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平成17年度短答試験[22]

2005-09-01 07:55:00 | 平成17年度(2005年度)過去ログ
[22]は秘密意匠でした。これも落としてはいけない問題でしょう。

【問題文】
〔22〕秘密意匠に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 甲と乙が代表者を定めないで共同して行った意匠登録出願について、その意匠を秘密にすることを請求した場合において、甲が秘密請求期間を短縮しようとするときは乙と共同して請求しなければならない。
2 審査官は、意匠登録出願Aについて、意匠法第9条第1項の規定により意匠登録を受けることができないものであるとして拒絶理由の通知をする場合、秘密にすることが請求されている登録意匠に係る意匠登録出願Bの存在を理由とするときは、その秘密請求期間の経過を待たないで当該拒絶理由の通知をすることができる。
3 秘密にすることを請求されている登録意匠に係る意匠権についての専用実施権者は、当該登録意匠に係る秘密請求期間の延長を請求することができる場合がある。
4 秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権の設定の登録を受ける者は、第1年分の登録料に加えて、秘密請求期間に応じた所定の登録料を納付しなければならない。
5 類似の意匠について同日に二以上の意匠登録出願があり、その一について秘密にすることを請求されている場合において、意匠法第9条第2項の協議が成立せず、いずれも、その意匠について意匠登録を受けることができないときは、秘密にすることを請求されているもの以外の意匠登録出願については、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した後遅滞なく、願書及び願書に添付した図面等の内容が意匠公報に掲載される。

【コメント】
1 秘密期間の延長短縮請求は、単独でできますので、誤り。条文に忠実に考えていくと、共同で出願をしたということは、二人以上が共同して手続をした場合に該当するので、その後の当該出願に関する手続については、準用する特許法14条の規定が適用になります。よって、特許法14条に列挙されていない手続については、代表者の定めがない限り、各人が全員を代表するものとする、ということになります。(ちなみに代表者の定めがある場合には、代表者のみが全員を代表することになります。)
 ここで、特許法14条の規定が、秘密の延長短縮請求が列挙されるように読替える形で意匠法に準用されているならば単独では手続できないということになりますが、準用に際してそのような読替がされていない以上、単独でできることになります。
 さらに、秘密請求は全員でやらなければならないのか、というと、これは全員でやらなければなりません。秘密請求は出願と同時に行う手続であり、出願の際に出願と一体となった手続であるため、特許法14条の「二人以上が共同して手続をしたときは」という条件に当たらないということで理解しておけばよいでしょう。これと同じ考えなのが出願の分割で、これも出願の分割というのは新たな出願であるため、特許法14条における「二人以上の者が共同して手続をしたときは」という条件にあたらないと考えてよいのと同じです。秘密請求も分割も、いずれも主体としては出願人が行わなければならないところ、この出願人というのは二人以上の共同出願の場合には、全員を意味する、という理解でよいでしょう。
 繰り返すと、特許法14条というのは、「共同で手続をした場合に」「その後の手続については」という条件下の規定というわけです。

2 拒絶理由通知は出せますね。そうしないと先願が登録され先願の地位が確定していても後願の審査が進まないことになってしまいます。よって、正しい。
 しかし、拒絶理由を受けても引例の内容は公表されていないということでは、出願人は拒絶理由に対応することができません。そこで規定されているのが14条4項2号ということですね。

3 14条3項により、意匠登録出願人又は意匠権者しかできませんね。誤り。なお、14条1項で秘密請求そのものは出願人しかできません。延長短縮の請求において、意匠権者が挙がっているということは、設定登録後であっても秘密期間中に延長短縮請求ができるということを意味しています。

4 そんな規定はないですね。誤り。秘密請求に際しては、67条2項別表のとおり、1件につき5000円ということになっています。

5 秘密にすることを請求していなくても、協議の相手が秘密請求している場合には、秘密期間経過後に公報掲載となります。63条3項ですね。誤り。

☆合格者の正答率は8割を超えており、落とすと苦しくなってしまう問題の一つです。


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