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平成24年度 本日の論文試験の問題

2012-07-01 19:11:40 | 平成24年度(2012年度)過去ログ
本日、出題されました論文試験の問題は以下の通りです。
誤植があったら申し訳ありません。明日の特許庁HPをご確認下さい。
[特許・実用新案]
【問題Ⅰ】
 甲は、特許請求の範囲に発明Aを記載した特許出願Xを行ったところ、発明Aは刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(以下「刊行物1に基づいて進歩性がない」などと略記する。)旨の拒絶理由通知を受けた。
 そこで、甲は、当該拒絶理由通知において指定された期間内に特許請求の範囲に記載された発明Aを発明A1にする補正1をしたところ、発明A1は刊行物1及び新たな刊行物2に基づいて進歩性がないとして、最後の拒絶理由通知(特許法第17条の2第1項第3号に規定する「最後に受けた拒絶理由通知」をいう。)を受けた。
 なお、特許出願Xの願書には図面は添付されていないものとする。
 以上のことを前提として、以下の各設問に答えよ。ただし、設問1~4はそれぞれ独立しているものとする。また、設問4の場合を除き、各拒絶理由通知に係る拒絶理由は妥当なものとする。

1.特許出願Xは外国語でされた国際特許出願であって、甲が最後の拒絶理由通知において指定された期間内に特許請求の範囲に記載された発明A1を発明A2にする補正をしようと考えたところ、発明A2は、国際出願日における国際出願の明細書には記載されているが、その翻訳文には誤訳のため記載されていないことが判明した。
 この場合、甲は特許法上どのような手続をとることができるか、いわゆる新規事項の追加の禁止の趣旨について述べつつ、説明せよ。

2.甲は、最後の拒絶理由通知において指定された期間内に、特許請求の範囲に記載された発明A1を発明A2にする補正2をした。審査官は、補正2は特許法第17条の2第5項第2号に規定するいわゆる限定的減縮を目的とするものと判断したものの、発明A2は刊行物1及び2並びに新たな刊行物3に基づいて進歩性がないと判断した。
 この場合、審査官は補正2について特許法上どのような処分を行うか、そのような処分を行うこととされている趣旨について述べつつ、説明せよ。

3.甲は、最後の拒絶理由通知に対して意見書のみを提出したが、発明A1は刊行物1及び2に基づいて進歩性がない旨の拒絶査定を受けた。そこで甲は、拒絶査定不服審判を請求すると同時に、特許請求の範囲に記載された発明A1を発明A2にする補正2をした。補正2はいわゆる限定的減縮を目的とするものであるが、発明A2は刊行物1及び2に基づいて進歩性がないものであると判断される場合、当該審判請求は特許庁において特許法上どのように取り扱われるか説明せよ。

4.甲は、最後の拒絶理由通知に対して意見書のみを提出したが、発明A1は刊行物1及び2に基づいて進歩性がない旨の拒絶査定を受けた。その後、甲は、拒絶査定不服審判の請求をしたが、原査定は妥当であるとしてその請求が成り立たない旨の審決を受けたため、東京高等裁判所に審決に対する訴えを提起した。被告は、訴訟において、発明A1は刊行物1及び2に基づいて進歩性がないとする判断が支持される見込みがないと考えたが、発明A1は新たに発見した刊行物4及び5に基づいて進歩性がないと考えた。

(1)被告は、上記訴訟において、発明A1は刊行物4及び5に基づいて進歩性がないと主張立証することができるか、理由とともに説明せよ。
(2)仮に審決取消しの判決が確定した場合、その後、特許庁において特許法上どのような手続がなされるか説明せよ。
【100点】

【問題Ⅱ】
 甲は、「a+b+cからなるソーラーパネルA」に係る特許発明イ(以下「発明イ」という。)についての特許権Pを有しており、その特許権について範囲を全部とする専用実施権を乙に設定し、乙は、甲の承諾を得て、丙に通常実施権を許諾した。
 その後、日本国内において、丁は、正当な権原なく「a+bからなる部品B」を製造し、戊は、丁からこれを買い受けて、正当な権原なく「a+b+c’からなるソーラーパネルA’」を製造、販売している。なお、c’はcとは異なる構成を指すものとるする。
 以上のことを前提として、以下の各設問に答えよ。ただし、設問1~3はそれぞれ独立しているものとする。また、設問1(1)を除き、ソーラーパネルA’(以下「A’」という。)は発明イの技術的範囲に属するものとする。

1.(1)戊の行為が特許権Pを侵害するのはどのような場合か、説明せよ。
(2) 丁の行為が特許権Pを侵害するのはどのような場合か、説明せよ。

2.(1)甲は、単独で、戊に対し、①差止め及び②損害賠償を求めることができるか。
 それぞれ分けて説明せよ。
(2)丙は、単独で、戊に対し、①差止め及び②損害賠償を求めることができるか。
 それぞれ分けて説明せよ。

3.戊は、日本国内におけるA’の製造、販売を中止した。その後、戊は、外国であるX国の工場においてA’を製造するようになり、その全部がX国内で販売され設置されている。そこで、丁は、日本で製造した部品Bの全てをX国における戊の工場に向けて輸出するようになった。この場合、乙は、特許権Pに基づき、丁の行為の差止めを求めることができるか、説明せよ。
【100点】

[意匠]
【問題Ⅰ】
意匠法における出願の変更について、以下の各設問に答えよ。
1.実用新案登録出願から意匠登録出願への出願の変更の制度趣旨について、商標登録出願から意匠登録出願への出願の変更が認められていない理由にも触れつつ説明せよ。
2.実用新案登録出願から意匠登録出願への出願の変更の要件について説明するとともに、出願の変更が認められた場合と出願の変更が認められなかった場合の法的効果について説明せよ。
3.国際実用新案登録出願から意匠登録出願への出願の変更を行う際の留意点について説明せよ。
【50点】

【問題Ⅱ】
秘密意匠制度について、以下の各設問に答えよ。
1.秘密意匠制度が設けられた趣旨について、特許制度にも触れつつ説明せよ。
2.秘密意匠に係る意匠権者が権利を行使する場合、一般的な権利行使と相違する点を説明せよ。
【50点】

[商標]
【問題Ⅰ】
 和菓子店経営者の甲は、事業拡大のため新たにチョコレート販売を始めようと考え、友人で喫茶店を経営している乙に頼んで試作品を作成してもらった。そして、将来の販売に備え、「ABCチョコ」の商標について、第30類「菓子」を指定商品として、平成24年4月2日に商標登録出願をした。
 乙は、「ABCチョコ」の名称が気に入ったので、自分の店で販売しているコーヒー豆にその「ABCチョコ」に因んだ名称を考えて、「エービーシー」の商標について、第30類「焙煎したコーヒー豆」を指定商品として、平成24年4月2日に商標登録出願をした。
 丙は、「abc」の商標について、第30類「焙煎したコーヒー豆」を指定商品として、2011年(平成23年)12月1日に米国に商標登録出願をした。その後、当該商標についてパリ条約第4条の規定による有効な優先権主張を伴い、第30類「菓子、焙煎したコーヒー豆」を指定商品として、平成24年4月2日に日本国に商標登録出願をした。
 この場合において、以下の各設問に答えよ。
 なお、「ABCチョコ」「エービーシー」「abc」の各商標は、互いに類似する商標であり、商標を構成する「ABC」「エービーシー」「abc」の文字部分は、自他商品識別機能があるものとする。また、商品「焙煎したコーヒー豆」と商品「菓子(チョコレートを含む。)」とは、互いに類似しない商品とする。
 解答に際して、マドリッド協定の議定書に基づく特例は、考慮しなくてよい。

1.甲の出願は、商標法第3条第1項柱書に規定される「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」という登録要件に関して、拒絶の理由の対象となるか。第3条第1項柱書の趣旨を述べ、説明せよ。
2.甲の出願に関し拒絶の理由と想定される事項について、該当すると考えられる条文を挙げ、その条文に該当する理由を説明せよ。併せて、当該拒絶理由の通知を受けた場合、甲は、どのような対処をすればよいか説明せよ。ただし、第3条第1項柱書については、考慮しなくてよい。
3.乙の出願に関し拒絶の理由と想定される事項について、該当すると考えられる条文を挙げ、その条文に該当する理由を説明せよ。
【60点】

【問題Ⅱ】
 甲は、第30類「洋菓子」を指定商品とする登録商標「イロハニホヘト」についての、乙は、第30類「菓子」を指定商品とする登録商標「いろは」についての、それぞれ商標権者であり、当該商標権は、現に有効に存続している。
 甲は、平成20年3月15日に自身の洋菓子店を閉店したので、登録商標「イロハニホヘト」について、平成20年4月1日に丙に専用使用権を設定登録したところ、その日から、丙は、大きく表した「いろは」の文字と、小さく表した「ニホヘト」の文字とを二段に書してなる商標のみを使用して、もなかの販売を開始した。
 乙は「いろは」の商標を使用して、もなかを販売しているところ、その商品はテレビ番組で紹介され好評を博したので、姉妹商品の菓子開発に取り組み、その商品用に商標「いろはにほへと」について「菓子」を指定商品として商標登録出願をした。
 この場合、丙が「いろは」及び「ニホヘト」の文字を二段に書してなる商標を使用してもなかの販売をすることについて、平成24年7月1日を基準として、乙は特許庁に対してどのような審判を請求することができるか、該当すると考えられる条文を複数挙げ、理由を付して説明せよ。
 なお、甲、乙の商標登録には、無効の理由は存在しないものとする。
 指定商品「菓子」の中には、「洋菓子」と「もなか」は包含されるが、「洋菓子」に「もなか」は包含されない。また、「もなか」と「洋菓子」は類似する商品である。
 解答に際して、マドリッド協定の議定書に基づく特例は、考慮しなくてよい。
【40点】

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2 コメント

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今年は、紛れることのない、解きやすい基本的な問... (吉田)
2012-07-01 19:18:14
今年は、紛れることのない、解きやすい基本的な問題でしたね。論文試験、お疲れさまでした!

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吉田ゼミ生には、有利な感じの問題構成ですね (吉田ゼミOB)
2012-07-02 10:48:10
吉田ゼミ生には、有利な感じの問題構成ですね
返信する

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