社の社印を押す書類を発行することの重さを、いい加減な働きをしてきたひとは考えない。単に判をポンとおしていればいい、楽ちんな作業としか思っていない。こんな意識で10年もいたら、そのあと任される仕事が落ちてくるでしょう。

たとえ給与が低くても、長年企業でコツコツ働いてきた方とは、まとうオーラが全く違います。ひとつの企業で信頼を得て、人脈を築いたひとは、退職しても自分を律することができます。しかし、なにも身につかない単発作業ばかりやってきた人はイザ中高年になったら、どうなるでしょうか。配偶者や子が支えてくれるとは限らず、職場ではシフトを巡って小競り合いがあり、ひと付き合いも悪くなります。直接雇用のフルタイム勤務ならばジョブトレーニングがありますが、間接雇用や非正規では、勤務先はキャリア形成を考えてはくれません。

社会保険の加入にしても、メリットがあります。
国保よりも健保のほうがかなりお得ですし、厚生年金だって半額負担のみです。

私はいまの職場に出会うまでに、何度も採用と不採用をくりかえし、くりかえされ。
ときに会社に希望も絶望も抱きました。しかし、私が失敗したのは、労働の本質を見誤っていたからでもあり、真摯な人間関係が築けなかったからでもあります。

ひとと付き合うことで自分を見つめなおし、磨くことができます。
私にとっての働くことの大切さは、目先のお金ではなく、家庭では得られない連帯感や責任感、業務を通じて世の中を知ること、にあります。

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