★弁天喜楽会囲碁★

     

切りとしのぎ

2006-07-24 13:50:03 | 切断
2006/7/24/(月) 浦安 曇り

長野、なお大雨に警戒 関東の梅雨明けは8月?
(朝日新聞) 7月24日(月) 12:25

 梅雨前線の活動は24日も活発で、九州北部から甲信地方にかけて広い範囲で雨が降り続いている。すでに被害が出ている長野県では25日朝までに100ミリ以上の雨が予想され、気象庁は土砂災害などへの警戒を呼びかけている。


第7題 白無理
黒先 白1に切られた。これをどう処理するかが課題。

まず考えてほしいのは、隅に三本の厚みがあるということ。それを利用し、かつ手順を尽くして、白の横着を咎めていただきたい。


1図

これで碁が勝っているというんで、黒1,3と打った。しかしこれでは碁理に反する。取れる手があるものをとらぬというのではたとえ碁に勝っても真実に忠実でないという非難を受けねばならい。


2図

黒1,3とし、白4のとき黒5と引くのではさまにならない。白6で一手負け。


3図

黒1,3は強烈な頑張りだが、白4と押さえられて勝見はない。黒5、白6までだが、強いていえば次図


4図

ついで黒7に対して白8に飛ぶのがよく、黒9、白10までで攻め合い白勝ちである。


5図 黒7はツギ

前図のあと黒1とハサミツるなど論外であるが念のために言っておこう。黒の言うまま、白2とついでワタラせていていい。そして白4の打ち込みから6にアテ、以下10までで黒はなす術がない。


6図 黒10はツギ

また白1に対して黒2とついで来るなら、白3から5,7と念を入れて手順を尽くし、11まで、これまた黒抵抗のできない姿である。いずれも黒ツブレだ。どうも話が横にそれすぎたが本論はそんなところにあるのではない。


7図

(二段バネ) 白の切りの無理は、黒1,3から5と二段バネして咎めることができる。ただしこの手段に訴えるためには、後の読みが正確でなければならない。


8図

白6と切った時、黒7,9と下からまわして、白を団子にする。(通称グルグル回し)という


9図、10図


つずいて、白10の次に黒11のオサエが肝要であり、白12のアテの時黒13と切るのがこの形の一番大事なところ。白14に抜かし。黒15と継ぐことによって、白をカケメにする。ついで白16のハネには、黒17、白18と打ち交わし、黒19とはハネ一手勝ち。ここまで読みきらねば、残念ながら本題は完全にといたことにならない。下から絞って石を丸め、カケメにして白の手数をみじかくする。この操作にちょっとした技術を要し、その着想がなければ本題は永遠わからないであろう。隅の黒の三本の厚みは、こういう風にいかすのである。


11図

注意したいのは、10図黒17,19とする手順。白1のハネに対して素直に黒2と受けていると、白の手が伸びて、3,5で黒の方が先にとられてしまう。このアタリには十分に神経をはらっていただきたいのである。


12図

尚白1のツギの時、黒2とワタっていたのでは白を取ることなど思いも及ばない。白3と出られてこのアタマは止まらない。2とする着想では、辺を絞った意味がまったくなくなってしまう。


13図

また白1のアテに黒2とつぐのも落第である。しろ3のツギを与えて手が伸び、黒4、白5まで一手負けとなる。カケメにする技法がなければ攻めあいに勝てず、また本題は解けない理屈である。





切りとしのぎ

2006-07-22 14:47:37 | 切断
2006/7/22 (土) 浦安 曇り

丸の内に「巨大カマキリ」が出現
(ロイター) 7月22日(土) 9:27

 [東京 21日 ロイター] 東京・丸の内にあるオフィスビルのロビーに、巨大なカマキリのロボットが登場した。精巧な色使いが施されたリアルなこのロボットの全長は5.4メートル。相変わらずの雨模様となったこの日、ビルのロビーでは(訂正)、巨大カマキリを見上げる女性の姿などが見られた


第6題 (つばぜり合い)
白先 黒のツケヒキに、白手抜きして黒1の切りがきた形である。

後々白2の引きがねらいだが、ここで黒3と押してきた。白4とハネたら、なんと強引にも黒5に切ったのである。これを白はどうしのぐかである。


1図

まずいけないのが、白1の下アテから3と立つ手。5,7とハッテても、黒8,10をきかされ,12とノビられていけない。上辺を生きている間に中央を厚くされ、中の二子を攻められるからである。


2図

白1のハイから3とはネテても,こちらは応じてくれない。黒4で白死である。


3図

といって白1,3と二子を捨てるのはあまりに損。黒4と取っていて、白不利である。


4図

白1,3と抑えて辺に構えを作るぐらいではやはり割に合わない。黒4,6と二子を取られて、仮に上辺をヒラいたとしても、白の損は言うべくもない。こういう後退した考え方では道は開けない。


5図

それに前図黒4ではシチョウがよければ1と切り白、3と打つかもしれない。白、い、のシチョウが成立せぬと、これを種石にして戦いを起こし、どんな難題を吹っかけてくるかわかったものではない。


6図

(アテて押し) 白にシチョウのよい前提で話してみよう。白1とアテ、3と押すのがよい手である。これ、い、のシチョウと、ろ、のカカエを見合いにしたもので、こう打たれて黒苦しい。


7図

ここで黒も4に切りを入れ、6と飛ぶ手があって抵抗できるかに思えるが、いかにもこれは苦し紛れ。あまりいい結果は生みそうもない。


8図

(成功) ついで白は二子に当てず、1と打つのがよく、これで黒参る。2から4とハネダしても白5と受けてよく、黒6,8なら白9まで、黒悪い。ツブレである。


9図

前図の変化で、白1と打ったとき、黒2と伸びてくれば白3とはハネ込んで死命をせいする。7のカケまで、黒のうごけぬすがたである。


10図

白のケイマに黒1と単にツケるなら、白2のノビを利かして、4にオサエていてよろしい。黒これも大悪である。この後黒、い、のキリには白、ろ、とノビて黒に打つ手なく、また、い、で、ろ、に、挟みつけてくる手なども白、い、とついでわたらせてよい。


11図

黒1、白2のとき黒3と当て込んでくるなら、白4のアテから6のノビである黒7、白8のオサエまででこれも黒いけない。黒、い、の切りには白、ろ、黒、は、白、二、黒、ほ、白、へ、のハネで一手勝ち。ただし外のシチョウ関係のうるさい時は、白8で、い、と伸びて差し支えない。


12図

白1とアテ、5,7に伸びるのはよくない。黒10までで上辺の五子を取られてしまう。白9の切りでうるさい。


13図

さて白の押しに、黒1のキリから3とハネれば白どうするか?


14図

これには白4のキリから6と抜いていてよろしい黒7とアテた時、白8と上をアテ、黒9
の抜きなら、白10以下黒、い、白、ろ、黒、は、白、二、のシチョウで二子を取ってしまう。だから黒も9には抜いて折れない。


15図

白1のアテの時、黒2とでもトンでシチョウに対処しなければならないが、それなら白3とポン抜いて大いによろしい。黒4の時白5、7と活き、黒8でやっと上辺は姿を得たが、ポン抜きの厚みが素晴らしく、白の大いに歓迎すべき別れである。


16図


なお前図黒4のノビで1とケイマするのは悪く、すぐ白2とハネダされて困る黒3,5でコウになるが、白、い、とするそばコウがあるので部分的には黒かてない。つぶれも同然である。以上の如く、白はシチョウさえよければ6図の手段で打てるというのが結論である。


17図

尚白3のハネに黒4と抱えて戻るならおとなしく白5とカケツイでこれもひとつの型である。5は、い、に伸びることも出来る。


18図

白1には一般的に黒2と上に伸びるのが形である。白3と開いて、これが常型とされる実践にも多く現れる進行である。

切りとしのぎ

2006-07-21 07:22:23 | 切断
2006/7/21/(金) 浦安 雨のち曇り

第5題 (巧妙)
黒先 白1と切られて黒はびっくりである。

普通なら知らぬ方は石を二分されたと諦めて、、別々に世帯を持つことを考えるのだが、いやそんな必要はありませんといえば、さらにびっくりなさる筈。


1図

切られたところは仕方がないと、黒1,3から5と打てば、隅は活きるには活きる。しかし中の石が浮いて、この結果が面白いわけはない。


2図

黒1から3のオキは巧手。しかしこれとて5まで後手活きで、中の三子が浮いたことに変わりはない。


3図

白の切りに黒1とツケるのは、何か受ければ切った石を取ろうというものだが、ご挨拶賜るわけはなく、白2で隅は頓死。


4図

(アテからオサエ)黒1にアテ、白2、黒3と抑えるのは誰でも考える手だが、白4と一子を抱えられてそれから先が進まなくなる。ついで次図


5図

黒5とアテても、白6の抜きで、どうにもならぬという感じを抱く。


6図

ままよ、と黒7とわたり、白8のコウとなって、これで仕方あるまいという顔をなさる。惜しい、惜しい。もう一歩のところで黒は陥落した概があり、熱慮が足りなかった。コウにするのではいかにももったいなく、これは失敗である。


7図

(正解) 悪手と良手は隣りあわせという。こういう巧妙な手段は実戦でもたびたびある。

切りとしのぎ

2006-07-20 09:30:42 | 切断
2006/7/20/(木) 浦安 曇りのち雨

第4題 (すり抜け)
黒先

白△に切られた。果たして黒7子は無事に生還できるであろうか?
シチョウの条件は黒に有利ということでお考えいただきたい。


1図

切った白1子を直接どうのこうのしてもいい結果は得られない。黒1,3とアテてみても、白4まで、これ以上追しても無駄なことを知るのみである。


2図

といって、黒1のアテから3,5とやっても、白6に切られてどうにもならない。このあと次図


3図

黒1のキリから3,5とハネついでも、白6の眼もちで有り無し、つまり眼有り眼無し、で黒負けである。


4図

(カケ) 1,2図とは少し観点の違ったところから考えてみる必要がある。それが黒1のカケであり、この筋によらねば、黒7子は助からない。着想に飛躍を要する。


5図
 
(正解) 黒1のカケに対して白2と出るよりない。そこで黒3と一本たたき、5につぐ。白6の時黒7とついで連絡に成功である。
まともにいっていけないときは、決して硬い扉を素手では押さない。一ひねりして相手の力の及ばないところで戦い、そして細工をすることが肝要だ。1,3がいわば白の力の入らない盲点であり、そこをついてすり抜けに成功する。周囲の白が厚いだけに真正面から争ったのでは、傷つくのは黒のほうだ。白6を、い、に曲げても、黒7で連絡している。


6図

前図の変化で、白6で1と切るならば、黒2のシチョウである。黒の頼みの綱は、このシチョウがよいという条件だけである。


7図

黒1のカケに、白2と出て行く手のないのが、白の泣き所である。黒3,5と追われて、前図と同じくシチョウである。


8図

黒にシチョウの悪いときは何を怪腕。しろ△に切られただけで、黒ツブレということである。この場合は諦めるより仕方あるまい。

切りとしのぎ

2006-07-19 07:57:52 | 切断
2006/7/19/(水)浦安 雨

牢破り 黒先
黒はがんじがらめに周囲を閉ざされ、出口がないかに見える。

打ちようによっては何とかなりそうである。白の欠陥をさぐり,牢から這い出していただきた。


1図

黒1と単純に出、白2とかわってはもうだめ。これ以上手出しできず、本当に還らぬ人になってしまう。


2図

黒1、白2の打交はいい。しかし黒3とノビるのでは一歩も二歩も及ばない。白4と備えられて、、やはりこのまま大石が白のふところへと相成る。


3図

(アテコミ) 黒1のキリから3のアテコミがうまい手筋。ここから白の形を突き崩さねば道は開けない。


4図

黒1に対して白2と一子を抱えるなら、黒3と当ててよい。白4、黒5と頭を出し、ともかく獄舎から解き放たれた形だ。黒5では早活きを図るために、い、の一子抜きも当然考えられる。


5図

黒1が白の形の急所である。白2と打つなら黒3と伸びていてよい。白4の時黒5,7と絞り、9の抜きまで、ともあれ中央に頭を出してもうつかまらない姿である。白2で3に打てば、黒2と伸びて白二子は助からない。形の急所をつくことにより、真正面からいっていけないものが、いとも簡単にしのげてしまう。手筋の効果であり、この筋を知ると知らぬとでは天地の差がある。


6図

黒1のキリに対して白2とこの部分の欠陥を補うなら、黒3と下から切り、5にハネて、隅の白がいけなくなる。


7図

ついで白6なら、黒7,9とアテついでよろしい。白10、黒11まで、この攻め合いは白に分がない。


8図

黒1のハネには白2と切るよりないが、黒3以下絞って7まで、隅の二子がおちるので活きるに苦労はしない。というわけで中央の傷と隅の具合を組み合わせたのが黒△の切り。このキリからシノギの糸口をみつけるのである。



切りとしのぎ

2006-07-18 10:19:58 | 切断
2006/7/18/(火) 浦安 雨

活き筋
白1のカケとはずいぶん思い切った手。

黒2,4に対して白5と切って、逃がしはせんぞ、という態度。本当に黒は取られているのであろうか。シノギの筋を発見していただきたい。


1図

黒1とここを切って上辺の白の未成熟なところをつかねばならないのだが、黒3のノビでは一息足りない。白4と応じられて、シノギの難しそうな姿である。


2図

ついで黒1,3とで切り、5に抱えても、白6のコスミツケまで、これは目あり目無しで黒攻め合いに勝てない形だ。


3図

黒1から3のツケは、なかなか鋭い。しかし鋭いだけでは果たしてしのげるかどうかわからない。白4の後、次図


4図

黒1とわたれはするが、黒3、白4,6まで出残念なことに活きがない。もう少し白の形に食い込む打ち方をする工夫が必要なようだ。


5図

黒1、白2のとき、黒3とハネ込むのが手筋であり、こう打たねば突破口は開けない。白4に黒5と切るのが二の矢で、白6の出を余儀なくさせる。そして黒7と跳ね返して活き形を得る。


6図

ついで白1の抜きには黒2とアテ、4以下8のハネツギまで、これなら活きである。4図との比較で、このように形をびしびし決めぬことには二眼はもてない点にご注目下さい。本題の白の強引な全滅作戦も、上辺にこういう抜け穴があっては失敗に帰する。最も白も実践ではここまで打たず、前図黒7となったアタリでとめておく。こう決めてしまうと、黒、い、の切り味が残って面白くないからである。


7図

黒1のキリがよい手で、これに対して白2と抜くと、黒3と丸めて取られてしまうので要注意である。


8図

なお黒1のアテに白2、黒3と二子を取らせたのでは攻めにならない。白4の後黒、い、白、ろ、黒、は、白、二、そして黒、ほ、のツケで活きており、黒を苦しめるところまではとうていいかない。

切りとしのぎ

2006-07-16 15:45:28 | 切断
2006/7/16/(日) 浦安 曇り

切りとしのぎの関係は毎局のように現れることであって、心してその手法を会得し、棋力の向上を図らねばならない。
例題

黒、い、と継げば白、ろ、とノビてくる。これで黒はしのぎがあるだろうか?もしそのみとうしがたたぬとすれば、白、い、と2子を抜かせて打つよりないが本当にそう打たねばならないだろうか。


1図

答えは簡単。黒1、白2のとき、黒3と二子の頭につける手筋があって、シノギは容易である。


2図

ついで白1以下5と動けば黒6とカケてよく、白7には黒8まで大きくなってとられてしまう。
1図の黒3は天狗の鼻ズケと称する手で、この筋さえ知っていればここは安心して1とついで打てるわけである。



ツケノビのあと
第1題

一方はケイマ、一方は二間両カガリされた形。黒2,4のツケノビ以下6までは定石だが、ここで白7,9と出切ってきた。ここで黒の最もわかりやすい応法いかが?隅の打ち方に注意されたい。



1図

わかりやすいというのは兵を退けということではない。黒1,3と後退すると白4の後黒、い、白、ろ、黒、は、白、に、となって、中の石が浮いてくる。もっと強気でいきたいところだ。


2図

黒1のサガリをきかし、3,5とやっていくのもよく打たれる手だが、白10の切から14と打たれる。


3図

この形は白1,3が利いて白が厚く、黒やや不利と見られる。前図の打ち方疑問無しとしない。


4図

(切り) 白の切断は恐れるに足りない。きった形自体にダメヅマリの無理があるのだから、それを咎めるようなうち方をしなければならない。それが黒1のアテから3の切りである。3が俗に言う切り返しというやつでこの一子を白が外から抱えられぬところがミソ。これが最も強い、そして簡明な応法でもある。



5図

(正解) ついで白は1のアテから3,5、そして7と継ぐよりなく、ここまでは一本道である。このとき黒8のならびがよいてで、すみを完全にする。


6図

この後白1,3とする手筋には、黒4,6と応じていてよろしい。10とツガされる形が少々癪なところだが、そこはじっと我慢の子で、白11の活きの時黒12と展開すればこの方の構えで白の中央の厚みに対抗できるであろう.黒谷や有利の別れかと見られるものであり、オキ碁でこの形を得られるならまず負けはないであろう。


7図

白1の時黒2の切りは気丈な手段。以下10、白、い、黒、ろ、となってやや乱戦気味。しかし周囲に援兵が多いなら、この反発も十分考えられるところだ。
(黒8ツギ)


8図

ただし白1,3とするのはどうであろうか。黒4,6を利かして8のトビまで、一見して白苦戦である。1は無理と知られたい。


9図

さて5図の黒8の並びをよい手としたが、これを黒△にカケツグのは味が悪く後々白に狙いを与えるすなわち白1のきりから3とはハネル筋であり、これに対して黒、い、と一子を抜けば白、ろ、で隅に目がなくなる。


10図

白のハネに黒1と出て行くと、白2以下8と絞る筋があり、10と継がれて困るのである。白の石が、い、あるいは、ろ、あたりにあればこれはすぐに成立し、隅の黒は目がなく頓死と相成る。


11図

ところが黒△の位置に並んであれば、白1,3の手は成立しない。黒4と抜いていてよく上辺の白に黒、い、白、ろ、黒、は、がきいっている関係で二眼ある。こういう訳でここは並びでなければならないのである。


12図

なお黒1の切りに白2,4とハネツグのは、黒、いの手入れなら白、ろと切った石を取ってしまおうという魂胆である。これにはどうすればいいか、だ。


13図

答えは簡単。黒1のサガリでよく、白4にワタっても黒5のツギまで出、残念ながら白は攻めあいに勝てないのである。


14図

さらに言っておく。本題の手順を変えて、白1のハネから3,5と出切ってきたらどうするか?ここで黒、い、と一子をかんでいるようだと、しろ、と嫁がれて少々厄介のことになる。


15図

面倒なことは考える必要ない。黙って黒1のアテから3の切りである。ハネとオサエの打交が合っても、理屈は5図と同じことである、後をどう打っても同図以下とは違った結果にはならない。この形での白の出きり戦術には、切り替えして打てるものと心得られたい。



白1の出がこわいというので、黒2と伸びる。さらに白3と出られて、もうこれはどうにもならない姿である。黒4白5の後黒、い、白、ろ、と二段バネされて、形が崩れてしまう。黒2と延びていいのは白△の石が、は、にあるとき。


17図

白1に黒2とアラブなんぞは定石違い。白3で割り損であり、黒いけません。


18図

白も出切りを打たず1のコスミから9とする定石を選ぶなら無難。黒10のハネが隅を守る肝要な手である。



キリの研究

2006-07-13 14:19:56 | 切断
2006/7/13/(木) 浦安 曇り

切断 第11題 (最善)
白先

黒のわたり方がなんとなく薄い。なんとなくというよりツボさえ押さえれば完全に手である。しかし早まってはいけない。白にもうまい応手があって、ただではすまない双方の最善の手を示し、結論を言ってもらおう。


1図

まず失敗例だが、白1と継ぐようでは黒2とわたられて、赤い血は出ない。白3,5なら黒6まで、攻め合いにも何にもなっていないのである。


2図

ではと、白1にハネる。これも黒2のオサエ以下6まで、ここを切断する目的は達しない。


3図

白1から3においてみる。これも手順が悪く、黒4のツギでどうにもならない。しかしこの失敗図にはあるヒントが隠されている。


4図

(オキ) そうである。白1のオキがよい。何も決めないでこの筋を突くのがうまい分断の方法である。


5図

(正解) 白1のオキに、以下の理由から黒は2と応ずるよりなく、ここで白3に当て込むのが急所。黒4に抜き、白5,7、黒8となってのコウが正解である。それぞれ一理、二理のある応酬であり、これを最善とする。3は5から打っても同じである。


6図

前図の変化を示すと、どう図白3を急所といった。その意味は、白1,3と出切ると黒4と継がれて失敗することをさす。ダメズマリのため、白はせっかく切断した二子が生還しない。黒4を、い、に抜いてくれば白、ろ、と渡れるのだが、そうは問屋がおろさない。4の点を決めるこんで打った前図の筋のよさにご注目いただきたいのである。


7図

白1の当て込みに対して、2と継ぐのは黒のしっぱである。白3のツギをきかされ、5と渡られて無条件に7子が取られてしまう。2は5図に示した如く、3の点の抜きでなければならないのである。


8図

さて白1のオキに、黒はほか応法はないのか。たとえば黒2とさえぎったとすると白3とそう手がよく、以下9までするすると4子が落ちてしまう。何もきめないからこそ、3が打てたのである。そこが白の自慢である。


9図

白1、黒2の時、白3とこの出からいくのもある。黒4とさえぎれば、白5と出て行く調子がよく、これでも白を切断できる。


10図

ついで黒6と二子を抱え、8,10と打てば上辺は生きるが、その代わり、白11のサガリが利いて、13まで隅のほうが死んでしまう。どっちを取るのがいいか、その状況に応じて3あるいは5の出のいずれかを先に打つのである。


11図

白1のオキが、黒の肺腑をつく一着である。どう応じても5図以上のことにはならない。黒2と真正直に継ぐならば白3にツギから5のキリである。7まで難なく渡られて7子を持っていかれてしまう。黒2を、い、とタケフに打っても利かなく、同じ手順で7子が落ちてしまう。


12図

白1に対して黒2のオサエは、まるで無防備を宣言しているようなもの。白3と打たれて、難なく5子は取られてしまう。これらの変化を読みきった上で5図の結論が出るわけであり、それを答えるにはかなりの気力を要するであろう。

キリの研究

2006-07-12 16:25:53 | 切断
2006/7/12/(水) 浦安 曇り

切断 第10題 (強手)
白先

相ゴスミ。黒1,3とツケノビたところ、白4に押してきた。いきよい黒5と切ったのだが、この手の成否は如何?変化は多いが、どういうことになるか、とっくり検討していただきたい。


1図

本題のキリは強手である。それに対する最も強い応法が白1,3のオサエ。この後が問題である。


2図

ここで黒1とアテ、3,5にハネルのは大体において成功しない手。黒7のツギなら白8とハネられて、残念ながら攻めあいは黒勝てない姿である。


3図

(コスミ) 白のオサエには、第8題で学んだ黒1のコスミがよい手、白2なら黒3とハネる形である。白4のあと次図



(正解) 黒1に切り、外がどうなるかが課題。白2に引くよりなく、黒3,5とハネ、白8まで。ここで黒、い、のシチョウが成立するようなら、白つぶれということに相成る。残念ながら白にはシチョウをよけるうまい手がない。



そして黒1のアテに白2と逃げ、このシチョウが成立しなければ黒つぶれである。要はシチョウしだいであり、本題のキリはこの形を予測してシチョウ有利なほうをよしとするのが結論である。上方の黒4子と白3子の攻め合いは、黒に分がない。


6図

黒1のハネに対して、白が4図の如くシチョウがよくない場合は、2と飛ぶよりない。しかしこれだと黒3、白4となって手がノビ、5のコスミツケで責め合いは黒に有利になる。黒1のハネに白2と押さえる手のない限り、白はどうにもならないのである。


7図

それならば黒1のコスミに白2とここへサガレばどうなるか、これも研究しておかねばならない。ここで黒3とアテ、5と這うのがよい手順。白6,8には黒9とまだハイ、白10のハネのとき熟慮が必要である。(黒、い、のキリ)


8図

ついで黒1にきり、3にサガレばハハンとお気づきの方も多いはず、いわゆる2子にして捨てる筋であり黒5,7の打ち込みまで石塔絞りとなる。後の攻め合いは一見してお分かりであろう。捨てて絞った筋があ働いて、白は全然勝ち目がない。


9図 石塔絞りは是非とも覚えていただきたい。


10図

黒1に対して白2とアテ、4にオサるのは非常手段。4図のシチョウ不利の時などに考えられる白の態度である。これには黒5と抜いていてよく、ついで次図


11図

白1,3とワタられはするが、黒の姿が厚いので悪しからぬ結果と知られたい。い、の断点があって白薄く、すぐ黒、い、と切っていくのもあろうし、ろ、と2目の頭を叩いていくのもあろう。いずれにしても黒の不利は考えられない。


12図

10図黒5の抜きを、欲張って1と下がるととんでもないことになる。白2に継がれ、黒3,5のとき白6と備えられて、黒攻めあい負けである。大欲は無欲に通ず。欲張って我を通そうとすると、痛い目にあう。


13図

白1,3のオサエに黒4と下がる手はない。白5とオサエられてなす術がなく黒、いのツケは白、ろですべてがおじゃんとなる。これあるがゆえに前述のコスミが光るのであり、その筋を知らなくては本題のキリは打てない理屈である。


14図

もう一言、二言といっておくと、黒のキリに対して白1と下からアテ、3,5と這うようでは白△に押した価値がなくなる。黒6の気持ちのいい叩きから8とノビ、その優勢は言うを待たない。


15図

4図の如くシチョウが拙く、切られてよくないという場合はここを押すことはできない。黒1,3のツケノビに、白4とおとなしくカケツグよりなかろう。


16図

黒白1の押しに、5図のシチョウ不利とあればここを切らずに2とはハネるぐらいのもの。白3、黒4とカケツギあって、古来これはひとつの型とされてきた。


17図

ことの始まりは黒1のコスミに白2とする相ゴスミである。白、い、とかけるのが上辺の勢力拡大の好点なので黒はツケ伸びたわけである。


キリの研究

2006-07-11 11:12:07 | 切断
2006/7/11/(火) 浦安 曇り

切断 第9題 (キリの良し悪し)
黒先

外の白は黒を取り込んだとは言うものの、ギクシャクした形であちこちに傷を持っている。くろは三つの断点のうち、どれを切ったらよいか。そしてその後の進行も何手か示していただきたい。

1図

黒1と下を切るのはずいぶん遠慮した手。しかし白2と抱えられ、黒3.5から7と伸びれも白8と応じられてぱっとしない。もうひとつ白に迫るものが少ないようである。

2図

黒1とここを切ると白2とアテから4とツグ調子を与える。

3図

ついで黒1・3と動かざるを得ず、これはかえって白の傷を癒した感がある。中の黒がお荷物になる嫌いもあって、これも失敗である。

4図

(上切り)一番いいキリが黒1である。白に調子を与えず、かつその欠陥を一番よく衝いている。

5図 

(正解) 黒1のきりに対して白2とカケツグならば、黒3のノビがよい。白4の時黒5から7と迫る調子がよく、白ちょっと困る。い、のハネなら黒、ろと応じて、ここに逃げ口はない。この形を一見しただけで1のキリがひらめくようなら、あなたの碁は将来性があるといってよかろう。

6図

黒1のノビに白2と並んで形を崩されるのを嫌えば、黒3のカケがきつい手。白、いのツケには黒、ろとオサエて、白苦戦の態である。

7図

黒1のキリに白2と硬くついで見ても、決して面白いことにはならない。黒3白4の打交ののち、黒、い、方面からはさんで攻める調子がいいし、また左方の白には
黒、ろ、白、は、黒、に、白、ほ、黒、へ、と位を低くする手があって、しろ面白くない。

8図

黒1のキリに白2とこちらを打っていると、黒3,5のキリノビがきつい。白6,8だと黒9のツギまで、い、ろ、が見合いになって白つぶれてしまう。