あの日々のこと 4

ずいぶん久しぶりになってしまったね

沙織が結婚したよ

あなたの妹だよ

結婚式にたどり着くまで大変だった

私たちにはとうてい理解できないことが次々と起こった


あなたと一緒に

一緒に祝いたかった

だけど無理だった

沙織にも言われてしまった

お兄ちゃんの気持ちがよくわかる　　って

涙が今でも止まらないよ


私は2人の子供に何をしてきたのだろう

ひとつひとつ数えて思い出しても楽しい思い出ばかり

悲しい思い出は突然に始まった

楽しい思い出に上書きされないうちにこの日記を綴っていくよ

陽祐1歳

37年前のあなた
かわいかった　”かわいい”とか”愛おしい”とか
一言では言い尽くせないとても深い何か 愛情以上のものを
感じたよ
なぜ私はこんなにもこの子が深く深くいとおしいのか

そのとき　ふっと恐ろしい感覚があった
もしかしてこの子は私との縁が薄いのではないか
この子が早くに私の前からいなくなるとか
私が早くに亡くなるとか
だから一生分の愛情を今感じているのではないかと
恐ろしい感覚は今でもはっきり覚えている

その時　決断した
この子をたくましい子にしなければ
親がいなくてもしっかり生きていける子にしよう
しなければいけない　と