我が家のおひなさま
6年間押し入れから出ていませんが
怒っていますか
娘の健やかな成長を祈り
30年間欠かさず飾っていました
そして私の慰めでもあった
七段飾りのお雛様
ごめんなさい
もうその気力はなくなりました
当の娘は
何の思い入れもなく
お雛様を飾っても
うれしがることもなかった
なんでも手に入って当然だと
思っているような子供に育ててしまった
私が子供のころ
母にお雛様が欲しいと言って
困らせた
わかっていた
同居していた父方の祖母が許さない
だろうこと
母は箪笥の引き出しをひっくり返して
重ねてひな壇を作り まっさらの
白いシーツをかぶせて
父の趣味のこけしを飾ってくれた
本当は赤い毛氈がよかった
こけしじゃなくてお雛様がよかった
それでも父と母の思いがうれしかった
自分に娘が生まれ、初節句に母が買ってくれた
七段飾り それを娘に飾りながら
心の中で何度も叫んだ
これ!これが欲しかったの!
子供のころ みんながうらやましかったの!
でも箪笥の引き出しを重ねたひな壇は
とても懐かしいよ 感謝しているよ と
そのお雛様も役目を終えて
日の目をみることはなくなってしまった
娘がお雛様に思い入れがあったなら
もう少し思いやりのある人間に育ってくれたなら
いまだに飾っていたかもしれない